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第17話、再び勤のもとへ

本日1話目

 聡たちは勤のツリーハウスに到着した。

「おお、よく来たな。聡君、舞。まあ上がって行きなさい」

「ただいま、おじいちゃん」

「お世話になっております」

 3人は軽く挨拶を交わすと、テーブルに座り、茶を飲みながら話す。


「それで……聡君がいるということは、何か用があって来たのだろう?なくても大歓迎だがな」

「この前、則教授を紹介していただいたことで、僕のスキルに関する研究が進みました。そのことを報告に来ました。」

「おお、それでどんな具合だ?」

「高レベルの探索者なら、高濃度の魔力を吸収するとドロップ品を食べる間隔が伸びるらしいんです」

「そいつは凄い」

「だから今、魔石から高濃度の魔力を生成する器具を作っているそうです」

「朗報だな。これで探索者も少しは安心して暮らせるだろう。

 聡君も則教授もよくやってくれた。後で手紙を書くから、地上に戻ったら投函してくれないか」

「お安い御用です」


「私からも報告があるわ」

「おお、いい知らせか?」

「おじいちゃんにとっては悪い知らせかもね……実は月野さんとパーティーを組むことにしたの」

「ははぁ、ワシが反対すると思っているんだろう」

「しないの?」

「しないさ。舞はもう立派な大人だ。自分で考えて決めたことに反対などしない。だが……」


 勤の顔が真剣になる。

「パーティーを組むということは、互いに命を預けること。2人はその覚悟ができているのか?互いの目的に命を賭けられるか?」

「僕はできています。お互いの目的は違っても過程は同じ。だから全力で同じ道を行くだけです」

「よし、聡君の覚悟は分かった」

 

「私は……」

「舞?」

「上手く言葉にするのは難しいわね……ダンジョンの奥にある景色を見たいっていうのが私の目標で……1人じゃ辿り着けないからパーティーを組むの」

「そうだな」

「それで……誰かが目の前で死ぬことには耐えられない。とりわけ、自分のせいでそうなるなんてことは絶対嫌。だからそれを防ぐために全てを賭ける」

「分かった、舞」

 

「2人の覚悟は分かった。最後に、1つだけ言っておくことがある。

 先ほどの話と矛盾するかもしれないが、何よりも自分の命を大切にすることだ。」

 勤が立ち上がって戸棚に掛かっている剣を取る。

「これは研究を手伝っていた頃、護衛だった男の遺品だ。

 死んだらこんなつまらない物しか残らん」

 再び席に座って続ける。

「強敵や困難と相対して引き下がることはなんの恥でもない。

 生きてさえいれば何度失敗してもやり直せるし、多くの物を残せる。それだけは覚えておいてくれ」

「分かりました」

「分かったわ」


 勤は立ち上がって笑った。

 「堅苦しい話はここまでだ、今夜は激励会だぞ!」

 そこからは目が回るほどの勢いで時間が進む。

 3人は夜になるまで野菜の収穫、料理、地上への買い出などの準備をし、その後は宴会を楽しんだ。

 勤秘蔵の酒、聡にはよくわからない高級食材など多くの物がテーブルに並んでいた。

 だが、聡にはそれらよりも皆で集まって騒ぐこと自体が心地よかった。


 翌日の朝、聡は宴会の片付けをしてツリーハウスを出た。舞はもう少し勤の家に留まるようだった。

 そのまま家に帰る。

 聡の脳内にはパーティーを組んだこと以外にも議題が浮かんでいた。

 本格的に魔力を消費するスキルを入手することである。

 スキルは基本的に魔力を消費する。基本的に魔力消費量の多いものほど起こせる事象は大きくなるといわれている。


 聡は今回、魔力吸入器を使って瞬時に魔力を回復できるようになった。

 だから強力なスキルを使っても、いざという時に撃てないという事態にはなりにくいはず。

 聡はそう考え、スキル探しを始めた。

 スキルオーブはダンジョン協会で売買されることが多い。

 ダンジョン協会だけがスキルオーブの組織的な鑑定体制を持っていて詐欺の心配が少ないからだ。


「どんなスキルが合ってるかな」

 パソコンを使ってダンジョン協会のサイトへアクセスし、スキルオーブの売買ページへと飛ぶ。

 サイトには様々なスキルオーブが並んでいる。

 聡は値段順に並び替えをし、価格の低い順に見ていく。

 

 汎用性が高いスキルは基本的に価格が高い。

 このページの主な顧客は低層探索者で、自身の安全を確保するために安定したスキルを望むからだ。

 聡は既に攻略スタイルが確立している上に、パーティーを組んでいる。

 そのため、対応が必要な状況がほかの探索者と比べて少ないと言っていいだろう。

 そういった現状では、多少ピーキーなスキルでも採用する余地はあると考えた。


 聡のパーティーにおける役割は糸による妨害と攻撃だ。それらを強化しつつ少しは舞のサポートに回れるスキルをリストから探す。

「やっぱりすぐ見つけるのは難しいな」

 その日は使えそうなスキルは見つからなかった。

 

 今更になって思い至る。

「パーティーを組んだんだし、スキルのことを相談してみようか」

 次、舞に会ったときはパーティーの今後について話し合おうと決めた。

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