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ナルシスト、世界を救う  作者: きつね
2/5

ナルシスト、国に行く

「ぐわぁ!!」


 ワープホールからぶっ飛ばされ、思いっきり地面に打ち付けられた柳。


「…打ち付けられてもカッコイイ俺…」


 手鏡を確認しながら、そんな戯言を言っている。立ち上がり周りを確認すると、広大な草原の真ん中に巨大な壁がある。


「……とりあえずあそこを目的にして向かうか」


 歩き出し、キョロキョロと周りを見ていると、本当に異世界に来たことがわかる。

空を飛んでいる巨大な怪鳥。

人の背丈ほどの牛。

殴りあっている二メートル越えのカンガルー。


「いくら俺の美貌が凄すぎるとはいえ…ここで生きていけるのか?」


「……」


「まあ何も貰えないよりはマシか…ふっ…一日一回しか使えないとはいえ、俺の美貌なら全てを一撃で倒せてしまうだろうな…」


 柳はポジティブであった。そんなこんなで、大きな壁に着いた。そこには門があり、どうやらどこかの国の壁のようだ。門の前には兵士のような人がたっている。


「すまん。俺は佐中柳(さなかやなぎ)という。中に入らせてもらいたい」


「……サナカ・ヤナギ…変な名前だな。身分証はあるか?」


「……」


 柳は身体をまさぐって色々探したが、あったのは手鏡とスマホだけだった。


「…ないんだったら、一旦こっちに来い」


 兵士について行くと、小さな部屋に連れていかれた。そこには小さな箱が机の上にぽつんと置かれていた。


「これに触れ。今からお前の身分証を作る」


「ありがたい限りだ。では…!」


 柳は自身の額に手を置き、腕を思い切り伸ばしながら箱に触れた。箱は光をだし、なにか文字が浮かび出した。しかし、柳はこれを読めなかった。


「この質問に答えろ。嘘ついてたら電流流れるぞ」


「…すまないが…何と書いてある?」


「………嘘じゃねぇのか…電流流れてねぇし」


 兵士は溜息をつきながら頭を掻き、面倒くさそうに文字を読んでくれた。


「出身地はどこですか」


「日本という国だ」


「どこだそりゃ?聞いた事ねぇぞ…嘘ではねぇようだな…ならいい」


「年齢は?」


「十六だ。あと丁度一ヶ月で十七で、身長は百七十二だ」


「そこまで聞いてねぇが…まあいい」


「職業は?」


「…職業か……学生」


「なんだテメェ…学生かよ。なら学生証忘れちまって災難だったな」


「こんなところだ。正直、質問しなくても勝手に情報読み取って作るから、ただの時間稼ぎなんだけどな」


「なら無駄に電流流されることがあるのか……」


 箱がピピッと音を立てると、中からカードのようなものがゆっくり出てきた。その大多数の文字は柳は読めなかった。


「ほら行った行った。そこのドアからこの国入れる。俺の善意に感謝しろよ?学生だから金は取れねぇが……この恩を忘れるなよ?」


「本当に感謝する。渡せる現物はないが…俺のこの美しい顔がプレゼントだ」


「要らねぇよ…そこまでてめぇはカッコよかねぇ…早く出てけ」


 そんな言い合いをしながら、ドアを開けるとそこには活気に溢れた街が広がっていた。

 無邪気な子供たちが走り回り、どこの店にも沢山の商品が置かれている。街全体から、喋り声が聞こえてくる。


「ふっ…ここから俺の物語が始まる…!俺が来てしまったから、この国の顔面偏差値が上がってしまったな…!」


 自信満々にそう言い放ちながら、ヤナギは期待に胸を膨らませながら、第二の人生が本格的に幕を開けた。

小話


「……おい、さっきの奴はどうだった?危険なやつだったか?身分証がなかったようだが…」


「変わった奴ではあったが…まあ悪い奴ではねぇだろうな」


「変わった奴って?」


「……すげぇ能力を持ってたよ」


「なに?大丈夫だったのか?」


「ああ…何せ、恥を感じられない能力だからな…」

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