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EP 7

【悪ノリ】ルチアナの企画『第一回・カイト農場レモン早食い選手権』

カイト農場、前庭の広場。

そこには、木箱を並べて急造された長テーブルと、その上にうず高く積まれた『Sランク・スターレモン』の山が用意されていた。

「はい、配信スタートっと!」

創造神のルチアナは、三脚に固定した魔導スマートフォンに向かって、テンション高めに手を振った。

「天魔窟のリスナーのみんな、こんにちは~! チャンネル登録者数3人の『ルチアナちゃんねる』、今日は緊急生配信よ! 名付けて……『第一回・カイト農場 悶絶! Sランクレモン早食い選手権』!!」

スマホの画面端に、ぽつぽつとリスナーのコメントが流れ始める。

『なんだこれ?』『レモン食うだけ?』『登録者3人草』など、最初は冷ややかな反応だ。

「ふふふ、ただのレモンじゃないわよ。異世界最強の農民が作った、酸味が規格外の『Sランク』フルーツよ! そして、優勝者にはなんと……私の自腹で**金貨100枚(約100万円)**を贈呈しまーす!」

『金貨100枚!?』『マジで!?』

金額が発表された瞬間、コメント欄の流れる速度が少し上がった。

しかし、その賞金に一番早く反応したのは、画面の向こうのリスナーではなく、農場に居候するポンコツ美女たちだった。

「ひゃ、ひゃくまんえん……!! そのお金があれば、最高級の骨付き肉が一生分食べられますわ!」

ドタドタドタッ! と犬耳と尻尾を激しく揺らしながら乱入してきたのは、獣人のリベラだ。

彼女の口元からは、すでにエア骨付き肉を想像したヨダレが垂れている。

「ふははは! 面白い企画をやっているじゃないか!」

続いて、バサァッ!と真紅の翼を広げて空から舞い降りたのは、不死鳥のフレア。

「レモンの酸味ごとき、我が不死鳥の灼熱の胃袋で、果汁ごと瞬時に蒸発させてやりますわ! 優勝賞金は、新作の美容液代にいただきます!」

「……騒々しいと思ったら、またルチアナが馬鹿なことをやっているのね」

最後に、腕を組んで優雅に(しかし少し早歩きで)現れたのは、魔王ラスティアだった。

「まあ、魔王たる私に死角はないわ。この程度の果実、瞬きする間に平らげてみせよう。……ちょうど、欲しかった『地球の高スペック・ゲーミングPC』が金貨100枚くらいなのよね」

「あんたたち……。完全にSランクの酸っぱさを舐めてるよ」

長テーブルの端でレモンの補充係をさせられている農民のカイトが、呆れたようにジト目を向けた。

「あのね、僕の作った『スターレモン』は、魔力をたっぷり吸ってクエン酸が異常に濃縮されてるんだ。一口かじっただけでも、脳がパニックを起こすレベルの……」

「うるさいわねカイト! 男は黙ってレモンを積みなさい!」

「はいっ! 私、負けません! 賞金は絶対私のものですぅぅ!」

カイトの忠告を遮るように、顔面にドロップキックの包帯を巻いた貧乏神のリーザが、目を血走らせてテーブルの前に陣取った。

マッハ・ウーバーの倒産で全財産を失った彼女の執念は、誰よりも凄まじい。

「よしよし! 参加者は出揃ったわね!」

ルチアナがご機嫌でスマホのカメラを参加者たちに向ける。

【第一レーン】 血走る貧乏神・リーザ。

【第二レーン】 腹ペコ弁護士娘・リベラ。

【第三レーン】 熱血アホ鳥・フレア。

【第四レーン】 見栄っ張り魔王・ラスティア。

「ルールは簡単! 制限時間3分以内に、この『スターレモン』を一番多く皮ごと食い尽くした者の勝ちよ! 途中で吐き出したり、気絶したらその時点でリタイアだからね!」

ルチアナがピッと笛を咥えた。

「ちょ、ちょっと待って! せめて皮は剥いてあげなよ! 農薬は使ってないけど、皮の渋みと酸味が合わさると本当に胃に穴が……!」

カイトが止めに入るが、もはや狂騒の渦の中にある参加者たちの耳には届かない。

『なんかヤバそうな面々が揃ったな』『魔王いねえかあれ?』『面白そうじゃん!』

配信の同接(同時接続者数)が、徐々に、しかし確実に伸び始めていた。

「それじゃあ、視聴者のみんなも瞬き厳禁よ!」

ルチアナが、勢いよく笛を吹いた。

――ピィィィィィィィッ!!!

「「「いただきます(わ)!!!」」」

金貨100枚という欲望に目が眩んだ4人の美女たちが、一斉にSランク・スターレモンに文字通り「かじりついた」。

その直後、農場にこの世の終わりかというほどの絶叫が響き渡ることになる。

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