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182.回収作戦二回目、開始


ヒャッハー組捕縛作戦その二。

それが明日に迫っているため、緊張感が…



「えーと、これがゆず宛ての手紙で、こっちがシルバーさん宛ての寄せ書きで」

「あっちの世界で、こっちの世界の文字って読めるんですかね。こっちの世界にいる間しか読めない仕様とかじゃないでしょうか?」

「そ、それだと僕たちの書いた言葉、シルバーに読んでもらえないってことになるのだよ!」

「訳、書いとくか?」

「でも大した内容じゃないですしねぇ」

「お姉ちゃんは何でここに『オススメのお酒持ってきて』とか書いたのよ!酒は飲まないでって言ったでしょ!」

「そもそもシルバーさんてお酒飲む人なん?飲まん人やと酒の種類とかわからんやろ」

「飲めるけど率先して飲むわけじゃないっぽいかな?弟が弱いらしいから、自分だけ飲むのもなあって思ってるみたいだ」

「あー、一人酒しないタイプだな。ウチの父は見習ってほしい」

「アキ兄のおとん、よくリビングで寝落ちてるんだっけ?」

「そう。せめて自力で自室に戻ってからくたばれって言ってるのに聞きゃしない」

「くたばったらまずいのだよー!」



緊張感、欠片もなかった。

何の話してるんだ。

まあ、シルバーが来た時にまたそれぞれの家族に手紙を渡そうという話になったわけで。

それを用意してる時に、ベルさんがシルバー宛てのもあっていいんじゃないかと言い出して。

全員でシルバーに一言メッセージみたいなのを書き始め、寄せ書き状態になったのである。

…これは渡されたとしても、多分嫌がりはしないだろ。内心喜んでくれるはずだ。


いや、何の準備してるんだ。違うだろ、ヒャッハー組対策だろ。



「そうは言っても、行き当たりばったりでしょうしね」

「ひとまず皆『変装は解いて素顔状態でいる』くらいしか対策しようがなくないか?」

「今のとこ、森上さんも大丈夫なんやろ?ネロくん消えてないみたいだし」

「…それもそうか」



唯一の懸念事項…というのもあれだが、それが森上さんが持つ『光』スキルだもんな。

現時点で、ネロ(分裂体)が張り付いてからはスキル一度も使ってないみたいだけど…

スキルレベルは不明だが、恐らく6~7ほどと思われる。この時点で危ないスキルは1で覚える『点灯』、5で覚える『属性付与』。

そして…7で覚える『照射』か。特に『照射』は範囲攻撃のスキルだ。

ハルが使ってるところを見たけど、結構な輝きっぷりだった。本体ならともかく、分裂体だと近くで使われたら消えてしまいかねない。

スキルレベル7になってなければいいな…

でも暗い場所で明かりが必要になったら『点灯』は普通に有用だ。繰り返し使ってたら経験値が稼げるし、覚えててもおかしくない。

今彼女がいるのはどこかの森らしく、夜になったら多分光源は『点灯』だろう。



「今夜、消されずにすめばいいですね、ネロくんの分裂体…」

「今夜さえしのげば、明日捕縛だからな」



この懸念があるので、森上さんへの『配達』は最終日である今日行った。一日くらいなら何とかなるとネロが主張したのも理由だ。

もうネロを信じるしかない。朝になれば『光』スキルを使う機会もほぼないだろうし。

今日の伝達は既に終了して、もうあとは寝るだけになっている。なので最終調整をしてたわけだけど。



「今回は午前中に片付けたいのだな。前は午後だったけど」

「森上さんの『光』スキルのことも伝えたからな。出来るだけ急いで捕縛に移った方がいいってシルバーの主張が通ったんだろ」

『シルバーくんがこっち来るのはいつになるですかね』

「多分、捕縛作戦の前か最中に来るんじゃないか?午前のどっかで来ると思うな」

「シルバーさんが来てから作戦開始します?道を繋げっぱなしだと多分力を消耗し続けてるようなものですよね。すぐ引き渡せた方がいいでしょうか」

「そのくらい、誤差だろうから気にしなくていいと思うよ。シルバーが来てから開始でいいと思う」



現に最初に来た時は、結構な時間繋げっ放しだった。

芝とか山の魔物とかの戦いもあり、その後にカーくんの中で情報共有。

これだけで数時間は経過している。この間ずっと道を繋げていたので、数十分程度は本当に誤差である。



「そっか、じゃあ来てからの行動開始でいいか。朝には来るって言ってたから、朝ご飯食べた後、外に出ないとな。待ち時間は採取でもしよっかな?」

「手伝うわよ、アキ」

「やったね」

「まあ自由時間に何をしてもいいが…モリガミ以外は警戒しなくていいのか?あと三人は誰なのだよ」

「七海と都築と室伏だったな。全員男だよ。何のスキルだっけ?室伏が『体術』だったのは覚えてるんだけど」

「えー忘れたなぁ」

「ああ、室伏くん、陸上部でしたね。確か最初から体術スキル2だったんですよね」

「あー思い出したわ。スキルレベル1じゃないって城の連中が騒いでたよな!」

「最初から体術スキル2か!凄いのだよ!…と言いたいが、シルバーに比べればそうでもないか?」

「あれと比べるのはやめてさしあげて」

「そういや体術スキルレベル3やっけ?初っ端から」



あの才能の塊野郎は別次元として考えた方がいい。

てか陸上部で身体能力が高かったのが反映されたんだとは思うけど。

でもなあ…ここにはアキ兄さんがいるからなあ…体術スキルレベル13だもんな…



「まあこっち向かって来たら俺が相手するよ」

「そうだな、少なくともナズやハルは身体強化の派生無いし、危ないな」

「何なら僕の後ろに隠れるのだよ。僕は『身体強化』スキルを持ってるからな。あと種族特性で力が強い。召喚者とはいえ人間族には負けないのだよ」

「わあ、頼もしい」

「でも衰弱の状態異常くらってる上にロープで縛られてるなら、身動きとれないでしょ」

「まあそうなんだけど」

『対策をしておくに越したことはないであろう。危惧すべきは『光』スキルと『体術』スキルだけならば何とでもなる』

『あと二人は…まあ攻撃系スキルなら問題ないのだ。この場合、補助スキルや耐性スキル持ちの方が面倒なのだ』



ああ、状態異常耐性とかあったら衰弱の状態異常が効いてなかったり軽減される可能性あるもんな。

補助スキルは派生能力にバリエーションが多いのもある。隠密スキルとか隠れやすいやつだし、欺かれる可能性あるもんな。

魔物組に効かなくても人間組には効きかねない。そして効いたら油断が生まれる。

ぶっちゃけ、相手がナズの持ってる『糸紡ぎ』とか使って来たら面倒くさすぎる。スーが危惧してるのはそういう部分だろう。

攻撃系スキルは、それで言えば攻撃能力の強化が多い。対処もしやすいんだろう。


 

「…今思い出しました。七海くん、確か『水魔法』スキル持ちです」

「おっと魔法スキルか。うわー、俺も持ってるやつじゃん。何かやだ」

「水なら、サンがいれば何とでもなるな」

『うむ、我が前に出ようぞ』

「その前に詠唱潰せば何とかなるだろ。詠唱中は動けないし、リオくんとかハルのスピードなら詠唱見てからダッシュしても止めに入れそう。サンは最終防衛ラインだな」

「なるほど、それもひとつの手段ですね。何であれ『吸収』スキル持ちの安心感が凄いです。ウチの子がとても頼りになる」



まったくだ。

僕は魔法系効かないけど、すり抜けるだけだからな。当たってない扱いなので威力減退もしない。

もし僕の後ろに誰かいたら、僕を通過した魔法をくらってしまう。

けど吸収スキルを持ったサンやスーがいれば、魔法そのものを吸収して消してしまうから本当の意味で安全といえる。



「残りのトツキとやらは何のスキル持ちなのだ?」

「忘れた」

「ごめん俺も」

「何でしたっけ…?」

「全然記憶にないんやけど」

「まあ、人数多いみたいだし、忘れちゃっても仕方ない、かしら…?」

「なるほどぉ、記憶に残す価値もない存在ってことでしょうか~?」

「辛辣やなあ!」



すみません。

けど鑑定してまで知りたいわけでもないし、さっさと回収してもらおう。

あっちの世界に戻れば何のスキルであろうと関係ない。使えなくなるんだから。

そんな感じで相談は終わり、解散した。

用意した手紙は一旦ハルがまとめて持って行くことになった。一番「うっかり持ってくるの忘れた!」という展開を避けられそうな人選である。


そして翌日、二度目の捕縛作戦当日。

朝ご飯のカツサンドを平らげて、全員カーくんから降りた。

アキ兄さん曰くゲン担ぎらしいけど、クラーフ組は知らないので朝からのガッツリ系に喜んでただけだった。特にラムとベルさんが喜んでた。



「勝つ、って意味だし、ちょうどいいかなって」

「そんな受験生みたいな」

「三年生なら受験生では…?」

「でも打ち倒すのは試験じゃないんだよな」

『そっちの世界のことわかんないですけど、美味しい風習です』

「何か間違って伝わった気がする!」

「もう美味しかったから何でもいいやって気になってます」

「シルバーは食べてないがいいのか?勝つって意味にあやかるという意味でも、この美味しいの、食べて欲しいのだよ」

「一応シルバーさんの分も作ったんだけど、朝ご飯食べてくるだろうしなー。余ったらラムにあげればいいやと思って」

『喜んで食べるです。まあシルバーくんが食べてくれてもいいですが。美味しいものは共有したいです』



…あいつ割と朝抜くらしいから、食べてない可能性あるな。

こっちに滞在時はアキ兄さんのご飯が美味しかったためかきっちり食べてたけど。

いや、京さんの家にいる間も食べてたか?用意されてるから食べてるとか?何もなかったら食べないだけ?ペットかあいつ?

…餌なくても強請ってこないからペットではないか。



「首尾はどうですか?ネロくん」

『大丈夫。いつでも作戦開始に移れるよ。『光』スキルの召喚者もスキル使ってないし』

「よしよし、いい知らせやな。じゃあシルバーさんを待って、到着次第作戦に移ろっか」



衰弱の効果が表れるまで若干時間はかかるけど、その間は報告の時間にすればいい。

ということで、シルバーが来るまで採取や森林浴でもするかということになり…



「ぅおまぶしっ!来た!」

『あっ主さん?』

「ネロ様顔引っ込めるのだよー!光なのだよー!」

『リオさん、後ろ向いてくれてるから大丈夫だよ。このくらい。今本体だし、このくらいじゃ消えないよ』

「あ、本体だったんですね。よかったです」



そうなんだよな。この道を繋ぐ時はどうしても光るから…通信機もお守りも胸元にあるから、出来るだけ光が遮られるようにネロの方は向かないようにしていた。

でも本体だったならいらん気遣いだったか。

光が収束したら、やっぱりというかそこにシルバーがいた。



「おはよう。結構早く来たな」

「おはよう。遅くなりゃなる程、光スキル使われる可能性高くなるだろ。朝とはいえな」

「ごもっとも」



なるほど、ネロが心配で早く来たのか。

デレがすごい。



『…主さん』

「久しぶりってのも変だが、久しぶりだな、ネロ」

『うん!久しぶり!』



しっぽハリケーン再び。

既にネコマタ状態なせいか、喜びがしっぽに表れてる。…犬の魔物にした方がよかったか、これ?



『ネロ、ヒャッハー組の方はどうです?』

『今一斉に衰弱付与したロープで縛り上げたよ。あとは弱るのをちょっと待って欲しい』

「あ、やってくれたんだな。じゃあしばらく待つか。どうする?カーくんの中入る?」

「どうせこの辺りじゃ冒険者だって来ないし、外にいたままでいいでしょ。てかカーくんに入るとくつろいじゃうから緊張感持続しないわ!」

「ですねぇ。捕縛作戦っていう大事な作戦の真っ最中ですし、緊張感切らしたくないですぅ」

「それもそっか。じゃあ立ったままもアレだし、テーブルでも出すか。座るくらいならいいだろ」

「ドリくんも出すかぁ。あ、シルバーさん、朝ご飯食べた?」

「食ってねえな。用意すんのが面倒だったし」

「…京さん、準備してくれなかったのか?」

「あっちでの捕縛後の受け入れの関係で早朝からバタバタしてたからな。別に食わなくても問題ねえ。特に空腹も感じねえし」

「俺、カツサンド作ったんだけど食べない…?いらない…?」

「食う」



アキ兄さんの作ったものと知って一瞬で手のひら返したな、こいつ…

胃袋掴まれたか。まあ美味しいからね。仕方ないね。空腹を感じてないって、腹減ってないってことじゃないからな。

意識から切り離してるというか意識してないだけで、意識すれば空腹の感覚を思い出す感じ、らしい。昔、金がない時は度々使ってた小技なんだとか。技?

アキ兄さんが聞いたら発狂しそう。

大きめのテーブルを出して人数分の椅子も出す。元々カーくん停車のために開けた場所にいたので、テーブルくらい余裕で出せる。

そこから、シルバーはカツサンドを食べつつ、情報共有の時間になった。もっとも、こっちが一方的に喋ってるようなものだけど。

中でも気になった情報は、やっぱりこれだったようだ。



「…城にいるヒャッハー組に、話通じそうな奴がいる、か…」

「戸沢さんな。改心してるのかな?改心ってのも違うか?」

「元々悪い子ってわけちゃうんやけどな。ただ、ちょい自己中心的ってか、善意でやらかすタイプ?」

「城にいる時も、多分そんな感じだったんだろうな。そういや直接嫌がらせしてくる奴の中にはいなかったよな、戸沢さん。てかあんま見なかったなぁ」

「そういえば彼女はスキル訓練に没頭して周りが目に入ってない感じでしたね。隠密行動中に見てた感じは、ですが」

「一点集中型か」

「リオみてえだな」

「くそう、否定できない」

「いやーリオ兄より更に視野が狭い感じやで。リオ兄は注意したら聞いてくれるけど、戸沢さんは自分で思い込んだら注意されても修正せんからな」

「思い込みが強いのか。それは面倒な子なのだよ…」

「自分が正しいって信じちゃってるのもあるかな?」



でもさすがに今回は考えを改めた、というより、まずいことに気づいた感じらしい。

そもそも彼女、自分以外のヒャッハー組が冷遇組に嫌がらせとかマウント取りまくってるという行動してることに気づいてなかったそうだ。

ネロが伝えたところ、思いっきり驚いてたらしい。そんな酷い事してたの、と。

どうやら一緒に異世界転移してきた人…31人のことは普通に仲間という認識だったという。

自分は強い、攻撃系スキルじゃない子は弱い。じゃあ守らないと。そんな風に見下してたというか侮ってはいたけど、卑下はしていなかった。

けど持ち前の視野の狭さのせいで、周りが全然見えてなくて、周りの人が何をしているか把握出来ていなかった。



「ヒャッハー組からも浮いてそうだな」

「でも攻撃スキルを鍛えることに積極的な姿勢でしたし、他のヒャッハー組も同類と思ってたのでは?」

「そうか、『冷遇組に対してそんな酷いことするなんて駄目だ!』とか言ってたら、戸沢さんが攻撃対象になってた可能性あるな」

「周りが見えていなかったおかげで、冷遇組への態度に気づかなかった。で、ヒャッハー組の一員…冷遇組を見下してるという共通認識のある同士、と思われてたと」

「不幸中の幸いだったかもな。何であれ、戸沢さんも元の世界に戻すのは決定事項だろ?」

「やるとしたら次回だけどな。ラージフール組と同時。早くしてほしいとか言われてる?ネロ」

『…あんまり話してないけど、待っててって言ってから、本当に大人しくはなってるかな。体力温存しててって言ったからその通りにしてるみたい』

「お、ネロの言う事聞いてるんだ」

「でも、腹の内はわからないわよ。殊勝なこと言っておいて、実際は…って可能性あるわ」

「リオくんが直接話せたらなあ。真偽スキルでわかるんだろうけど」

「…聞いてる限り、本音っぽいと思うよ。ナズ曰く悪い子じゃないって言うし、スキルも『聖剣』だろ?」

『…悪人には基本発現しないスキルのはずです』

「他に『精霊召喚』とかもその類ですぅ。精霊って綺麗な心を好むので、どす黒い魂持った屑野郎には絶対応えないのですよぉ」

「へー、そんなんあるんだ」

「レアスキルですね。スキル大全にはなかったやつです」



従魔と違って、一時的に力を借りるタイプのものらしい。

というか、威力が絶大過ぎて維持が出来ないというべきか。

アイさんの精霊とはまた違うのかな?あれは従魔になってるからまた別か。

けど精霊が綺麗な心を好むというのは共通なので、アイさんは精霊に認められた心の持ち主ということでもある。

育てきったタークくんも同様だろうな。ふふ…あんまり関係ないけどちょっと自慢したい。

そして多分、僕には出来ないタイプのやつだ。僕はお世辞にも心が綺麗とは言い難いからな…



「というか、リオ、お前何でそのトザワって奴の言い分信じてんだ?」

「真偽スキルの『伝聞』だな。最近覚えたばっかなんだけど」

「ああ、スキルレベル10の派生ですね。ネロくんの話を聞いたことで真偽スキルの条件満たしましたか」

「そう、他人から聞いた内容から判断できるやつ。ネロ、結構詳細に話してくれたから『伝聞』の効果出たらしい」

『え、そうなの…?』

「さすがに判断材料とか少なすぎるとわからないからな。ありがとな、ネロ」

『そ、そうだったんだ…ぼく、役立ったんだ。…ていうか、そうか。じゃああの子、味方寄りの認識でいい、のかな…?』

「戸沢さん自身の言葉から判断してるはずなので、本音で間違いないと思います」



完全にネロが穿った見方をして、戸沢さんの話をかいつまんでしていた場合は、さすがにわからない。

でもネロは自分たちがどういう会話をしたか、一言一句漏らさず話してくれた。自分の感情を乗せず、解釈せず、ただありのままを。

今まで情報収集しまくってたので、自然と会話の内容を記憶することに慣れたのだろう。

地獄耳スキル持ちだし、影に潜めば情報収集し放題。恐らく創造神から何度もこういうの頼まれてるんだろうな…


そんなわけで、かなり正確な状態を話してくれたわけだ。自分が感知出来た範囲で。

まあそれでも悪の召喚者という認識があるのか、疑ってはいたようだが。

真偽スキルは人の認識を見抜くものだ。ネロの認識じゃなくて、『伝聞』で戸沢さん自身の認識を判断出来た形になる。



「便利なスキルだな。俺も欲しかった。ああ、でも欲しいのは向こうの世界でだからな…」

「ちょっとシルバーさんの闇が見えた!まあ俺も欲しいスキルではあったけど!」

「けど、これってネロ様の能力があってこそよね!つまりネロ様とリオが凄いってことよ!」

『えっ、ぼくも…?』

「やったね、褒められた」

「ふふん、ウチの弟が凄い」

「アキ兄さんが褒めてくれた。我が人生に悔いなし」

「こら、今から作戦やで。死ぬのは後回しにして。具体的には80年後くらい」

「天寿全うしてんじゃん」

「お前ならもう少し生きてるかもしれねえがな」

「やめて二桁の間に死なせて」

「三桁目指しなさいよ。私たちだって三桁よ?」

「そうですよぉ、こちら側にいらっしゃい~」

「森族と一緒にするなァ!!!」



人間族なんだよ僕は!才能者はちょっと長生きになる傾向あるけども!

まあ三桁まで生きそうな(既に生きてそうな)人間族がここにいるけどな!

素知らぬ顔してネロ撫でてるけど。あ、ネロを褒めてるのか。それなら仕方ない。



『…あの、そろそろ連れてくるね…?』

「そうですね、ちょうどいい時間です。やりますか。ネロくん、念のため一人ずつお願いします。さあみんな、本番ですよ」

「よっしゃ、持ち帰ったらヤバそうなんは剥がんとあかんからな!こっからは真面目にやるで!」

「そうだったな。鑑定の準備もオッケーだ。転移玉隠し持ってたら回収して他のチームに渡さないと」

「私も眼鏡なので鑑定組に回りますね」

「なら俺も鑑定組になるか。手分けすりゃそれだけ早く連れ帰れるからな」

「お前、そのカッコでゴーグルすんの?別にいいけどさあ」

「実用性の方が大事だろ。見た目なんざどうでもいい」



空間収納からゴーグルを出してかけた。

…シャツにジーンズっていう明らかにあっちの世界の服装にゴツめのゴーグルってミスマッチにも程があるのでは。いいけど。

せめてライダースーツかダイバースーツでも着てれば違和感は…森の中で着てたらそれはそれでおかしいか。



「ふむ、リオとハルとシルバーが鑑定組か。なら僕は雑用に回るのだよ。ただし女子を剥ぐのはやりたくない」

「それは私とお姉ちゃんで担当するわよ!シルバーも鑑定は男にしなさいよ!」

「わかった」

『おやつの時間です』

『まあ、持ち帰られたらまずい武器とかは容赦なく消化していいのだ…が、おやつの時間ってお前…』



ひとまず迎える準備は万端だ。

ということで、シルバーがネロに合図して一人ずつ転移してもらうよう頼んだ。

まず現れたのは想像通りボロボロに汚れ、ロープで縛り上げられた黒髪の男子。



「都築くんですか」

「っしゃ、やったるで!」



…さ、洗浄だけはかけて、魔道具やら武器やらは剥ぐか。


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