ナルシスト、最強と訓練する
「付近に死骸は……ない」
「このことは報告しましょうか。動物が居ないことも」
「……なんか気持ち悪いところだな……」
「ひとまず休憩して、もう少し探索するか」
休憩後、四人は更に奥へ歩き始める。
森に入り、どんどん歩いていくと、動物達が少しづつ顔を出し始めた。
「とりあえず、この先は何もなさそうだな。動物が見える」
「そうですね。一度帰りましょうか」
来た道をもどり、国へと帰る四人。
日は落ち始め、少し外は暗くなってきた。
門を潜りギルドに報告した後、ヤナギ達は明日の約束をした後、それぞれの生活を過ごす。
ヤナギは時間が空いたため、宿で訓練を行っていた。
日が完全に落ち、暗くなった時、セントーに向かうと、イータの姿が見えた。
「おや、ヤナギくん。久しぶりだね」
「こっちこそだ。探索はもう終わりなのか?」
「それもあるね。あと、単純にセントーが好きなんだよね」
「なるほどな……この程よい温かさがよいよな」
二人はセントーを楽しみ、夜風に当たりながら話し合っていた。
すると、軽く戦おうということになり、広場に向かった。
「なんだか久しぶりだな」
「そうだね。よし、今の君の力を見せてくれ」
イータは腰剣を鞘ごと取り出し構える。
ヤナギは手鏡で髪を整えた後、目を瞑り、全身に満遍なくMPを流し、拳を構える。
先に動いたのはヤナギだった。
拳に魔法を纏いイータの腹をめがけ拳を放つ。
イータは避ける訳でもなく拳をそのまま受ける。
拳は確かにクリーンヒットしたが、イータは少しも表情を変えず、ヤナギに蹴りをぶつける。
ヤナギは大きく表情を歪ませ、壁に向かって吹き飛ぶが、すぐに体勢を整え、壁を蹴り飛ばしイータの脚に全力の蹴りをぶくける。
「おお、なんだか強くなったね」
「最近は身体の身体能力がどんどんと上がっていくのでな、それに……」
ヤナギは空中で体勢を大きく変え、指を二本伸ばし、空中を切るように指を横に移動させる。
指に纏っていた魔法が刃のように飛び出していく。
イータは剣で弾くように上から叩く。
「やるね。かなり威力が増している」
「弾かれながらそう言われても、説得感がないがな……だが、安心しろ」
ヤナギは拳に魔法の刃を渦を描くように纏わせ、イータの腹に拳をぶつける。
「【爆裂する闇】!!」
イータは前と同様にそのまま受けるが、魔法の刃がイータを押し出すように飛び出し、イータは壁ギリギリに押し出される。
その表情は困惑と、ヤナギの成長を喜ぶような笑顔が混ざっていた。
「すごいね!!こんなに成長しているとは!!」
「ふっ、あまり俺を舐めるなよ?」
「じゃあ、こっちもちゃんとやらなくちゃね」
辺りの気温が少し上昇する。
冷たく肌を撫でていた風は、少し生ぬるい風となる。
イータの身体から火花が生まれてるように見える。
剣に炎が纏ったかと思った次の瞬間、炎の軌跡が見えたと同時に、首元が少し暑くなる。
すぐに理解した。
目の前には、首に剣を軽く当てているイータ。
「……降参。お前にはまだ勝てん」
「はは、頑張ってね」
ヤナギは全力でやったが、それでも届かないイータの背中。
それでも、ヤナギは諦める気にはならなかった。




