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帝国の栄華  作者: ロンメル
第二次世界大戦
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お久しぶりです!

ケータイ直したのでこれからも頑張ります

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ホノルルではニミッツが台湾戦の報告書に目を通していた。その報告書に書かれた敗因は

・台湾を支援できる中国大陸や沖縄の飛行場が健在であったこと。

・地理に慣れた同盟軍による効率的な反撃にさらされたこと。

・制海空権を握らないまま地上戦に突入したこと

・台湾人が同盟軍に協力的であったこと

が挙げられており、戦訓として

・島嶼への奇襲は敵兵力が一定規模を超えると成功しない

・島嶼への奇襲は早期の安定した補給路の確立が難しい場合成功しない

・地下深くに造られた陣地には艦砲射撃、爆撃、砲撃はさして戦果をあげない

・対戦車兵器と機関銃により固められた地下陣地はトーチカ郡より堅固である

・島嶼攻撃は地元住民と敵対すると失敗しやすい

と書かれていた。

「貴様らは私にこれをホワイトハウスに提出させる気かね!」

ニミッツは参謀を怒鳴りつけた。参謀はその怒声に萎縮していた。ただでさえ大量の兵士及び重火器、装甲車両を喪失し台湾から米軍は逃げ出した。しかも台湾戦の後期にはマリアナやマーシャルの攻略部隊からも兵力を抽出して台湾にまわされたにも関わらずである。これは太平洋での戦闘を楽観視した太平洋戦線司令部のビッグウェーブ作戦に安易にゴーサインを出したホワイトハウスを落胆させ、太平洋戦線司令部の信頼を地に落とすのに十分すぎる事象であった。ホワイトハウスには撤退の事実のみが伝えられており未だに具体的な損害は報告されていない。もしホワイトハウスにこの損害の詳細が伝われば間違いなく太平洋戦線司令部のメンバーは刷新されるだろう。勿論最高司令官であるニミッツの罷免は免れない。太平洋戦線司令部はレポートをホワイトハウスに提出するのを躊躇っていた。台湾でははじめから民間人の死傷者もかなり多く、ホワイトハウスはそれに関しても人道的でないとして太平洋戦線司令部やバックナーに圧力をかけていた。しかし台湾戦の苦戦が報告されてからはホワイトハウスは多少の住民への被害は仕方ないとして住民保護を考慮しなくてもかまわないと通達していたがそれでも多大な損害をだして撤退することになったのだ。それだけでなくフィリピンの安全すら守れるか不安になっていた。太平洋戦線司令部の参謀達はフィリピン防衛に台湾戦の敗残兵とフィリピン軍を当てて築城を行っていたがそれも連日の空襲で作業は進まず、これも太平洋戦線司令部を苛立たせる原因となっていた。


一方、北アフリカ戦線で英独は西はパットン率いる米仏連合軍、南にはブラッドレーの米伊連合軍が戦線を圧迫し、特にアレクサンドリアは陸海から攻められていた。同盟軍総司令部は優先順位を再度見直し、当面の優先順位を以下のように設定した。

1、オーストリアにおける伊軍に対する反撃

2、比島への上陸

3、北アフリカ戦線の打開

4、ニューギニアでの戦い

5、マルセイユ攻略


1はウィーン市街戦において泥沼化したオーストリア戦線に対し独軍機甲部隊を送り込む計画を立てた。

2は太平洋戦線各国、特に大日本帝国軍の準備が整い次第決行される予定だ。

3は日独英の主要三国が準備を進めている。

4は消耗戦に入り、制海空権を握っている同盟軍は輸送船を片っ端から沈め米軍が撤退するのを陣地にこもって待つだけとなった。

5はギリシャ軍等の二線急部隊がマルセイユを包囲したことで解決した。


北アフリカ戦線における同盟軍の反撃はサンシャイン作戦、コメット作戦、フルムーン作戦からなるスペース作戦として今までのアフリカ同盟軍総司令官である防御的将軍のモントゴメリー将軍をスペース作戦総司令官に、攻撃作戦に手腕を発揮するロンメル将軍をサンシャイン作戦司令官に、そしてスペインを降伏させたマンシュタイン将軍をコメット作戦司令官に、元中東軍団司令官のアルニム元帥をフルムーン作戦司令官にそれぞれ任命し、スペース作戦は動き出した。

サンシャイン作戦は日独機甲部隊がアラメインを攻め落とし、アレクサンドリア付近の米仏軍が引き返してくるのを追撃する英軍と日独軍で挟撃する。更にエジプト近衛空挺兵師団が退路を絶ち、アラメイン奪回前に米仏軍が戻るのを防ぐといったものだった。日本軍機甲部隊は昼夜を問わず前進していた。

「軍楽隊!演奏を止めるな!」

夜間には軍楽隊がひたすら陸軍分列行進曲を演奏し続けて兵士を睡魔と戦わせた。さながらアウステルリッツ会戦でのダヴー軍のようだ。彼等も常に軍楽隊が行進曲を鳴らし、たった2日で140kmを走破していたのだ。

「元帥、このままアラメインにたどり着いても戦闘に参加できるのか不安であります。兵士、特に戦車兵や先遣隊員はこの二日間寝ておりません。」

中川中将が指揮車の中で日本軍司令官の今村元帥に迫る

「中川中将、案ずることは無い、アウステルリッツ会戦でもダヴー元帥の軍は到着直後の戦闘で敵を退けている。むしろ一段落おいて緊張の糸を切るよりこの緊張感を保ったまま戦いたい。」

「はい。わかりました。先遣隊はアラメインまで後15km程の地点に着いたとのことです。」

「うむ、自走砲は砲撃用意しろ。先遣隊は明石支隊だったか。」

「はっ、明石中佐麾下の一個中戦車中隊、二個歩兵中隊、一個駆逐戦車中隊、一個偵察中隊からなる部隊です。」

「よし、隠密偵察により敵陣の様子を探ると共に簡易陣地を築城し、砲兵の着弾観測の用意をするよう通達せよ。それと突撃の用意をしとくように。」

「はい。」

通信兵が無線電話を使う。アラメイン南に広がる柔らかい砂のカッターラ低地は戦車の進撃に適さなかったが雪や泥の中でも動くように接地圧を低くなるように工夫した日本戦車は普通に通過した。ドイツ戦車もなんとか通過できた。これはアラメインのフランス軍にとっては大誤算であった。フランス軍はアラメインに一個軽歩兵旅団しか置いてなかった。理由は簡単で北は地中海、南はカッターラ低地があり、同盟軍は東側からのみしか来れないとふんだからだ。だが同盟軍は牽引式火砲や自走砲の中でも重い車輌、装輪式車両を後方に残してきた。このため偵察車両は装輪式車両ではなく40mm機関砲を装備した六式豆戦車を連れていた。この戦車は重量5t、全長4m、全幅1.8m、全高1.8mで小型の回転砲塔に40mmボフォース機関砲を、そしてその横に6.5mm機関銃を搭載した二人乗りの豆戦車である。日本軍では120両のみが配備されたが工業力の劣るインドネシア等では牽引車や砲塔を外して対空自走砲など様々な派生型を主要車両としても使用していた。だが重戦車の乗員からは足の早い棺桶と呼ばれていた。


「棺桶店主!」

そう呼ばれてハッチから顔を出したのは竹内曹長だった。竹内は新兵の頃から常に豆戦車か軽装甲車に乗り続け、何回も死線をくぐり抜けてきた。それこそイランでは機関銃陣地真っ只中で孤立しなんとか自陣に引き返せたものの豆戦車には機関銃弾の被弾痕ばかりで国籍識別用のマークすら削られてた程だ。

「なんだ?」

竹内はこんな対戦車砲どころか戦闘機の12.7mm機銃掃射ですら破壊されてしまう弱い豆戦車を気に入っていた。

「上から敵情を密かに探るようにだと。」

竹内は彼を慕う若い少尉が伝えてきた命令を確認する。この少尉は偵察部隊配属で豆戦車小隊の指揮を執ることを知った時棺桶と自嘲していたがイランで豆戦車小隊として戦闘をくぐり抜けるとむしろ豆戦車に愛着が湧いていた。

「了解、すぐ戻るサ。俺達単騎で十分だ。」

竹内は砂漠色に塗装された豆戦車のエンジンに火を入れた。幅の狭い履帯が砂漠の砂を踏みしめて前進を開始する。少尉はそれを敬礼で見送った。

「西、どーする?」

車体を操ってる西一等兵に話しかけた。

「事前の航空偵察で南側には大きな堡塁は3箇所、展開兵力はおよそ一個大隊規模だと聞いております。南西側に機甲部隊が回り込める道筋があれば発見したいですし、防衛陣地視界範囲外のギリギリに沿って南西方向に向かいましょう。」

「そうだな。そうしよう。」

西は帝国大学を卒業した頭の切れる兵士である。

「今最後の大型堡塁を通り過ぎました」

「見えてる、あの土嚢つんであるやつだろ」

「そうっぽいですね。」

「よし、後3キロ程で止めろ。」

「了解!」

しばらくすると豆戦車は停止した。竹内はハッチを開けて車外に出ると機関砲塔の上に登った。双眼鏡を目に当てる。

「何も見えん。やはりこちらに防御陣地は無いと判断していいだろう。」

ハッチを開けて車内に滑り込むと竹内は西にそう告げた。

「そうですか。では引き返します。」

帰りは敵を大きく避けて南から回って帰還した。

「どうだった?棺桶店主。」

「ええ、西側に防御陣地はありません。」

「そうか。本部に伝えておく。ご苦労。」

その後にすぐ作戦が立てられて準備に入った。自走砲とハーフトラックに乗せられた噴進砲が砲撃の用意を整えても未だにフランス軍は同盟軍の接近に気が付いていなかった。今回は作戦の都合上航空支援は無かったがそれでも充分奇襲になりえた。竹内達の偵察から26時間後に作戦が開始された。

「砲撃開始!」

西側には戦車隊が、正面からは歩兵隊がじりじりと詰め寄っていた。105mm自走榴弾砲、155mm自走加農砲、48連装自走ロケット砲、81mm迫撃砲が一斉に火を吹いた。それと同時に偵察隊と工兵が前に出た。偵察隊は突撃前の障害物排除もその任務だからだ。勿論豆戦車搭乗員も例外ではない。竹内と西も豆戦車から離れて前線にいた。

「最終弾着まで15分!」

鉄条網が張り巡らせてある地帯に入る。敵陣地が爆炎に包まれる。竹内達の頭上を尾を引いてロケットが飛んでいく。

「作業開始だ!」

鉄条網を鉄線鋏で切り歩兵の道を作る。続いては木製の拒馬である。近付いて西が工兵爆薬を取り出した。拒馬の脚には罠の手榴弾がくくりつけられていたからだ。

「竹内さん、発破します!」

拒馬の先には対戦車壕が掘られていた。

「ここからは工兵の連中の仕事だ。」

竹内は西と共に堡塁側から撤退した。

「匍匐で前へ!」

歩兵がじりじりと這って敵陣に迫っていく。敵陣から反撃は今のところはない。

「総員着剣!」

銃剣を鞘から抜いて取り付ける。

「最終弾着まで3分!突撃用意!てめえら、砲兵と工兵が作ったこの機会を無駄にするなよ!」

士官がそう叫ぶ。

「最終弾発射今!総員突撃!」

直後に敵陣で最後の着弾が起こった。

「機関銃は支援射撃!」

切り開かれた道を歩兵が駆けていく。先頭は早くも敵の堡塁にたどり着こうとしていた。その時突如敵堡塁から重機関銃が放たれ、歩兵がまとまって倒れた。

「機関銃座だ。潰せ!」

「接近しろ!近付いて手榴弾を投げ込め!」

摂津伍長は何ヶ所か丸太で埋められた対戦車壕の丸太に埋められてない部分に入り込むと堡塁側の淵に取り付いた。丸太の上には戦友の死体が散乱している。摂津は手榴弾を投げ込んで再び壕に体を隠した。爆発が機関銃座を潰すと摂津は白兵突撃を仕掛けた。身を乗り出したフランス兵の腹を銃床で突く。バランス崩したところに6.5mm弾をうちこんだ。摂津に続いて日本兵が雪崩込んだ。やがて前哨陣地の三つのフランス軍堡塁はすべて陥落した。フランス軍第六軽歩兵旅団はすぐに包囲された。だがフランス軍にとって幸運だったのはイタリアのシチリア機械化軍団の1個対戦車兵連隊及び第一中戦車連隊がアレクサンドリア派遣の為の訓練をアラメインで行っていたことであった。このためすぐに防衛体制を整えることができた。同盟軍は包囲した状態でパットンが撤退の判断をするのを待った。パットンは重要な補給ポイントであるアラメインを救援しようとアレクサンドリアから撤退を決意した。大規模な西進はすぐに同盟軍にキャッチされた。

「追撃してなにがなんでも奴らを殲滅しろ。」

すかさず英独軍が用意を整えて追撃を開始した。殿の第三戦車師団はM46パットン、M26パーシング、M4シャーマン90mm砲搭載型、H1モンスターの各種戦車で逆に東進して少しでも同盟軍を遅らせようとした。ただそれらは合計で僅か約160両に過ぎず、支援する歩兵も約1200名に留まり火力支援はわずかに自走砲7両。それに対し同盟軍の先鋒を務めるのはドイツアフリカ軍団の二個装甲師団約360両の戦車及び突撃砲、歩兵約6000名、自走砲約130両の部隊で進撃していた。両者はアレクサンドリア郊外で激突した。ドイツ軍は正面から歩兵が陽動し、その間に戦車を回り込ませた。アメリカ第三戦車師団は兵員の15%が戦死する事態に陥り事実上壊滅状態となった。ドイツ軍はその追撃スピードを上げてエルアラメインにつく前になんとかパットン軍団に追いついた。アメリカの要請を受けたイタリアも臨時でシチリア機械化軍団を船でアラメインにわたらせようとしたがUボートの襲撃を受けて船団の大多数は途中のメルサマトルーに上陸した。


ここに北アフリカ戦線の戦況をかけたエルアラメインの戦いが始まろうとしていた。

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