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鎌倉千一夜  作者: Kamakura Betty
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213/218

第214夜 独り川

要らない

慰意も褒言も

知らない

頂景も贅味も


竈門の粥に水を足し

五度目には白湯

それでも

何かを数える日々


我欲は溶け

見栄も虚勢も

嫉妬も自喪も

みな剥離した


枯淡の身に降る雨は

慈しみ深く

わずかに残る鼓動を

うっすらと湿らす


鎮まる周囲

朽ちゆく身

話すことなどない

只管黙それでいい


静かなることを学べ

アイザックは言い

語れり得ぬことは沈黙せよ

ルートヴィヒは説く


黙重する毎

その圏は成層し

宙を超え

膜を貫く


尚も欲せず

食すらも

霞で済むなら

救かるものを


花は散ることを恐れず

裏を見せ表を見せて

風に任す

黙して語らず


役目を終える

後ろに居場所なく

前を向き紡いだ草船で

滔々たる川を行くのだ


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