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第184夜 統制軟膏
髪を刈り揃え
制服に糊を効かせ
規範を唱和し
序列を競う歩駒たち
後にリュックを背にした河童となり
車中の杖老婆に目もくれず
寡黙に掌画面の球を移動させる
まるで荒地の立枯木のように
右に倣えなる成分
突出鎮静なる効能
この国伝承の妙薬軟膏は
広く数多に塗布された
みごとなまでの均一
人も街も匂いも音も
同じであることの安心
フィクションだけの喜怒哀楽
聞こえる歌の
小さな励ましと希望に
能面ヅラで焦がれる
立枯木たちの他力本願
シロツメグサの野原には
ドクダミすら芽吹く余地なく
常に身を低くす
風に靡くこともせず
軟膏の効力は永遠
洗えども擦れども
心まで浸透した成分は
心身に沈殿続ける
軟膏処方前の新たな生命
用意された色鮮やかな玩具でなく
電気仕掛けの黒きスレート
触れば擬似宇宙が広がる
善も悪も
愛も欲も
夢も希望も
全ては映る




