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第208夜 滅期の華々
回想の時限が迫る
どこまで辿り着いたのか?
どこまで深部まで入り込んだのか?
いずれにせよ急がなくてはいけない
初めての卵かけご飯を無心に貪る我が子の
頬の飯粒を指先で取っては食べる。
この味に心を奪われたのか。
沢山食べて力強くなるが良い。
ボールを追う我が子の走りに声を飛ばす。
なぜ追いつけないのか!
精一杯の汗も見ずに、
椅子に座ったままのあの日の後悔。
まだ見ぬ社会を自分なりに描き、
見知らぬ門戸を叩いた我が子。
薔薇立ちはだかる夢と
甘さだらけの計画を看過した悔い。
力の備わる以前の
力を備わすための放任。
度重なる壁に押し潰され
そこから居なくなった。
後悔ばかりが去来する。
盂蘭盆の迎火に
顔が熱くなるほど向き合えど
亡き者は応えない
己のみがここに居て
己の余生を利己に憂う。
為すべき事など思いつかず
茫茫とした日々を塗潰しながら。
せめてもの報い
それは打坐。
只管。
思わないことを思う。
半眼の磨ガラスの向こうに
否応なく浮かぶ像。
拭えど拭えど
刷り着いたかのように。
曼珠沙華?
百日紅?
真紅の朧は靄の如く
意識塊を包み込む。
何故紅いのだ。
半眼を開いても
そこには華などない。
あるのは朽ち切った夢。
では何故紅い?
この身の血潮?
送火の残像?
いや、魂の叱責だ。




