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鎌倉千一夜  作者: Kamakura Betty
169/175

第169夜 谷戸の知層

足元を揺らされ

向かい風に迎おうと

深き森に隠れるように

幾重にも層を成す


探れば探るほど深く習熟し

悩めば悩むほど脳裏に宿す

堆積された解の知塵は

風化と無縁に練酵する


青の発光

赤の飛交

白の紡繋

玄の醸蓄


過程を経た果ての瑤は

層毎に輝は質を変え

蔦茂斜面の埋隠奥底から

後代への察監を仄めかす


春の開花

夏の潤蓄

秋の錦繍

冬の乾干


陽配に色を変え

佇まいを変え

印象を変えるが

信念は変わらない


   ***


この短編連載では

節目ごとに歌を挿しています。

物語では情景を文字にしますが、

歌の言葉は聴く者それぞれの

境遇に託されるからです。


うらをみせおもてをみせてちるもみぢ

良寛


人生はどの時点でも終点は必ずやってきます。

その日がどんな日になるか。

小さなことでも積んでおけば

いつやってきても受け入れることができます。



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