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ナルシスト、仲間と合流する

遺跡を抜けると、ソワソワとしているパーティメンバーが見えてきた。

こちらに気づいたのか、ハノ達の顔に笑みが溢れていく。


「ヤナギさん!ご無事…じゃ、ないですね。今ポーション出しますね」


「助かる」


ハノはカバンから一生懸命ポーションを探している。

ヤナギの視界は、段々とぼやけ始める。仲間と合流して安心したのか、はたまた先程の無理の代償か。意識が途切れ始める。


「……さん?……じょう……ギさん?」


ハノが何か言っているが、断片的にしか聞き取ることができない。ヤナギはそのまま、赤子が眠るようにその場に倒れ込んだ。


「…あれだけの無理をしたんだ、まあこうなるよね」


「とりあえず、寝てる間に治療しちゃいましょうか」


ハノは寝ているヤナギを毛布の上に乗っける。ヤナギの顔は、いつもの様子では考えられないほど穏やかな表情だった。思わず、腕が頭に伸びそうになる。

伸びる手を制止させながら、ポーションを傷に流し始める。

治療を進めているハノを横目に、イータは深く考え込んでいた。


「イータ?どうしたんだ。暇なら俺と訓練してくれよ!」


まるで飼い犬かのように猫のシッポを振り回しているヨウ。イータはそのお願いを受け、訓練の手伝いをする。

ミラは焚き火の近くで毛布を被り眠りについていた。その表情は、どこか嬉しそうであった。


「これでよし……ん、なんだか…眠くなって…き、た」


数時間後、近くで訓練をしていた二人が戻ってくる。戻ってきた時、ヨウは肩で息をしていたが、イータは余裕の笑みを浮かべながら汗ひとつ流さずに戻ってきた。


「…やっぱ最強さんはちげーな。全然相手にならなかったぜ」


「ははっ、そんなことないよ。君の剣筋は光るものがあった。ハノさん、今…おや?」


イータはヤナギが赤子のように眠る横で、同じように眠るハノの姿を見つける。イータは微笑みながら毛布を二人に被せる。


「僕たちももう寝ようか。君も疲れているだろう?」


「そうだな…俺も流石に、眠くなってきた。おやすみ」


「ああ、おやすみ」


ヨウはそのまま眠りに落ちる。イータは焚き火を眺めていた。剣を固く握りしめるその様子は、ここには誰も近づけないという硬い意志を表しているかのようだった。焚き火が、バチバチと音を立てていた。


「………朝、か…ん?」


ヤナギは目を覚ますと、横にいるハノに気がつく。寝ているハノを起こさないように、そっと身体を起こし、いつもの軽いストレッチを行っていた。


「朝から運動とは、いい心がけだね。ヤナギくん」


「イータ……そうだろう。朝の眠った身体を起こすのに、運動は最適だからな。お前もどうだ?美しくなれるぞ?」


「…そうだね、あっ、そうだ。せっかくなら剣の練習でもしないかい?」


「剣か…」


ヤナギは、今まで壊れてきた武器たちを思い出す。ウサギ親方の皮膚に耐えられずに砕けた短剣。

暴食によって砕かれた短剣。

色欲に奪われ、そのまま行方知らずとなった剣。


「……いや遠慮しておく…それより、昨日の遺跡、どうやって俺を見つけれたんだ?」


「昨日かい?それは能力の【MP検知】を使ったんだ」


「……マジック、ポイント検知…ですか?」


ハノは寝起きの様子だが、話は聞いていたようだ。そして、MP検知に疑問を持っているようだ。


「ん?それがどうかしたのかい?」


「…僕達は、ヤナギさんに変身したメモータルと会いましたよね?それで、ヤナギさんとメモータルのMPの差は歴然。ならどうして一瞬で分からなかったんですか?あっ…決して責めたりしている訳でなく、むしろイータさんがいたからこうして…」


「……違いがなかったんだよ。メモータルは、多分MP総量すら真似る」


「それって…イータさんでも見分けるのは大変ってことじゃないですか…」


「そうだね…でも、裏を返せば…変身している状態なら、MPも少ない。そこを一斉に叩けば、充分勝機はある」

「まあ、見抜けなかったら意味は無いけどね」


随分前に火が消えたのであろう、煙すら出していない焚き火を見つめながら、イータはその場に座っていた。

小話


パチパチとなる焚き火の周りに、三人は固まって二人の帰りを待っていた。すると、ミラが声を上げる。


「…なんか、私ってこのパーティにいる?戦闘はヤナギとヨウがやっちゃうし、後方支援もだいたいハノがする。…私って……」


「そう気を落とすなよ。強化って、結構大事だぜ?使われたらわかる。全然出せるパワーが違うんだよ」


「そうですよ!それに、回復魔法はミラさんの方が断然得意じゃないですか!」


「…ふふっ、そうかな?それほどでもないけど…」


二人に褒められたミラは自信を取り戻したのか、ポカポカとした気持ちになった。


「…ありがと」


ぽつりと呟き、毛布に包まり、頬を赤く染めながらそのまま眠りについた。その頬は、焚き火により上がった体温によるものか、褒められて嬉しかったのか、その真実を知るものはミラ以外居なかった。

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