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EP 4

【極貧】リーザ、買えないなら貰えばいい

「……眩しい」

「……ええ、直視できません」

カイト農場のリビングの隅、柱の陰。

そこに、体育座りをしてうずくまる二つの影があった。

強欲アイドル・リーザと、月兎族・キャルルである。

彼女たちの視線の先には、高級化粧水『SK-∞(金貨5枚)』を塗りたくり、ピカピカに発光している富裕層(ルチアナ、ラスティア、フレア、リベラ、ルナ)たちの姿があった。

「いいなぁ……モチモチ肌……」

リーザが乾いた唇を舐める。

「ルナさんなんて、世界樹のエキスですよ? 私たちとは細胞レベルで格差があります」

キャルルがため息をつく。

「ねえキャルル。あんた、貯金あるでしょ? 一本くらい買えば?」

リーザがジト目で尋ねる。

キャルルはブンブンと首を振った。

「ダメです! あれは未来の旦那様との結婚資金なんです! 化粧水一本に5万円なんて、正気の沙汰じゃありません!」

「ケチねぇ……。でも、女としての潤いは欲しいじゃない?」

「それは……そうですけど……」

キャルルは自分の頬を触った。

連日のマッハ移動による風圧で、少しカサついている気がする。

でも、金貨5枚は高すぎる。

「ふふふ……。なら、いい場所があるわよ」

リーザがニヤリと笑い、キャルルの耳元で悪魔の囁きをした。

「お金を使わずに……あの『高級ブランド化粧品』を試せる場所がね」

「えっ!? そ、そんな夢のような場所が!?」

キャルルのうさ耳がピクリと反応する。

「あるのよ。天魔窟の商業エリアにある……**『天魔窟デパート』**の1階がね」

「デ、デパート……!」

キャルルがゴクリと唾を飲む。

そこは、最新の魔道具やブランド装備が並ぶ、庶民の憧れの聖地。

「あそこの化粧品売りコスメフロアにはね……**『試供品サンプル』**という名の、無料の泉が湧いているのよ」

「む、無料タダ……!?」

キャルルの瞳が、金貨のように輝いた。

「無料」「半額」「セール」。

堅実な彼女にとって、これほど甘美な響きはない。

「でもリーザさん、タダで貰うなんて……お店の人に悪くないですか?」

「甘いわねキャルル! これは**『マーケティング調査』**への協力よ!」

リーザが力説する。

「私たちはアイドルと冒険者よ? 顔が命の職業よ? そんな私たちが使って『これイイ!』って宣伝すれば、お店もウィンウィンじゃない!」

「な、なるほど……! さすがリーザさん、頭いい!」

(※完全に詭弁である)

「作戦はこうよ。BAビューティー・アドバイザーのお姉さんに肌診断をしてもらって、巧みに悩みを相談し、最終的に『家で試してみたいですぅ~』ってサンプルを貰うの!」

「ハイレベルな心理戦ですね……! 元近衛騎士候補として、負けられません!」

キャルルが立ち上がった。

結婚資金は守りつつ、美肌も手に入れる。

これぞ最強の節約術だ。

「行きましょうリーザさん! デパートの本丸へ!」

「ええ、行くわよ! 目指すは『サンプル全種類制覇』よ!」

二人は固い握手を交わし、農場を飛び出した。

財布の紐は固いが、欲望には忠実な二人の背中には、悲壮な決意が漂っていた。

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