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第169夜 谷戸の知層
足元を揺らされ
向かい風に迎おうと
深き森に隠れるように
幾重にも層を成す
探れば探るほど深く習熟し
悩めば悩むほど脳裏に宿す
堆積された解の知塵は
風化と無縁に練酵する
青の発光
赤の飛交
白の紡繋
玄の醸蓄
過程を経た果ての瑤は
層毎に輝は質を変え
蔦茂斜面の埋隠奥底から
後代への察監を仄めかす
春の開花
夏の潤蓄
秋の錦繍
冬の乾干
陽配に色を変え
佇まいを変え
印象を変えるが
信念は変わらない
***
この短編連載では
節目ごとに歌を挿しています。
物語では情景を文字にしますが、
歌の言葉は聴く者それぞれの
境遇に託されるからです。
うらをみせおもてをみせてちるもみぢ
良寛
人生はどの時点でも終点は必ずやってきます。
その日がどんな日になるか。
小さなことでも積んでおけば
いつやってきても受け入れることができます。




