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EP 3

【格差】エルフの美容は次元が違う

「さあさあ! 次のお客さんはどなた~?」

カイト農場のリビングにて。

創造神ルチアナは、金貨の山を築き上げ、すっかり「悪徳商人」の顔になっていた。

地球から密輸した高級化粧水**『SK-∞(インフィニティ)』**は、ラスティア、フレア、リベラという富裕層セレブたちに飛ぶように売れた。

「次は……そこの貴女ね?」

ルチアナの視線が、ソファで優雅にハーブティーを飲んでいるエルフの美女に向けられた。

ルナ・シンフォニアだ。

「ルナ! 貴女もどう? エルフの肌は白いけど、紫外線には弱いでしょ? 今なら**『美白スペシャルセット』**が、なんと金貨10枚(約10万円)よ!」

ルチアナがボトルをジャグリングしながらセールスする。

しかし、ルナはカップを置き、困ったように微笑んだ。

「あら、私はいいわ。……愛用しているものがあるから」

「ハァ? 愛用?」

ルチアナが眉をひそめる。

「言っちゃ悪いけど、地球の美容科学テクノロジーは凄いわよ? 酵母の力で肌細胞を活性化させるんだから。異世界の錬金術なんて目じゃないわよ」

「ふふ、酵母……微生物の力ね。確かに興味深いけれど」

ルナは懐から、小指ほどの大きさの小瓶を取り出した。

その瞬間。

カッ……!

リビングが、七色の柔らかな光に包まれた。

小瓶の中で揺らめいているのは、液体というより「光そのもの」に見える。

「な、何それ……?」

ラスティアが目を丸くする。

「実家の庭にある**『世界樹ユグドラシル』**の、一番搾りの朝露を精製した美容液よ」

「「「せ、世界樹ぅぅぅ!?」」」

全員が絶叫した。

世界樹ユグドラシル。それはエルフの里の最深部にしか存在しない、伝説の神木だ。その雫は、一滴で死者を蘇らせるとも言われる国宝級の代物である。

「効果は……そうねぇ。『細胞の完全若返り』と『魔力回路の修復』、あとは副次効果として**『肌が発光する(物理)』**かしら」

ルナが小瓶の蓋を開ける。

芳醇な森の香りと、圧倒的なマナの奔流が溢れ出す。

「原価はタダ(実家産)だけど、市場に出せば小瓶一つで城が建つわね」

シーン……。

ルチアナの『SK-∞(金貨5枚)』が、急に霞んで見えた。

「デパートの高級品」と「神話級アーティファクト」。

勝負にならなかった。

「……勝てねぇ」

ラスティアがガクリと膝をつく。

「不老不死の私でも、世界樹のエキスには惹かれますわ……」

フレアが悔しそうに唇を噛む。

「ルナ様……それ、一口いただけませんか?」

リベラが本能(野生)丸出しでねだる。

「だーめ。これは私の肌に合うように調整してあるから」

ルナは悪戯っぽく笑い、小瓶をしまった。

「というわけでルチアナ、私は結構よ。……でも、その瓶のデザインは可愛いわね」

「ぐぬぬぬ……!」

ルチアナはギリリと歯ぎしりした。

「覚えてらっしゃい! 次はもっと凄い……『ドモホルン・リンクル(年齢肌用)』を持ってきてやるんだからぁぁ!」

創造神のプライドが粉砕された瞬間だった。

しかし、この雲の上の戦い(セレブvs超セレブ)を、指をくわえて見ているしかない**「最下層」**の二人がいた。

「……ねえ、キャルル」

「……はい、リーザさん」

柱の陰で、リーザとキャルルが体育座りをしていた。

「私たち……住む世界が違いすぎると思わない?」

「思います。金貨5枚とか、城が建つとか……意味が分かりません」

彼女たちの財布には、小銭(銀貨数枚)しか入っていない。

しかし、乙女の「美しくなりたい」という欲求は平等だ。

「行くわよ、キャルル」

リーザが立ち上がった。その瞳には、飢えた獣の光が宿っていた。

「**『天魔窟デパート』**へ……!」

「えっ? お金ないですよ?」

「ふふん。デパートにはね……**『無料タダの泉』**があるのよ」

貧乏アイドルと堅実ウサギの、仁義なき「サンプル争奪戦」が幕を開ける。

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