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宮仕えの厳しさ
「冗談顔だけにしろよ!」
雑居ビルのオフィスの片隅で、穴の空いた紙テープを持った、白髪混じりの中年男性が誰に言うともなく呆れ半分にこぼす。
「室長、どうされましたか?」
「上の連中、よりにもよって、あのザグラブを手玉に取った傭兵部隊のメンバーを皆殺しにしろ、だなんてほざきやがった!」
「ああ……」
普段温和な室長がこれだけ口を荒らすのは珍しい。
「この仕事、信用が一番大事なんだ!たった一人のスパイを一人前にまで育て上げて、相手組織に潜り込ますのに、どれほど年月がかかると思っているのか!そんなうちの大切な手駒を何人も、使い捨ての鉄砲玉にしろと言いやがる!」
「ですが、命令とあらば……」
「大体、うちのチームでザグラブを手玉に取る傭兵部隊が倒せるなら、俺らはスパイなんかやってないわ!」
「確かに……」
「面白くない!今夜は飲みに行く!」
そう言い残して、室長と呼ばれた男は定時きっかりにタイムレコーダーを押して夜の街へと向かった。




