ナルシスト、最強との共闘
「かかってこい、貴様らのその穢れた魂を、この俺が浄化させてやろう」
モンスター達は挑発に反応したのか、怒りに身を任せて突進をする。
ヤナギは拳を強く握り、モンスターの腹目掛けて拳を伸ばす。よろけて口から液体を吐き出し体勢を崩したところに、ヤナギは魔法を放ち頭と身体を離れ離れにする。
「先程との俺とは違うことを、よーく覚えておけよ?」
ヤナギの顔に笑みが浮かぶ。モンスターは笑みを浮かべるヤナギを見据え、飛びかかった。
「似たような動きだな」
モンスターの腹を膝で思い切り蹴りあげる。しかし、モンスターはニヤリと口角を不気味に上げながら攻撃を耐えながら、ヤナギの右腕を齧る。
右腕に鋭い痛みが走る。
噛み付かれた感覚に、思わず息が一瞬止まる。ヤナギはそのモンスターの心臓目掛けて魔法を素早く放つが、他の者はそれを逃さずに追撃をしていく。
魔法でなんとか数体のモンスターは遠ざけれているが、何体かはヤナギの元に近づき、攻撃を仕掛けている。
まるで餌に群がる飢えた獣のように、ヤナギ目掛けて走り出していく。
上昇していた体温が段々と下がっているのがよくわかる。
視界がぼやけ、魔法を使うのも精一杯になる。
瞬間、暗かった部屋に一筋の光が刺す。その光は月によるものであったが、ヤナギにはまるで太陽の光のように感じた。
「間に合っ……てないな!」
イータは到着と同時に剣を鞘から取り出し、ヤナギにまとわりついているモンスターのみを斬り殺す。
「遅くなって申し訳ない。こちらも色欲に襲われていたので」
「……イータ」
ヤナギはぼんやりとしながらもイータを見つめる。
「疲れているだろう、今はもう休んでいい。あとは僕に任せてくれ」
「…そうはいかん。せっかくの成長の機会を潰さないで欲しいな」
ヤナギは息が絶え絶えになりながらも、指に闇を纏わせる。消えかけていた闘志が増え始め、体温も高くなる。
「その指…魔法を使えるようになったのかい?」
「話せば長いが、そうだな」
「闇魔法……君の適正な属性はそれだったみたいだね」
ヤナギの耳が、少し動く。
「俺が……闇?俺的には光の方が向いていると思うが」
「適正属性は人それぞれさ。でもたまに、全属性を使える天才がいるけどね。その天才がハノさんだけどね」
ヤナギは何かモヤモヤした気持ちが心に残るが、初めてのパーティメンバーが魔法の天才ということを聞いたため、言葉をつぐむことにした。
二人は踵を返し、素早くモンスターに向かって走り出す。
ヤナギの魔法が敵の脚を器用に狙い、体勢の崩れたところをイータが畳み掛ける。
イータが広範囲を焼き付くし、身動きの取れていないモンスターを遠距離からヤナギが魔法で狙撃する。
二人の連携はたどたどしいが、モンスターを着実に倒すことができている。
すると、ヤナギが口を開く。
「イータ、お前の適正は何属性なんだ?炎属性か?」
「僕の適正…ね」
イータは剣を見つめ、どこが悲しげな顔をしていた。
「…僕はね、魔法を使えなかった。そのくせMPは異様に多い。だから使えない分身体強化に回している。でも……」
イータの剣に、炎が包まれる。しかしその炎は他のものとは違い、まるで太陽のように感じる。辺りの温度がどんどんと上がっているのを肌で感じられる。
「太陽の神のおかげで、このように【日】の魔法を使える。他にも太陽の加護のお陰で色々と能力を使えるようになった。」
「……なるほどな。まあいい、御託はここまでだ。戦闘に集中するとしよう」
イータの斬撃はモンスターを焼き尽くす。軽い一撃がモンスターにとって命取りになる。
切る度に空気が暑さで歪んで見える。
イータが剣を振り、モンスターに当たる度に焼けた匂いが部屋に広がる。
ヤナギの魔法は精度が悪い。しかし、モンスター自体はそこまでの強さではない。そのため荒削りの一撃でも戦えている。
「そこそこの量を倒したけど、キリがないね。もう地面は死体でいっぱいだよ。それにこんなモンスター見たことない…まるでキメラのようだ」
「やはりこのモンスターは以上なようだな。しかし、別に無理に全てを倒さなくていい。こいつら全て倒してはキリがない」
もう二人で床がモンスターで見えなくなるほど倒した。しかし無限に湧くモンスターたち。
「…そうだね。一度この遺跡から逃げるとしようか」
キリなく湧いてくるモンスターに嫌気が刺した二人は遺跡から逃げ出す。
イータが開けた穴を全速力で走り出す二人。
モンスターのいる部屋の奥には、不気味な装置が蠢いていた。




