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ナルシスト、帰宅する

「……一つ質問いいか?」


森を二人で戻る最中、ヤナギは痛みが引いてきたのか言葉を話した。


「はい?なんですか?」


「お前は魔法だけとはいえ俺のことをボコボコにしただろ?なら、何故ウサギ親方やクリスタルスカルキングなどとの戦いを避けようとした?」


「…モンスターには属性耐性というのがあるんです。ウサギ親方は火属性以外に耐性があり、クリスタルスカルキングは魔法自体に耐性があります」


「今まで戦ったヤツらは全員耐性を持ってたわけか。だが、にしても魔法の数が比にならんぞ?」


ハノは深くため息を着き、眉間に皺を寄せた。そう簡単に行けば苦労はしないといいたげな顔だ。


「……威力が全然違います。さっきは威力を少し痛い程度に下げてましたが、モンスター相手は一撃で倒す気で撃たなければなりません。まあ成長したのもありますけど……」


「なるほどな……理解できた。野暮なことを聞いたな」


「全然いいですよ。気にすることでもありません」


「……それよりももう大丈夫だ、立てる。もう降ろしてくれていい」


ハノは言わてた通り丁寧に降ろした。ヤナギは立つやいなや手鏡を取り出し、髪を整えだした。ハノは疲れたのか軽いストレッチを行い身体をほぐしている。

すると、前方から美味しそうな匂いがしてきた。


「これは……」


「イータさんの料理の匂いじゃないです?いい匂いですね。お肉の匂いで食欲が湧きますね」


「まだ朝飯すら食っていないからな。流石の俺も腹が減る」


すぐにイータ達の姿が見えてきた。後ろにはミラとヨウができるのを今か今かと正座で待ち続けている。


「おや?戻ってきたね。もうそろそろできるよ…って、ヤナギくんボロボロじゃないか」


「やはり魔法ではまだ勝てなくてな……まあ安心しろ。すぐに追い抜く」


ヤナギは楽しそうに笑顔になる。


「ほほう?できるものならやってみてください」


ハノはヤナギの自信を上回る自信を見せる。ヤナギはその自信がある様子に怯えずにいた。


「そこら辺にしといて……朝ご飯にしようか。でも、ヤナギくんは傷の治療を先にしようね」


「別にもうなんともないが……」


「そう言わずに…治療を早く終えて、早くご飯を食べて、早く帰りたいでしょ?さっ?直ぐに終わらせるから」


嫌がるヤナギを無理やり押さえつけるイータ。ヤナギは足を振り回しているが、地面に押さえつけられているため身動きを取れてない。イータはテキパキと治療を済ませ、直ぐにヤナギも料理を食べ始めた。

朝食を食べ終えた五人は荷物をまとめ、そのまま森を後にした。幸い帰路でモンスターに遭遇することはなく、数時間後には帰りの馬車が視界に入ってきた。


「つっかれたぜ……休憩なしの歩きはやっぱ疲れるな」


「早く宿で寝たい……」


「そうだね。それじゃ、早く馬車に乗ろうか」


五人はすぐに馬車に乗り込み、ギルドに戻った。馬車ではイータ以外は全員寝てしまった。

常に危険が伴う森の中。

全員感じてはいなかったが強いストレスがあったのだろう。


「みんないい寝顔だね……」


イータは腰の剣から手を離さず、四人の寝顔を眺めている。その顔は嬉しそうでもあるが、悲しげな顔にも見える。


「最後に寝たの……いつだったかな」


遠い目をしながらどこかを見つめ、イータは一言零した。

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