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第42話、3層深部2

 聡と鎧がにらみ合う。

 先に動いたのは鎧だった。先ほどと同じペースで歩いて聡に近づく。

 ロングソードを振りかぶり、袈裟斬り 聡と鎧がにらみ合う。

 先に動いたのは鎧だった。先ほどと同じペースで歩いて聡に近づく。

 ロングソードを振りかぶり、袈裟斬りを繰り出してくる。

 それに対して聡は魔力噴射を使い、スキルを警戒して大げさに避ける。

 鎧は空振りした剣を素早く引き戻し、大きく踏み込みながら突きを放つ。

 その動きは長年修練した戦士のように速く、力強かった。

 

 聡は突きをギリギリ盾で防いだものの、鎧の動きについていけずバランスを崩してしまった。

 鎧はその隙を見逃さず、腕を伸ばしきった体勢からさらに腕を振り、聡に少しでも傷をつけようとする。

 聡は転がるように後ろへ下がりながら、魔力噴射で強引に姿勢を戻した。


 再び聡と鎧の距離が開いた。

「思ったより器用だな……」

 聡は武器の扱いでは鎧に負けていることを自覚する。

「それでも、魔力噴射を使えば力では勝てるはず……」

 聡はそう考え、勝つ方法を模索する。


 厄介なのはロングソードを使っていることによるリーチの長さだ。

 今まで戦った動物型のモンスターなら体の大きさとリーチはほぼ比例していた。

 だが、今回は違う。まずはあの剣をどうにかしなくてはいけない。

 聡はそう考えながら鎧に近づいた。


 鎧は聡が攻撃範囲に入るやいなや剣を大きく引き、横なぎに剣を振る。

 聡は戦槌の両端を持ち、その中間でロングソードを受け止める。

 そして鎧がロングソードを引き戻すのを待たずに、次の行動に移る。

 先端をつかんでいた手を離しながら魔力噴射を発動させた。

 予備動作なく、すさまじい力で振られた戦槌はその勢いをロングソードに伝える。

 結果、鎧の手からロングソードが弾き飛んだ。


 無手になった鎧は剣を拾いに行く素振りは見せず、聡に殴りかかってきた。

 聡はそれを盾で防ぐ。先ほどの突きより威力も速度も劣っていたため防ぐのは難しくなかった。

 相手の攻撃の隙をついて、鎧の膝に戦槌を叩きつける。

 鎧の脚がひしゃげ、バランスを崩して倒れた。血は出ていないようだった。

 聡は鎧が立ち上がる前にその手足を次々と破壊していった。

 

「月野さん、お疲れ。倒さないようにしてくれたのね」

「はい。やっぱり中に何が入っているのか気になりまして」

「一体何が入っているんでしょうね」

 舞はそう言いながら氷魔法で鎧の胴体を地面に固定した。


 聡は鎧を観察する。表面は一般的な鉄のような素材でできているようだ。

 先ほどの戦闘で殴った場所以外に大きな傷は見当たらない。

 鎧の足先の部分をつかみ、脱がせようとしてみる。

 すると抵抗を感じた。だが、一般的な靴を脱がせるときのような感覚ではなかった。

 魔力噴射も使い全力で引っ張ってみる。

 引っ張った結果、足先の部分が取れたと思うと、鎧全体が煙に変わった。

 あとに残ったのは魔石だけだった。


「結局はモンスターだったみたいですね」

「そうね。でも本当に人間みたいだったわね。

 鎧の動きを見ていたけど、人間にできないような動きは一回もしていなかったように見えたわ」

「それを考慮すると、鎧のスキルは熟達系だったんじゃないでしょうか。

 素手での攻撃はなんだか威力がありませんでしたし」

「そう考えるのが自然よね。でも念のため何回か戦ってみて他のスキルがないか確認してみましょう」

 聡たちはその後、3層深部で何回か鎧と戦い、他のスキルを使ってこないことを確認した。


 その後いくらか深部を回ってみたが鎧以外のモンスターと出会うことは無かった。

 しかし、たまに剣以外の武器を持つ鎧がいた。

 聡たちはその鎧とも戦ってみたが、熟達系のスキル以外は使っていないようだと結論付けた。

 そして探索を切り上げ、地上へと戻った。


「今日はお疲れ様でした」

「月野さんもお疲れさま。今日撮った、3層深部の写真は調べてみるわ」

「どうやって調べるんですか?」

「知り合いに写真を調べてくれる人がいるの。その人に特定を頼んでみるつもり」

「分かりました。よろしくお願いします」

 そのまま2人は帰路についた。


 数日後、舞から連絡があった。

「月野さん、今話せるかしら。3層深部の写真の調査結果が出たの」

「大丈夫です。時間はいくらでもありますから」

「良かった。結果から言うと、電球と燭台に関しては、少なくとも量産はされていないものだったわ。

 レンガと石畳は候補が多くて調べつくすことはできなかった。

 ただ、電球に関して1つ気になった点があるらしいわ」

 

「続けてください」

「写真に写っているものと全く同じ製品は存在しなかったんだけど、特徴を分解すると既存の製品と一致する部分があったの」

「……つまり、完全オリジナルではないということでしょうか」

「そうみたい。後で資料を送るからメールアドレスを教えてちょうだい」

「分かりました。アドレスは……」

「今送信したわ、もうすぐ届くはずよ」

「素早く調べていただきありがとうございます。早速資料を見ていこうと思います」

 聡はそう言って電話を切った。


 そのままパソコンに向かい資料に目を通す。

 資料を読んだところ、電球に関しては複数の製品を融合させたようなものだということが様々な観点から書かれていた。

 読み終わった聡はベッドで横になり、考える。

 「これまでダンジョンで見たものは地球のものに似ていたな……」

 蔦狼など複数種類が混じったものこそあれど、基本は地球のものや生き物をベースにしていた。

 そこにダンジョンの秘密へのカギがあるのではないかと思い、その日は様々な想像を膨らませた。

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