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第18話、スキルオーブ探し

本日2話目

 聡はソロでダンジョンに来ていた。

 舞とパーティーを組んだとはいえ、毎日一緒に行動というわけにはいかない。

 聡と舞は週に2回、共にダンジョンへ挑むと決めてある。

 今日は生活費とスキルオーブ購入代を稼ぐため自主的にダンジョンへ来ている。


 聡は1層深部で狩りをしつつ、新しいスキルの方向性について考える。

 聡の役割は攻撃と妨害。それを更に伸ばすべきか、別の役割を持てるようにするか。

「今後の不安要素は、粘着糸での妨害だな」

 現在の粘着糸を地面に撒き散らす戦法は、2層中部のような特殊な環境以外では概ね機能している。

 しかし、森林熊のような力の強いモンスターには突破されるし、頭のいいモンスターには避けられる。

 今後は有効な戦術ではなくなる可能性が高い。

 だからスキルで強化するならここが聡の戦法に合っている気がした。


「でも攻撃力も欲しい」

 現状の聡の攻撃手段は戦槌とナイフ。しかしナイフはリーチが短いため、攻撃的に使うのは難しい。

 実質的には戦槌だけで敵を倒さねばならない場面がほとんどだ。

 だから聡の筋力以上の攻撃力が必要となった時、手も足も出なくなってしまう。

「いざとなったら舞さんの氷魔法に頼るか……でも、他人任せはなあ……」

 長らくソロで活動してきた聡にとって、敵を倒す役割を他人任せにすることはまだ受け入れにくかった。


 別の役割については、今のところ必要だと感じたことはない。

 聡も舞もパーティーを組むまでソロで活動してきた。つまり最低限のことは自分自身でこなせるということだ。

 試しに組んだ時も、弱点をカバーし合うのではなく、長所を伸ばす形の連携に落ち着いた。

 これ以上できることを増やしてもパーティーの強みは伸びないと聡は考えた。


 聡は狩りを終えた後、舞に電話をかけた。

「もしもし、木崎です」

「月野です。今日は僕のスキルのことで相談したくて電話しました。今お時間大丈夫でしょうか?」

「大丈夫よ。それで、スキルの相談って?」

「実は今、新しいスキルオーブを買おうと思っているんですが……買う前に、舞さんの視点からどんなスキルがあると良いか聞いてみたいんです。」

 

「なるほどね……私から言わせてもらうと、ズバリ火力が欲しいわ。

 今のところ、防御面については私の氷の盾で十分間に合ってると思うの」

「それは僕も承知しています」

「それで次に問題になってくるのが魔力消費。継戦能力と言い換えても良いわね。

 盾を出すのも維持するのも魔力が必要よ。ダラダラ戦うだけで消耗するの。

 奥へ進むと戦闘回数も増えるし、消費を抑えるためにも1戦を短くする必要があるわ。そのための火力が欲しい」

 

「継戦のための火力か……その発想はありませんでした。相談して良かったです。ありがとうございます」

「そう言ってもらえて良かったわ。

 買う前に相談してくれたからこっちの意見を言えたし、

 月野さんの役に立てたならパーティーメンバーとして嬉しいわ」


 聡はもう一度礼を言い、電話を切ろうとする。

「あ、そうだ」

「どうしましたか?」

「前におじいちゃんに聞いたんだけど……新しいスキルを選ぶときは単純に足すんじゃなくて、今あるスキルとの相性を気にしたほうが良いらしいわ」

「相性というと、弱点を補い合ったりする感じでしょうか」

 

「そう、それに加えて、長所を伸ばし合うことも重要よ。

 そんな都合のいいスキル、なかなか見つからないと思うけど、頭の片隅にでも入れておいて。」

「分かりました。教えていただきありがとうございます」

「こういうのは何度でもやっていいからね。私の攻略にも関わることだしね」

「はい、その時はよろしくお願いします」

 聡は電話を切った。


 聡はもう一度必要なスキルについて考える。

 舞からは素早く敵を倒せるスキルを要望された。

 理由も理にかなっていて、パーティーとしても個人としてもメリットは大きい。

 だから聡は攻撃力を強化する方向性でスキルを選ぶことにした。


 聡はパソコンに向かい、出品されているスキルオーブ一覧を開く。

 前に一度見たスキルも、自分の持っているスキルとの相乗効果を意識して見返す。

「でも魔力吸収と糸放出で火力に貢献ってできるのかな……」


 そんな中、ある1つのスキルが目に留まる。

 そのスキルの名前は魔力噴射。

 自分の魔力を放出して推進力を得るスキルらしい。

 ネット上を探してみると、似たスキルの所持者が書いた体験談を見つけた。

 魔力噴射スキルは使いこなすのが容易で、威力も高い。

 だが、魔力をそのまま放出するため、燃費がすこぶる悪い。だから非推奨。そう結論づけられていた。


 聡は体験談のある一文に目をつけた。

「魔力をそのまま放出する」

 聡の魔力吸収スキルで放出した魔力を再度取り込むことで、実質的に少ないロスでスキルを使えないかと考えた。

 この記述の裏付けを探す。別のページに検証記録が残っていた。

 魔力を発するというのは、計測器で正式に調べた結果分かったことらしい。

 つまり、魔力吸収の対象になり得る。

「これだ!」

 聡は貯蓄のほとんどを使って魔力噴射のスキルオーブを購入した。

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