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ナルシスト、防衛を始める

「……おい、レインと言ったか?」


「ん?ああ、レイン・バ・ガーデン。……そうだな、せっかくなら奥で話すか。こいつら邪魔だし」


「え〜ひどーい」


「うるせぇ」


レインはヤナギを連れ奥の部屋へと入る。

邪魔者がいなくなってやっと落ち着けるのか、大きく深呼吸をする。


「はぁ……やっと落ち着ける……っで、お前は俺に何の用だ?」


「今すぐ【一番のイケメン】という称号を取り下げろ。でなければ“こう”だ」


ヤナギは首を親指で掻っ切るような動作をし、称号を取り下げるように脅しをかける。


「……んな事言われても、勝手に言われて俺も苦労してんだよ。目立ちたいわけでもねぇのに」


「目立ちたくない……?貴様……」


「……はぁ、もういいか?俺は作戦を練らなきゃいけねぇんだ」


「……決めた。貴様はこれから俺のライバルだ。お前の美と、俺の美、どちらが強いのか勝負と行こうか!」


「めんどくせぇ……もう帰る」


レインは心底めんどくさそうにしながら部屋を出る。

ヤナギは何か勝てる要素を考えていると、部屋の扉が開けられる。


「ヤナギさーん……あっ、居た。何してるんですか。作戦を聞かないとですよ」


「む?ハノか……いや、俺も作戦を練っていてな……」


「なんでもいいから、早く行きますよ」


ハノに引っ張られながらヤナギはイータの作戦を聞く。


「まとめると、北門はアルベドと多くの人を置く数の戦法で、東門がイータを中心に少数精鋭にするということか?」


「そうだね。市民はもう避難を開始してもらっているよ。他に、なにか質問はあるかい?」


「……別にない……こいつと俺が一緒の場所にいること以外はな……このクソルーキーのなにがいいんだか」


「お前には俺の魅力は伝わらなかったようだな。哀れな男だ」


「あ?」


「なんだ?喧嘩か?買ってもいいぞ」


「……元気なのはいいんだけどね……とりあえず、もう昼過ぎだ。早速準備を始めよう。いつ色欲が攻めてくるかも分からないしね」


それぞれが言われた持ち場に着く。

物資を準備したり、武器を磨いたり、食事を取っていると、すぐに夜になった。

ヤナギは未だにレインに絡んでいる。

それを嫌そうにレインは適当にあしらっている。

他のパーティメンバーはそれを見つめがら、苦笑いをしている。


「……そろそろ、集中しようか。あと数分で日付が変わる」


その場が一気に緊張に包まれる。

いつ来るか分からない色欲の到来に、怯えるものはいなかった。

ただ、全員武器を構え、時を待っている。


「今、日付が変わった」


全員手に力が入る。

風の音以外はならなくなり、心臓の音がよく聞こえる。


「…………この匂い……」


ヨウが鼻を動かし、何やら匂いを嗅いでいる。

イータは目を閉じ、なにやら集中している。


「……来るぞ!総員警戒!!」


段々と足音が聞こえ始める。

閉じている門が、ドンドンと音を立て、湾曲し始める。

音はどんどんと大きくなり、遂に門が破れ、十メートルはゆうに超えている巨大な怪物が侵入してくる。

その怪物におわれている兵士が、国内に急いで逃げ込んでくる。


「レインくん、ヤナギくん、任せたよ。僕は引き続き色欲の探知を続ける。残りはこちらに逃げてきた人の避難を」


「了解」


「一瞬にして終わらせてやろう……この美しさでな!」


ヤナギとレインは高台から飛び降り、怪物の相手をする。自分の身長より何倍も高い怪物を目にしながらも、ふたりは怯えを見せず、構え始める。


「おい、レイン。貴様の得意なことはなんだ?」


「得意なこと……そうだな、早食いと――」


迫ってくる怪物の方へと左手を向け、魔法を放つ。

その魔法には色がなく、攻撃ではなかった。

六角形の集合が透明な壁になる。


「これ、防御魔法だ」

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