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帝国の栄華  作者: ロンメル
第二次世界大戦
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「テエ!」

グワン!艦橋も揺れるような振動と共に土佐から八発の46センチ砲弾が放たれた。続いて尾張、ドイッチュも続いた。第三艦隊が張った煙幕により測距儀が使えないため電探管制による砲撃だった。ただし敵艦隊上空にはドイツ軍水偵が飛行して無線通信していた。

「弾着今!」

「観測機より報告!射角修正急げ!」

「修正よし!」

「第二斉射、撃て!」

6万トン近くの巨体が振動する。

「観測機より報告!敵先頭艦の夾叉に成功!」

「ようし、よくやった。」

第二斉射で夾叉させるとはさすがは世界一訓練をつんでいると言われる帝国海軍である。

「敵艦隊発砲!」

「かまわん、第三斉射撃てッ!」

第三斉射の後に水柱が土佐を包み込む。

「敵弾着弾!命中なし、至近無しです。もちろん被害もありません。」

「観測機によると敵艦隊への命中弾1、至近弾1とのことです。」

「よし、このまま撃ち続けろ!」

先頭にたつリットリオが被弾した後二番艦ローマが放った砲弾が尾張に当たった。

「尾張被弾!」

「尾張の損害は?」

「ヘリポート破損、ヘリコプターも全機体破壊されたようですがその他被害なし!」

この程度の損害は損害と見られない。

「敵一番艦沈黙!」

数斉射ののちリットリオは砲撃をやめて少しずつ海面下へとその巨体を沈めていった。

「目標敵二番艦!」

その瞬間明らかに発砲とは違う衝撃が土佐を襲った。

「左舷被弾!」

「被害報告!」

「左舷機関砲、高射砲群は壊滅状態、浸水はなし!」

「そうか、負傷者の救出に当たれ。」

その直後小さな衝撃が土佐を揺らした。

「追加報告!左舷前方の連装高射砲塔誘爆!火災発生!」

「鎮火可能か?」

「可能ですが二番主砲塔が危ないです。注水の許可を求めます。」

「よろしい、二番主砲塔注水!担当員は退避せよ。」

この海戦でもう二番砲塔は使えなくなった。けれど全般的には同盟が有利でローマ、続いてダンケルクを撃沈した。そのころ、駆逐艦隊ではというと肉薄しての砲雷戦が続いていた。

「目標、敵巡洋艦、撃て!」

有線誘導の対艦誘導噴進弾が二本放たれた。新型駆逐艦卯月は34ノットをこす速力で針路を変更して砲弾をかわしていた。二代目睦月型駆逐艦は10cm両用砲を単装で前部に二基、後部に一基、そして中央両舷に一基ずつと四連装魚雷発射管が一基、対艦誘導噴進弾連装一基、赤外線誘導対空噴進弾連装一基、二十五連装対空無誘導噴進弾二基、二〇ミリ機関砲二十門、ヘッジホッグ一基の武装と四式対空電探、五式対艦電探、四式ソナー、四式艦載磁気探知機の観測器具を搭載した汎用駆逐艦で神通レベルの軽巡ならば同等以上に戦うことができた。

「魚雷発射!」

火薬を腹に詰めた鮫が敵艦の横っ腹を食い破るべく突進していく。長槍と史実で恐れられた酸素魚雷に小型ソナーをのせた誘導魚雷である。魚雷を放つと反転して離脱する。

「敵巡洋艦に魚雷命中!」

卯月の艦橋が歓喜の色に染まる。

「よし、よくやった。」

その頃にはすでに戦艦隊の砲撃もカタがついていた。

「全艦、敵艦隊を追撃して撃沈せよ!」

遠距離砲撃戦で良いところのなかったシャルンホルスト級二隻と快速を誇るドイッチュ、尾張、土佐が中心となり追撃を開始したがそこには罠が仕掛けられていた。

「引っかかったな、ファイア!」

魚雷六本が放たれる。

「雷跡確認二!三時の方向より接近中!潜水艦かと思われます。」

「面舵いっぱい!回避!」

六万トン近い土佐の船体がぎしぎしと悲鳴をあげながらゆっくりと回転をはじめるがその努力を嘲笑うように二本が右舷に吸い込まれた。

「被雷!右舷後方、機関室の付近!」

「損害知らせ!」

「浸水が確認されましたが機関及び機関室は無事です。」

「浸水地区の隔壁閉鎖!反対注水!バランスを保て!」

ハンドマイクに向かって怒鳴る。

「左舷注水!」

「艦長、土佐を離脱させろ。」

大河内大西洋方面軍司令長官が言ってくる。

「ですが……」

艦長の能村大佐は食い下がった。

「これ以上大型艦をこの海戦で失うわけにはいかんのでな。土佐を下がらせろ。」

「ははっ!反転し、当海域を離脱する。面舵いっぱい!」

復唱と共に船体が後方を目指した。

結局この海戦での損害は

同盟側

沈没

ベルリン、ハルトマン、プリンスオブウェールズ、U3071、ルーデル(大破後自沈処分)、弥生、初日、十勝、札幌

大破

プリンツ・オイゲン

中破

土佐、尾張、ドイッチュ、 ヴァンガード、シャルンホルスト、秋風、峯月

航空機184機(破損により海中投棄した機体も含む)

と言った具合だった。

そのころ中東戦線は終わりかけていた。イラン軍は残った兵力を三分し、一つをトルコ、ドイツ軍がくる西方へ、一つを日本軍がくる南東へ、そして一つをテヘランへ配備した。ただ日本軍は易々と南東軍を突破してテヘランへと迫った。

「第11、22の軍は北西方向へと移動して敵のドイツ軍に対する部隊の補給を絶つと同時に残る方面軍主力が東から包囲する。」

この方針を元にテヘランへと前進した時にイラン元首の小平が最後の賭けへと出た。テヘランにはアメリカのレンドリースによってアメリカ式装備の精鋭十個師団20万弱の兵力がいた。その内八個師団16万を差し向けて西側から同盟軍の側背をついて補給線を遮断、そして同盟を包囲殲滅する作戦だった。まず悪魔の畑と呼ばれる地雷源とそれを超えると獅子の巣穴と呼ばれる対戦車猟兵が潜む地下陣地があった。そこでの消耗も作戦の内だった。悪魔の畑に最初に踏み込んだのは先鋒を司るインド第八機甲旅団だった。その旅団長のラージ准将は九四式装甲指揮車に乗っていた。彼は比較的自ら先頭に立つのを好む性格でこの日も先頭の方にいた。インド軍機甲部隊の中核は九九式中戦車改で彼等は悪魔の畑へと足を踏み入れた。

「先頭車爆発!」

ラージはハッチを開ける。地雷に吹き飛ばされたであろう車両の残骸が目の前にあった。対戦車地雷のみの地雷源なため歩兵は速やかに撤退できたが九四式装甲指揮車の履帯が地雷を踏んだ。ラージは自分の車輌を包む炎を見ながら旅だった。

「大規模な砲撃で地雷源を清掃すると共に部隊には迂回路を探すように命令しろ!」

地雷源に対する有効な措置としては大規模な砲撃で爆発させることである。かのモンティもエルアラメインでやっている手段だ。そのころイラン軍はアメリカ製の兵器と若干のソ連製兵器を用いて地雷源突破に四苦八苦していた第八軍の後方を通過して司令部へと機甲部隊を中心に大部隊で前進した。砂嵐が飛行場で発生しており砂が発動機に入り込んだことに対処していて航空機が飛行できなかったのも痛かった。発見が遅れ、最初の部隊は横からの奇襲の前にあえなく崩れ去った。

「第十九機甲師団は何をしている?」

「はっ!補給中であります。」

「よろしい。すぐに迎撃態勢を整えさせろ。おそらく首都に突入されたくないがゆえの時間稼ぎで多くても旅団規模であろう。」

敵を過小評価していたこの誤判断が同盟軍を混乱に陥れる第一歩だとは誰も思わなかった。

「司令部より敵襲に備えよとのことです。」

「敵の規模は?」

「推定で旅団規模とのことです。」

「ならば第二旅団を先頭にして、支援旅団から一個自走砲連隊を抽出、これを向かわせろ。」

「はっ!」

満州国の機甲師団が態勢を整えているところでイラン軍の先鋒が突っ込んできた。

「西側より敵襲!」

「なに?」

ハン少将は双眼鏡を取り出し西側を見た。砂煙の先頭に立つのはイラン軍のシャーマン戦車だった。有に一個軍団程度はいる。

「方面軍司令部に連絡!我敵機甲部隊の攻撃を受けり!敵規模は軍団以上!平文で構わん、早く打て!」

「りょ、了解!」

「これより後退して方面軍の主力と合流を図る。」

「左翼側から後方に機甲部隊が進出、T34/85が主力かと思われます。」

「くっ、退路を断たれたか。円筒陣に組み替えて味方による救援を待つ。各部隊に伝達せよ。」

「了解!」

「第十九機甲師団は敵に包囲されました。増援を求めています。」

方面軍司令部は大混乱に陥った。イラン軍最精鋭で中東最強とよばれた第一特殊大隊が同盟軍に化けて後方の輸送路に地雷をしかけたり、物資を破壊したりなどの後方攪乱にでた。多国籍軍たる同盟は検問設置で検問のため聞く質問が設定できないなど多国籍軍であることが裏目に出た。たしかに同盟軍は軍人手帳を配布していて検問所でそれを見せることを命令したがイラン軍特殊大隊も戦死した同盟軍兵士から軍人手帳を略奪したり、同盟軍兵士にも度重なる激戦で紛失している兵士もいたため大した効果も得られなかった。

「このままではかなりまずいな。後方部隊の増援を東側からテヘランへと突入させろ。現在の敵軍攻勢によって手薄な敵の首都を陥落させる。西側の部隊は第十九機甲師団の救出は難しいため同師団には自力で包囲網を突破してもらうしかない。航空隊には砂嵐による被害が回復次第航空支援を行うよう依頼しろ。」

今村方面軍司令官の命令が出された。

「待ってください。予備の第七機甲軍をテヘランの南側を通過させテヘランへの包囲網をしいた方がいいかと。そうすればドイツ軍と戦っている部隊、西側から攻撃に出ている部隊は遊軍となります。」

参謀の上村准将が異議を唱えた。

「いや、第七機甲軍が敵軍によって阻止された場合には第七機甲軍が敵軍の包囲に陥る。現状自由に動かせる数少ない機甲部隊なのだからここに投入するのは兵力をいたずらに消耗する無駄な作戦である。それよりもテヘランへの攻撃、今夜にでも第二夜戦連隊にテヘラン突入命令を。」

参謀長の八原中将がさらなる代案を出す。

「アレを出すか。」

「はい、わざわざテヘラン攻略にかかったばかりのこの時期に送ってくるとは実戦で使えるかどうか試験しろとのことでしょう。」

たしかに第二夜戦連隊は大本営、ひいては俺が出撃させたものだ。

「それもそうだな。よし、夜間テヘラン突入の計画を立ててくれ。」

「やはり、駆動車で夕暮れから侵入し、上空は垂直離着陸機で援護させます。これが最善かと。」

「たしかにそうだな。明日の夜明けまでに東側の区域を掃討、明日より機甲部隊を中心として東側から首都ど真ん中に攻勢をかける。」

「はっ!直ちに出撃準備にかからせます。」

「頼んだぞ。」

「はっ!」

イラン軍の起死回生の賭けと同盟の夜襲、これが中東戦線に及ぼす影響はいかに。

感想、ポイント評価、よろしくお願いします。

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