ナルシスト、大金を得る
「では早速ですが、周辺の探索をしてもらいます。イータさんには細かい部分の探索を任せておりますので、草原などを調べもらいたいのです」
「了解した。よし、さっさと終わらせて準備を始めるぞ」
「そんなに早く終わることではないでしょう……では、行ってきますね」
ハノはマルクスに軽く手を振り、外に出る。
ミラとヨウはそれに続くように外に歩き出し、ヤナギは袋を持ちながら外に向かう。
外に出ると、袋に気づいた者の視線が一点に集中する。
ヤナギ達は刺さる視線を掻い潜りながら、金貨を分けるためヤナギの宿に向かう。
「……何とか来れたな……よし、早速等分するとしようか」
「これ……どのくらいあるんですかね……?一回机の上に出しちゃいましょうか」
袋の口を開け下にし、流すように金貨を机の上に置く。
ジャラジャラという音と共に金貨が机の上に流れる。
金色の山がどんどんと大きくなっていき、その迫力に少しヤナギ達は押されていた。
袋から重さが無くなったころ、机の上には大きな金の山が生まれていた。
「……これ、何枚あるんだ?」
「……わかりません……」
「なんか、適当に分けるか?ババァっと」
「それじゃ、等分できない」
四人は山を見つめながら動かなくなる。
別に独り占めしたいわけでも、少しでも多く貰いたい訳でもなかった。
ただ、その量に圧倒されていた。
「……あの袋、もしかすると拡張されていたかもな……明らかに袋の大きさ以上に出てきたぞ」
「そうでしょうね……とりあえず、数えましょうか……」
適当に四等分した山を、手作業で一枚一枚数え始める。
それでも気の遠くなるような作業。
数え終わる頃には、数分が経過していた。
「ようやく数え終えたぞ……それで、何枚あった?俺は723枚だ……」
「僕も丁度その数でした……」
「俺は、600枚ジャストだったぜ」
「……594」
「足して……何枚だ?」
「えっと……2640枚……だと思います。四等分して、一人660枚ですね」
「もう訳がわからんぞ……金銭感覚がおかしくなりそうだ……とりあえず、俺は探索の準備をしておく」
「あ〜〜俺も準備したい」
「……私も」
「じゃあ、僕はもう終えているので、分けておきますね。準備が終わり次第、ここに集まってくださいね」
ヨウとミラは自分の泊まっている宿に向かう。
ヤナギは部屋で色々と準備をした後、外で装備の新調をしに向かう。
ハノが金貨を分け終わって数分が経った頃、部屋のドアが開きヨウとミラが帰ってきた。
「おかえりなさい。もう分け終わってますよ。はい、どうぞ」
「おお、この袋にあんだけの金貨が……というか、ナルシはまだ帰ってきてないのか」
「まああの人なら色々やることあるんじゃないですか?僕は気長に待ってましょう」
部屋主不在の部屋でハノ達は自分の時間を過ごしていた。
ヨウは大剣を研ぎ、ミラは杖を拭いており、ハノは魔法の本を読んでいた。
結構な時間が経っていると、ドアが開きヤナギが帰ってきた。
「あっ、ヤナギさん。遅かったですね」
「すまないな。シリウスからMPを貰ったりと、色々やることが多くてな……これ、ゴリナさんから貰った果物だ」
「シリウス……司書さんの事ですかね?果物はありがたく貰いましょう。丁度お腹が結構空いていたので、助かります」
「ありがとよ、ナルシ……これ食ったら、さっさと外に向かおうぜ」
栄養補給をした後、ヤナギ達は門の外に向かう。
前の外では依頼に向かうが多く居たが、今は人が全く見えない。
人の居ない草原を四人は歩き回っていた。
いつも通りの草原。
風が暖かく肌を撫で、花が綺麗に咲いている。
「普通の草原だな……一点を除いて……」
「モンスター、動物が、マジで全然いねぇな」
いつもは空に様々な鳥が羽ばたき、地面では色んな動物達が駆け回っていた。
だが、今は全く見つけることができない。
その異様な光景に、なんだか少し恐怖を抱いていた。
そして、門から大分離れたところ。
ヤナギ達は少し疲れたのか、木陰で休もうと木を探していた。
すぐに木は見つかったのだが、様子がおかしかった。
木の幹は黒く変色し、枝は全て弱々しく垂れ下がり、葉は一枚もない。
少し力を入れて押せば、倒れてしまいそうな木。
そして、地面は黒く変色していた。
「……早速、見つけることができたな」




