ナルシスト、学ぶ
セントーを後にし、部屋に戻るとハノが何やら準備をしていた。
「あっ、戻ってきましたね。先に治療を済ましたかったんですけど、なんだか大丈夫そうだったので、セントーに向かわせちゃいましたけど、大丈夫でした?」
「安心しろ、銭湯ごときで砕けるほど俺の肉体はやわじゃない」
「…そうですか…じゃ、治療するのでこっち来てください」
ハノの言われた通りにそばに向かい、ベッドで横になった。
「結構ボロボロですよ…ほんとに大丈夫なんです?」
「そこまで心配するな。俺は頑丈だ…こういう傷も、戦士の証として美しいかもな…」
ハノは服を捲り、ポーションをかけたりし、包帯を巻いたりしている。
「というか、服のサイズ合っているようですね。勘でしたが、良かったです」
「ああ、それなりに気に入っているぞ。この服。俺ポイント十点をやろう」
治療が終わり、ヤナギが身体を動かすと、先程よりも動かしやすくなっている。
「ほう…ただの治療でこれほど回復するとは思えん。これがポーションの力か」
「結構高いやつですよ。銀貨四枚でした。結構依頼でお金が溜まったので、奮発しちゃいました」
「…そうだ、金の話だ。5:5のはずだが、俺の分はどうなっている」
ハノは机の上に置かれている袋をヤナギ渡した。
「報酬はきちんと分けておきましたよ。親方の討伐分はほぼヤナギさんです。武器分は、しっかり引かせてもらってます」
ヤナギが袋を開け、入っている金額を確認する。
「金貨一枚と銅貨六枚…まあ十分だ。俺は向かうところがあるのでな、ハノはどうする?」
「僕も色々やることがあって…あと、はいこれ」
ヤナギに向かってハノは、紙袋を二つ渡した。
「こっちはパンが入っています、朝食食べれてなかったですよね?こっちが紙とペンですが入った袋です」
「なるほど、感謝する。ちなみに、パーティは継続、ということでいいか?」
ハノは頬を上げながら答えた。
「はい、大丈夫ですよ。じゃあ明日の朝、またギルドで会いましょう!」
「ああ、またな」
ヤナギは部屋を出て、パンを食べながらとある店へ向かった。
「…お!ヤナギじゃねぇか!昨日は帰ってこなかったが、何かあったのか?」
「すまない、ゴリナさん。依頼の勢いでそのまま宿に泊まってきたんです」
「なるほどな、まだ泊まるか?」
ヤナギは申し訳なさそうに言った。
「はい、まだ安定した収入とは言えなくて…」
「そりゃそうだ!初日なんてそんなもんだ!ほら、ゴリンやるから、元気だせ」
ゴリナは豪快に笑い飛ばしてくれた。ヤナギはその笑顔に、なんだか安心を覚えた。
「俺はこのまま図書館に行くつもりなんですが、場所がわからないんです」
「図書館か…それならここからそこの角を左に曲がって直進したら着くぞ」
「なるほど、ありがとうございます」
ヤナギは頭を下げ、そのまま図書館に向かった。
道なりに歩くと、大きな施設が目に入った。
「ここが図書館か…デカイな。かなりの量の本がありそうだ」
ヤナギが扉を開けると、色々な本が目に入ってきた。本棚はかなりの量があり、二階、三階とある。ヤナギはその中央に居る司書に向かって歩き出した。司書は何やらひとつの本を熱中して読んでいるようだ。
「本を読みたいのだが、良いか?」
「…んあ?勝手に読んでください。私、この本読むので忙しいんで話しかけないでください」
「そうか、感謝する」
乱雑な対応にも屈せず、とある本を探した。すると、ある本が目に入ってきた。
「…おそらくこれが、この世界の言語の本であろうな。こっちは文字の読み書き用の本…まずは学ぶところから始めなければ」
ヤナギは紙とペンを使い、文字の練習を始めた。
「千里の道も一歩から…というしな。学ぶ俺もさぞ美しいだろうな…」
小話
司書が本を読み終え、一息つく。
「ふぅ…やっぱこのシリーズは傑作っすね…思わず読んじゃうっす」
「続きは…うげ、取ってきてないじゃないっすか…歩くのめんどくさいし、魔法で使うっすか」
「ほいっと…よし、続き読むっすよ〜!」




