↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/48

第33話、3層浅部3

 聡たちは3層浅部を探索している。

 モンスターの生態と護衛時の地形情報を得るための探索だった。

 普段だったら先を目指して進む時間を、分岐の行き止まりなどを調査するために使っていた。

 その結果、なかなか先へ進むことはできずモンスターともほとんど出会わない状況が続いていた。


「モンスターが居ないわね」

「魔力濃度は確実に濃くなってますから、モンスターの数は増えているはずなんですけどね」

 そんな会話をしていた時、逆魔力探知に魔力吸収反応を捉えた。

「モンスターがいました。ついてきてください」


 反応に従って進むと、聡たちの前には氷穴針鼠が2匹現れた。

「針鼠ですね。今回は僕が行きます」

「待って。月野さん、左腕を出して」

 舞の氷魔法で聡の左手に氷の円盾が出現する。

「ありがとうございます。舞さん」

「棘に気をつけて」


 聡は針鼠の前に出る。

 2匹の針鼠は体を丸め、球状になる。

 聡は盾を構えながらゆっくりと進み、針鼠の出方を窺う。

 

 針鼠までの距離があと数歩というところで前方の針鼠が急に破裂したように見えた。

 実際には全身の氷柱を周囲に飛ばしたのだ。

 聡は咄嗟に盾で顔をガードしたが、右腕、胴体、脚に氷柱が襲いかかる。


 氷柱のほとんどはモンスター素材の服に弾かれたが、モンスター素材でない箇所は氷柱が刺さった。

 戦槌を握る手袋と靴がその例外だ。

 聡は思わず戦槌を手放し、後ろに下がった。

 

 だが、その隙をモンスターは見逃してくれない。

 もう1匹の針鼠が突進してきた。

 聡はその突進を盾で受け、シールドバッシュの要領で後ろに弾き飛ばそうとする。

 今回は氷柱が盾に刺さらなかったため針鼠と距離を置くことができた。

 氷柱を飛ばした方の針鼠はまだ氷柱を再生中のようだった。

 それは脅威にならないと判断した聡は手と靴に刺さった氷柱を抜き始める。


 舞が大盾を構えて聡の前に出た。

「月野さん、大丈夫?」

「軽症です。ポーション1本で全快する程度ですね。

 針鼠のスキルは移動じゃなくて氷魔法に近いものなのかもしれません」

「考察している場合じゃないと思うけど……

 あのハリネズミの相手は大盾がないと厳しいと思うわ。

 だから私が倒しましょうか?」

「すみません、お願いします」


 今度は舞が前に出た。氷の大盾で全身をカバーしながら歩みを進める。

 針鼠の方はどちらも氷柱が生え揃っており、万全の態勢だった。

 針鼠は再び丸まり、戦闘態勢を取る。

 

 大盾を構えた舞は、針鼠たちに対して素早く距離を詰める。

 手前の針鼠に近づいた舞は空中に氷の塊を出現させた。

 氷の塊は重力と氷魔法により2重に加速しながら落ちる。落下地点には針鼠。

 針鼠は跳んで逃げようとするが、間に合わず氷の塊に押しつぶされる。

 身動きが取れなくなったところで舞のロングソードが突き込まれた。

 針鼠が煙へと変わる。


 舞はもう1匹の針鼠へと前進する。

 もう1匹はすでに丸まっている。戦闘態勢だ。

 舞との距離が5歩ほどになったところで針鼠が予備動作なく跳躍した。

 舞を飛び越すような軌道で弧を描く。

 舞は氷魔法スキルで動きを補助しながら大盾を針鼠に向け続ける。


 そして、針鼠が空中で氷柱をまき散らした。

 大盾に氷柱が降り注ぐ。大盾はこれを難なく防いだ。

 針鼠は舞の背後に着地する。

 そのまま手足を使って舞に接近し、足に噛みついた。

 

 舞は大盾から手を離し、針鼠を掴んで引き剥がそうとする。

 しかし、針鼠から生え始めた氷柱が舞の手を刺す。

 舞はそれを無視して針鼠を引き剥がした。

 針鼠を手で掴んだままロングソードで切り裂き、針鼠は煙に変わった。


「舞さん、お疲れ様です。噛みつかれていましたが大丈夫ですか?」

「怪我はないわ。短時間だったから防具で防げたの」

「それは良かったです。

 先ほどの頭上からの攻撃も厄介そうですね。大盾でなければ防げなかったと思います」

「そうね。攻撃範囲も広いし、護衛のときは何かしら対策しないといけないわ。」

 

「護衛対象の前に予め盾を出しておくのはどうでしょう」

「これまでも盾を貫通する攻撃をしてくるモンスターはほぼいなかったから大体は大丈夫だと思う。

 でも2層深部の刃鳥はそれだと不十分かも。

 空を飛んでいるから別方向から攻撃される可能性があるわね」

 

「戦闘ごとにドームを作るのは難しいですよね」

「そうね。人を覆えるサイズだと魔力消費が大きいからあまり連続して使えないし、モンスターを呼び寄せることになるわ」

「刃鳥との接敵時はドームで、他は盾だけを展開するしかなさそうですね。

 追加で寄ってきたモンスターはなんとか処理するという形しか思いつきません」

「残念だけど私もそう。この件は一旦保留にして、いい案が浮かんだら変えましょう」


 聡たちはポーションを使ったこともあり、その日の探索を切り上げて地上へ戻る。

 その途中で聡は勤の家に寄り、研究探索の概要を説明するとともに、その協力を打診した。

 勤は快諾してくれたが、いつものように食事をご馳走になってしまった。

 聡は研究探索への障害がなくなった安堵と、勤に世話になってばかりだという申し訳なさを抱えながら地上に戻った。

リアクション、高評価、ブックマーク、感想をいただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。