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色欲の罪

「ん〜〜こんな簡単にバレるとは思ってなかったわ。油断大敵ね」


「随分余裕そうだな、色欲。君の目の前にいる人が分からないのかな?」


嫌な笑みを浮かべているメモータルを、挑発するようにイータはそう言い放つ。


「処刑人の中でもずば抜けて強い男、イータちゃんね」


「大正解だよ!」


イータは地面を蹴り飛ばし、メモータルに向かって蹴りを放つ。蹴り飛ばされた地面には網目状の跡が着く。

メモータルはその蹴りを華麗に避けると、追撃に拳を握りイータを殴り飛ばす。


「一回。残り四回ね」


メモータルの拳が、黄金に光る。イータはその拳を剣で縦に斬り、腕まで真っ二つにする。周りには、血ではなく不気味な色をした【液】が飛ぶ。ハノ達は、その隙を逃すまいと、攻撃をし始めた。しかし、ハノの魔法を当たるが傷一つつかず、ヨウの一撃は当たりもしなかった。その瞬間、その場にいる者は理解した。自分達では相手にすらならない……と。


「ちょっと!私の綺麗な腕が半分になっちゃったじゃない!やーねもう…でも」


メモータルは半分になった腕をこちらに見せながら、何やら笑っている。すると腕が動き始めたかと思うと、ふたつになった腕が重なり、元の腕に治った。


「ほら、元通り。凄いでしょ?能力を応用すれば、こんな感じに傷も癒せちゃうの」


「厄介な能力だね……でも!」


イータは連続で攻撃を続ける。剣がメモータルに当たる度、身体はどんどんと斬り飛ばされ頭だけが残る。


「これでも再生できるか?」


「残念、できちゃう」


メモータルの身体の一部と地面に散らばった液は、地面をまるで虫のように這いながら頭に向かって集まり始め、修復されて元に戻ってしまう。


「流石にお手上げ?残念ね…最強ちゃんも私を殺せないなんて」


小馬鹿にしながらもメモータルは余裕綽々な様子。


「そんなこと、一言も言ってないけどね。ミラさんだっけ?強化をもっと強いのに頼む」


ミラが杖を構えると、イータの身体にオーラが一瞬まとった。そして、イータの剣が炎に包まれる。


「ずっと考えてたんだ。今まで、切った身体はそのままにしてたけど、跡形もなく燃やし尽くせば流石に治せない、治せても相当MPを消費するんじゃないかってさ」


「……流石にわかっちゃった?」


剣がメモータルの腕を切り飛ばす。腕は瞬時に燃え尽きる。イータの剣筋は、その場の誰も見ることができずにいた。


「ここからが本番だよ、色欲」


「やーね…そんなに私のことが嫌い?私はみんなを愛しているのに」


メモータルは切り取られた腕の断面を見ながら、なにやら考えているようだ。


「貴方の実力はよーくわかった。私だけじゃ勝てないわ。だから」

「逃げる」


メモータルの身体は即座に鳥の形に変化する。メモータルは空に飛び上がり、素早い速度でどこかに飛んで行ってしまう。


「どうしますか、イータさん。このままじゃ逃げられちゃいますよ!」


ハノは焦った様子を見せる。しかしイータはそこまで焦ってはいないようだ。


「安心してくれ。みんな後ろに下がっててくれ」


イータは目を閉じ、剣を構え始める。突風が吹く、イータ以外のその場にいる者は、立っているのもやっとな程だ。

段々と剣にオーラのようなものが着き始める。そのオーラは、まるで太陽のようだ。どんどんと大きく、本物の太陽に近づいていく。周りの温度がどんどんと上昇していく。イータは目を開ける。


「……ここか」


イータは剣を振り下ろす。瞬間、辺りが光る。周りの草木は即座に炭化し、空気が歪んで見える。

その光は全て、イータの剣から放たれていた。温度が異常に上昇していく。剣のオーラが前方に飛んでいく。その攻撃は、メモータルを綺麗に命中する軌道だった。


「っ!?」


メモータルは不意をつかれたのか、避けるのが少し遅れた。しかし、身体を鳥からより小さいネズミに変えて、攻撃の当たる面積を大きく減らす。


「ん……当たりはしたけど、殺せてはいないようだ」


「すげぇな……処刑人ってやつは。夜なのに朝みたいな感じだぜ…」


「感心してるのはいいけど、まずはヤナギくんを助けに行こうか。遺跡の中で一人武器もなく戦っているだろうし」


一同は武器などを持ち、遺跡へと向かった。


「…ふむ、これは結構まずい状況になったな。武器も奪われた。手鏡があるのが救いだな」


遺跡の中ではモンスター達に襲われて満身創痍になったヤナギの姿がいた。

ヤナギの前にいるモンスターは、色々なモンスターをぐちゃぐちゃに合体させたような見た目をしている。

戦闘による疲れなどにより、体温が大きく上昇している。風が少し吹くだけでも倒れそうな程に、ヤナギは限界スレスレだった。

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