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ナルシスト、罪人と遭遇する

洞窟中はジメジメとした空気が張り詰めており、気温が低く肌寒い。ヤナギは手鏡で髪型を整えていた。


「ふむ…折角の髪が台無しになるではないか」


「んな事気にしてないで、周りを警戒しろよ?ナルシ。ここは洞窟、いつモンスターが湧いてもおかしくねぇんだから」


ヨウが注意を促すと、目の前に人型のなにかが居るのがわかる。


「…明らかに人じゃあねぇよな…モンスターか」


「そうらしいですね…皆さん、警戒を」


ハノの一声でパーティは一気に警戒態勢になった。ヤナギは先頭で短剣を構え、ヨウは重そうな大剣を軽々と持ち上げ、モンスターに向けている。ハノとミラはそれぞれ自分の杖を構え、魔法の準備をしていた。


「来るぞ!」


そのモンスターは人型の骸骨で、一体だけだったのが地面からどんどんと湧き出てきて、大きな群れとなった。


「お先に行かせてもらうぜ!ナルシ!」


ヤナギよりもひと足早くヨウは群れに突っ走った。それに続くようにヤナギも前に走り出した。

ヨウは大剣を振り回し、群れの骸骨の頭を一気に切り裂いた。

ヤナギは一体一体短剣で切り取り、取った頭を思い切り踏み潰した。


「どうせこういうタイプのモンスターは首を切っただけでは倒せんだろうからな。念入りに頭も潰さなければ…」


ヤナギの言う通り、ヨウが頭を取った骸骨の群れは、一体残らず頭と身体がまたくっついていた。


「…そんな甘いわけねぇか……よし、ミラ!俺に筋力強化魔法をつけてくれ!」


「了解」


ミラが杖を振ると、ヨウの周りに赤いオーラが少し現れた。ヨウはまた走り出し、大剣の側面で骸骨の骨をバラバラに砕いた。


「こうやった方がやっぱ楽だな。というか、今回の依頼はどういうやつだったか?」


「最奥にいる魔骨王(スケルトンキング)の討伐ですね」


名前だけ聞くと、この弱いスケルトンというモンスターの王。ヤナギはそこまで危険だとは思わなかった。


「…今はとりあえず、前にいるこの大群を片付けるとしよう」


前衛が二人もいるため、意外とあっさりと片付けられた。ヨウは岩に腰掛け、スケルトンの頭蓋骨を持ち上げならが苦言を呈した。


「…スケルトンは骨しかねぇから見分けづらい。だから頭蓋骨しかギルドは受け付けねぇが、かさばる上にそれ以外の骨を全部砕かないとならん。その上一体銅貨一枚…割に合わねぇよな」


「そんなこと言ってないで、奥進みますよ。この調子で行けば、夜までには帰れそうなんですから」


「…ふむ……戦闘終わりの俺も映えるな…」


「………ねむ」


ハノは三人を引き連れながら、奥へとどんどんと進んだ。


「ヨウさん!そこ罠です!」


「あ、やべ」


ヨウが踏んだ罠は地雷で、爆発音が辺りに響く。暖かい風が四人の肌を通る。


「ふう…俺じゃなきゃこれは痛手だったな。ミラ、回復魔法を頼む」


「それでちょっとの傷しかついてないの怖いですよ…」


なんだかんだあったが、なんとか洞窟の最深部に着いた。


「ここが最奥…なるほどな。威厳がある扉じゃないか」


「皆さん注意してくださいね。何があるか分かりませんから」


ハノが皆に注意を促すが、ヨウは扉を思い切り蹴り飛ばし、中へ侵入した。


「ちょっ!突っ走りすぎです!」


「どうせ雑魚だ!さっさと刈り取っちまおうぜ!」


中に入ると、そこには王冠をかぶり、赤色のマントをしているスケルトンが居た。そいつは見るからに威厳があり、今までとはひと味違うとわかった。


「…前言撤回、こいつは強敵かもしれねぇな…」


「色味がなんか……とりあえず、ミラさん。全員に満遍なく強化魔法をお願いします。僕が魔法を放つので、それと同時に前衛二人は走り出してください。僕とミラさんで上手く援護します」


「では…ファイア!サンダー!」


ハノの魔法と同時に、二人は前へと走り出した。スケルトンキングが魔法を避けようと回避来たところに合わせ、ヤナギは思い切り短剣で切り裂いたが、想像以上に硬く、火花を出して弾かれてしまった。


「ナルシ!もっと力強くやるもんだ…ぜ!」


ヨウは思い切りジャンプをし、上から叩きつけるように大剣を振りかざした。頭蓋骨に直接当たったが、そこまで効いていないようだ。


「まじか、結構カテぇなこいつ…」


「…普通のスケルトンキングはこんなに硬くないのに……」


スケルトンキングが何かを詠唱すると、辺りには五色の玉が浮かんだ。それを見たハノが、何かを理解し焦りだした。


「皆さん!今ので確信しました!こいつ!変異種です!」


「変異種?具体的にはどう言った感じなんだ」


「異様に骨が発達し、五色の魔法を操る…こいつは水晶(クリスタル)魔骨王(スケルトンキング)です!」


「言ってもただカテぇだけの骨だろ!」


ヨウは何度も何度も、クリスタルスケルトンキングの攻撃を避けながら大剣で斬り掛かる。すると、クリスタルスケルトンキングの身体が光り、その攻撃を反射するかのように斬撃が飛んだ。五つの玉が合体したかと思うと、部屋に五属性の嵐が巻き起こった。その嵐は、五つの魔法が組み合わさっており、部屋の表面を削り落とすほどの威力だった。


「ヨウ!闇雲に攻撃するな!一点に攻撃を集中させ、まずはそこから壊していくぞ!」


「了解ナルシ!じゃあまずは…脚から!」


ヨウは嵐をモロにくらい、血ダラダラと垂らしながらもミラの支援によりなんと脚の骨に思い切り斬り掛かる。何度も攻撃を食らっていたのか、少し亀裂が入った。


「よし!このまま畳み掛けるぞ!ミラ!ヨウと俺の強化魔法を強く…!」












「……いただきます…」




部屋に現れた嵐が、一瞬で止む。

クリスタルスケルトンキングの頭蓋骨が、粉々に砕かれる。部屋は完全に静まり返り、ガリガリという咀嚼音が部屋一帯に響く。


「うーむ…やはりクリスタルとはいえ骨…美味しいとは言えませんね……」


ゆっくり闇から現れたのは、黒をメインに添えたスーツのような服を着ている。目と口以外の顔は黒い布によって隠されており、腕や脚には黒い布が巻かれている。背丈はヤナギよりも少し大きい程度。


「うむ?おやおや…ワタクシとしたことが…申し訳ございません。珍しいモンスターだったため、思わず食べてしまい、自己紹介を忘れていました」


そいつは優雅に左手を胸に立て右手を軽く広げ、穏やかに微笑み丁寧に頭を下げた。


「ワタクシ、七囚人が一人、【暴食の罪】【星を喰らう者】と言うものです」

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