ナルシスト、弱点を見つける
炸裂した宝石に張り付くポーションの瓶、その光景に、ヤナギはひとつ、勝ち筋を見出す。
すぐに壁に近づき、瓶を引っ張るが、そう簡単には外れない。
「……試す価値は、あるな!」
ニヤリと笑い、再び走り出す。回復力の強いポーションだったのだろう。脚にまとわりついた痛みがもう引いており、自由に走り回れる。
目の前では、リャック達が紫宝石蜥蜴の素早い動きに翻弄されている。
「ッ!ヤナギ!お前さん、もう無事なのか!?」
「あいにく、美しいものはそう簡単には挫けないのでな」
ヤナギは奴の背後を取り、そのまま蹴りを放つ。
足とは違い、背中はなかなかの硬さをしているため、蹴りはあまり効いていなかった。
「こいつは、基本的にその素早さで翻弄し、そこに宝石でトドメを指す。なんか動きさえ停められれば……!」
「なら、いい案があるぞ?」
「なに!?なんだ!?」
「やつの宝石を使うとか言わんよな!?こいつ、流石に自分の宝石に足を取られるほど阿呆じゃないぞ!」
「安心しろ!お前達は……俺を信頼していればいい!」
ヤナギは素早く動くパープルクリスタルリザードの動きを見極める。
観察すると、奴はジグザグに動きながら接近した後、必ず何かしらの攻撃を仕掛けてくる。
またジグザグに動き始めた時、ヤナギはわざとスピードを落とし、狙われるようにする。
思惑通り、パープルクリスタルリザードはヤナギに攻撃を仕掛ける。
「ありがとうな、単純で」
ヤナギは爪による攻撃を後ろに下がり避ける。
そして、それと同時に脚を天高く上げ魔法を纏う。そのまま踵で爪を破壊し、宝石を手に入れる。
パープルクリスタルリザードはすぐに下がり、前足を口に入れる。
取り出した時、爪は再生していた。
「どういう理屈かわからんが、厄介なとここの上ないな……俺以外なら、な」
「全員に告げる!やつの脚裏を狙え!攻撃の時に見えたが、宝石を纏っていた!それを剥がせ!」
「それでどうなるんだよ!こっちもこっちで忙しいんだ!」
タティが機嫌が悪そうに、攻撃を受けながら言葉を出す。
「どうなる……ふっ」
「“勝てる”」
ヤナギのその異常な自信、それを信じるしかなく、全員は脚裏を狙うように攻撃をした。
「こいつはジグザグに動いたあとに攻撃を行う!そこを狙えば簡単のはずだ!」
「はいはい……わかってる、よ!」
パープルクリスタルリザードはシッポの先から宝石を飛ばす。流石リャックのパーティメンバー、嫌な態度をとってはいるが、実力は本物のようだ。
宝石を全て避けている。
パープルクリスタルリザードは天井、壁、と自由自在に動き回るが、それに対応し避け続ける。
着実に脚裏の宝石が削られている。
パープルクリスタルリザードも焦ってきたのか、攻撃が大振りなり、動きも素早くなってきた。
シッポによる範囲攻撃が多くなり、一同もどんどんと削られ始めてる。
「クソ!こいつ……動き回りやがって……!」
「だがもう少しの辛抱だ!一箇所!どこかさえ削り切れれば……!」
だがヤナギ達の傷もどんどんと増えている。
消耗戦になれば、パープルクリスタルリザードの方に勝機はあるだろう。
「いい加減……削りきれろや!!!」
リャックのドスの効いた声と共に放たれた攻撃で、左脚裏の宝石が削りきれる。ヤナギは瞬時に宝石を取り出し、脚裏が着地するだろう位置に投げつける。
「……ふっ、狙い通りだな」
脚裏を守る宝石はもうない。
宝石の強力な粘着性にパープルクリスタルリザードも足を取られる、その場を動かなくなる。
ジタバタと脚を動かし、何度も何度もシッポで剥がそうと攻撃しているが、自身の脚が削られているだけ。
「貴様など、動かなければただのデカい蜥蜴だ。毒を以て毒を制す……と言ったものか?」
パープルクリスタルリザードの瞳に、紫だけでない色が映った。
重低音が、辺りに響く。




