開戦
「大きなMPを検知したから来てみたら、色欲がいるとはね」
「それで、どうするのかしら?勝つ自信はないけれど、すぐに負ける気もないわよ?」
イータはなにか考え、すぐに結論を出す。
「ひとまず、散らばった怪物を殺すとしようか……その間、色欲は君たちに抑えてもらいたい」
イータはその場にいる人をいつの間にか全員を集めていた。
全員困惑の表情を浮かべているが、すぐに状況を理解した。
「おいおい……勘弁してくれよ……前に一回あったばっかだろ……」
「ヤナギさん、こいつは」
「色欲だ。お前たちの方が理解しているだろう」
「本当はあっちにいる人にも来て欲しいだけど、どうやら、あっちにもかなりの大群が来ているようでね。処理に苦戦しているらしいしね……僕が怪物を処理している間――」
「待て、俺達が処理に向かった方がいいのでは?」
「君達が処理に向かったら、二十分以上かかる。でも、僕が行けば一分で全滅させれる。これ以上説明はいるかな?」
「……わかった、もういらん」
「最強さんよ、“アレ”使いたいんだけどよ」
「……いいのかい?最悪……」
「ああ、使いどころだろうぜ……心臓がウズウズしちまってる……!」
イータは溜息をつきながら、鞘から剣を取り出し、ヨウを切り始める。
ヨウは血を吐き出しながら、その場に座り込む。
「あら?仲間割れ?」
「おい!!イータ!!何を――」
「いや……ナルシ……これでいい……これがいいんだ……」
ヨウはボロボロになっており、風が吹けば倒れそうなほどだ。
だが、筋肉は密度を増し、剣を握る力はどんどんと強くなっていく。
「俺の能力は、【死への反発】……死に近いほど、死を拒絶し、強くなる」
「そういうことさ。前に戦いを教えてる時にこの作戦を伝えられてね……正気を疑ったよ……はい、これ」
イータはガラスの箱を取り出し、ヨウに手渡しする。
ヨウはすぐにそれを握りつぶす。
すると、中にあった光がヨウを包み、ヨウの身体がオレンジに光る。
「はは、いいぜ……これ」
「それは、【不死の光・頂】これを使うと一分間死ななくなる。普通の不死の光は効いても十秒程だけど、これは一番いいやつだからね。こんなふうに使うものではないのだけどね……」
ヨウはシッポをユラユラと揺らしながら、色欲に飛びかかる。
大剣を片手で空高く持ち上げ、色欲にぶつける。
色欲はそれを片腕で抑え、すぐにヨウの腹に蹴りを放つ。
ヨウは蹴りを正面から受け、反撃構えをとる。
「もう話し合いはおしまいなの?」
「とっくにな!!!!」
「……それじゃ、君達はヨウくんの援護をお願いするね。僕は、ささっさと終わらせてくるから」
イータはすぐに空高く飛び上がり、街中に広がった怪物を片付けに向かう。
ヤナギ達はすぐにヨウの方を振り返り、戦闘に参加する。
つもりだったが、
「……これに、ついていけと?」
目の前では、荒ぶる獣と、奇妙な道化が、巻き込むものをすぐに消し飛ばす勢いで戦闘をしている。




