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ナルシスト、勝手にライバルを見つける

目が覚める。

窓から日の光が入っており、ヤナギの顔を照らしている。


「今日は出ていく日……まあ、別に感傷に浸るつもりはない。どうせ会えるしな」


いつものストレッチを終えた後身支度を整え、ゴリナの居るであろうリビングに向かう。

廊下を歩く音が、一歩一歩と耳に響く。


「よう、おはよう」


「おはようございます……俺は早速仲間に会いに行く。今日でお別れというわけだ。心配することはない。この国は出ないしな」


「んな事わかってる。ほら、これ受け取りな」


机の上に置かれている籠を見ると、様々な果物が置かれている。


「俺が選んだ選りすぐりの果物達だ。味わって食えよ?」


「もちろん。それでは、いってきます」


「……いってらっしゃい!」


元気な声とともに、ヤナギは仲間の元へと向かう。

ストレッチをしたとはいえまだ頭が眠っているため、軽く身体を伸ばしながらギルドに向かう。

ドアを開けると、何やらザワザワと声が聞こえる。

奥の方にはパーティメンバーが集まっていたため、そこに向かって歩き始める。

人混みをかき分けながら、仲間の元に行くと、何やら深刻そうな顔をしながら何かを考えている。


「何かあったのか?」


「あっ、ヤナギさん。お久しぶりです。実は……」


「色欲が、予告状を出しやがったんだ」


横からヨウが話しかけてくる。

何やらイライラたした様子で話を続ける。


「……そんな律儀なやつだったのか?」


「ああ、丁寧にな。今日ギルドに来たら、紙が張り付けられてたんだ。『明日、この王国を襲撃する。色欲より』って書かれてるやつがよ。こっちは五日連続の依頼で疲れてんのに……!」


「詳しい説明は、ギルドの受付嬢さん達がしてくれると思います。今僕達ができることは、説明があるまでここで待機することだけです」


少しの間ギルドで待っていると、受付から拡声器で大きくしたような声が聞こえ始める。

その瞬間、ザワザワとしていたギルドが静まり返る。


「ええ、これでいいのかな?」


その声の主はイータだった。

受付の前に立ち、何やら道具を持ちながら話を続ける。


「みんなも知っているかもしれないが、今日、色欲から予告状を受け取った。明日、この王国が襲われるというね」


「そのため、僕達はこの国を守るため、処刑人として、色欲退治に挑む」


「だが、僕だけの力では、もしかして不十分かもしれない。そのため、紋章を三つ以上持っている人には、この戦いに参加をお願いしたい。もちろん、危険な戦いな分、報酬はかなり貰えるはずだ。国からね」


「どうか、協力をお願いしたい」


沈黙が、その場を支配する。

明らかに嫌がっているものが多数いる。それも当然だ。多額の金が貰えるとしても、命を賭けるほどのことはしたくは無いはずだ。

ヤナギがしょうがないと思いながら、声をあげようとすると、それよりもひと足早く誰かが声を開げる。


「……いいぜ、参加する」


手を挙げ参加を宣言する。


「君は……」


ギルドから歓声が上がる。

その声は、ほぼ全てが女性による黄色い声援だった。人を押しのけイータの前に立つ男は、青い髪をしているが、整えていないのかボサボサしている。

軽めの鎧を着ており、首にはボロボロになった濃い緑のスカーフを巻いている。

眼は綺麗な葵色。

その顔は、整っている。


「キャーー!!!レイン様ーー!!!男らしいーーー!!!流石、【一番のイケメン】!!色男!!」


こいつは、レインという名前のようだ。

そして、一番のイケメン。その言葉に、反応するものがひとりいた。


「……こいつが……一番……?」


ヤナギは眉を歪め、レインを睨みつける。

その視線に気がついたのか、一瞬こちらに視線を向けるが、すぐにイータの方を見つめる。


「俺は参加する。俺以外にはいないのか?なら、報酬は独り占めだな」


レインを皮切りにどんどんと声が上がる。

ひとり、ひとり、またひとりと。

ギルドに居るほぼ全ての人が、参加を宣言した。


「みんな……本当にありがとう。では、早速作戦を――」


「おいおい、俺は仲間はずれか?」


声の方を見つめると、処刑人のひとり、アルベドがイータに歩み出していた。


「お前が仕切るのはいいが、処刑人は他にも居た方がいいだろ」


「……そうだね。とても心強いよ」


「……本心で言ってるか?それ」


「……うん。もちろん」


イータはアルベドを見上げながら会話をしている。

そのあとはトントン拍子で作戦が進められ、どんどんと作戦が決められる。

ヤナギは改めて、イータが処刑人であり、元々自分とは程遠い人物だと理解する。


「それよりも……」


ヤナギは、一番のイケメンと呼ばれていた、レインの方を見つめる。

レインは女性に囲まれているが、面倒くさそうな顔をしている。

明らかに美に対して努力をしていないのに、褒められているその姿を見て、ヤナギは大いに嫉妬をしていた。


「クソッ!これでは俺が囚人になりそうだ……!!」


「何やらお困りかな?ヤナギくん」


「……イータ……ちなみに、今回の作戦は、紋章三つ以上必要だと言っていたが、俺は参加出来ないのか?」


「……そうだね。本来なら、紋章三つ未満の人は参加出来ないんだけど……今回は特別に、君達のパーティは、参加できることになってるよ」


「……その心は?」


「……君達に対しての、僕の信頼と、期待だよ」


「その期待と信頼に、応えることをやって見せよう」


ヤナギはいつもの調子で返事をする。

だが、すぐに視線はレインの方に向き、睨みをきかせる。


(……我慢ならんな!)


ヤナギはレインの元に歩みを始める。

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