171.一人増えて、翌日
「こん、っのチート野郎…ッ!」
「は?」
「レベル3のステじゃないんだよなー!」
「これが…才能者…」
名前:シルバー(ル*…)
年齢:*…
性別:男
LV:3(あと124)
職業:渡り人
HP:205/210
MP:1384/1500
スキル:杖術LV1(あと100) 体術LV3(あと221) 火魔法LV2(あと193) 水魔法LV1(あと100) 土魔法LV1(あと100) 風魔法LV1(あと100) 闇魔法LV1(あと100) 空間魔法LV2(あと187) 付与魔法LV1(あと100) 従魔術LV1(あと100) 感知LV3(あと254) 強化LV2(あと138)
テイム:ダークLV159
「魔法覚えるの早すぎませんか。というか、どうやって覚えたんですか…杖術はさっき杖振り回したからでしょうけど」
「火魔法しかなかったはずなのになー!」
「えええ、ダンジョン報酬以外でどうやって覚えたん!?」
『多分ですけど『感知』スキル持ってるからです。ネロをテイムしたことで、ネロとシルバーくんの相性のいいスキルを習得したのかと』
「そういえばネロが持ってる系統の魔法か。光魔法はないな」
『ぼく、種族的に光魔法の適正ないから…』
「そうですね。影の魔物ですものね」
「感知スキルって、魔力感知とかの仲間?」
『です。何となく察知力が高くなる程度のものですが…シルバーくんに関しては結構な効力があるみたいです』
「この、チート野郎…ッ!」
「これでさあ、あとで状態異常耐性と魔力耐性取得テストするやん?少なくともあと二つスキル増えるんやで…?」
「リオ兄さんみたいに突然無効スキル覚えたらどうしましょうね」
「それはリオだから覚えたやつだろ。俺に無効化能力ねえよ」
「あー、リオ兄さんの体質でしたもんね」
「リオ兄といいシルバーさんといい、才能者どうかしとるな」
「一緒にしないで…マジで…!」
僕の『透過』するだけの力と一緒にして欲しくない、切実に。
いや、魔女っていうだけあってマジで魔法関係とんでもないな。全属性使えるんじゃなかろうか?
とりあえず晩ご飯が近いので、スキル取得テストはほどほどで終わった。
「シルバーさんの好物聞き忘れたから好きに作っちゃったけど、よかった?」
「飯出てくるだけでありがたいだろ。俺は何でも食うぞ」
「ちなみに量は?」
「は?」
「普通だな。ベルさんより少ないくらいじゃないか?僕らよりは食うけど」
「そっか!」
「ああ、食える量か…あんま意識しねえな。食えなかったら食えなかったで構わねえし」
「とんでもない!ここにいるからには毎日三食プラスおやつ出すからな!」
「………旅って何だ?」
「気にしたら負けだよシルバー」
出てきたのはオムライスだった。ベルさんとラムのだけやたらデカいのは希望があったからだろうか。
シルバーも「うわ」って顔してた。さすがに二倍以上あるあの大きさはいらないらしい。
てかよくあの大きさのオムライス作れたな、アキ兄さん。料理スキル恐るべし。
「怖ぇ…何だこの生活。意味わかんねえ」
「わかるわ。昨日の私たちの心境と同じだと思うし」
「まだ戸惑ってますよぉ。慣れたら人としてまずい気もしてますぅ」
「その割にはくつろいでんじゃねえか」
「出来る贅沢は享受できるうちにしておくのよ!」
「ハーブティ、美味しいですぅ」
食い終わった直後の会話がこれである。
アキ兄さんの料理は相当美味しかったようで、文句がひとつも出ずに完食していた。
僕の料理とかすぐ文句言うくせにな…!まあ自分でも出来はアレだと思うけども!でも『豪快』は料理の感想じゃないだろ!
「まったりしたいですが、まだ話すことありますしねー」
「掲示板の利用どうするかな」
「アイさんに話したら、あたしらが使ってる七人用スレに追加しようか?って」
「八人スレになるのか。まあいいんじゃないか?」
「みんながいる方は閲覧だけでいいかなって」
「…お前らに任せる。つか片付け手伝ってくる」
「え、シルバーが行くの?意外」
「水魔法の『洗浄』って食器洗うのに使えるんだろ?使っておきてえ」
「ああ、確かに。少しでも経験値稼ぎした方がいいかもしれませんね。スキルレベル5で攻撃出来るようになりますし」
「そうなのか。じゃあそれ目指すか。…行ってくる」
今キッチンスペースにはアキ兄さんとサンがいて、それぞれ『洗浄』で食器を片付けていた。
そこに加わる形だろう。経験値稼ぎと知ればアキ兄さんもサンも協力してくれるはずだ。
その間に掲示板の方でアイさんに報告すれば、了解と返事が来た。これで七人用のスレにシルバーが参加することになる。
でも今は参加しない方がいいだろうな…タークくんがベルさんからもらった鉱石にテンション上げまくってるから。
ちょっと人語が話せてないよタークくん。人間に戻って…!召喚リストに出て嬉しいのはわかるけど!
ああ、あとで『真偽』スキル取得チャレンジもしておくか。結局このスキル持ってるの今のとこ僕だけなんだよな…
「しかし、多くのスキルは覚えても、全部レベル1だと心許ないのだよ。明日は魔物と戦って少しでも基礎レベルもあげたほうがいいのではないか?」
「杖術と体術があるなら接近戦も出来そうよね」
「多分ベルさんと一緒でぶん殴る戦い方になると思うな」
「まあ魔法スキル、レベル1じゃほぼ攻撃出来ませんしね…」
「MPクソ多いから今日経験値稼ぎするだけでレベル2とか3になりそう」
「そういえば現時点でリオ兄さん並のMPでしたか。レベル上がると凄まじいことになりそうです」
「でも早めにレベル5にして権能覚えてもらいたいよね」
「シルバーの権能で、あっちの世界と繋がる系のが出るかなあ…連絡系か移動系を期待したい」
「ナズ姉の負担減るといいですよね」
「シルバーさんのMP量で伝達出来たらもっと長く話せそうやんなあ」
「…繋がる先が弟だったら、京さんたちと連携取りづらいけどね。シルバーの弟は今日本にいないみたいだから」
「おっと…まあ同じ権能が発現するとも思えませんし」
そうだな、今のとこ皆バラバラだ。スキルと違って同じ能力はない。
となれば…シルバーにナズと同じ権能が出る可能性は皆無か。似た系統ならあるかもしれないけど。
あと、室内で取得チャレンジできるスキルといえば、栽培と料理と被服…なんて考えてたら。
「…『詠唱短縮』ってスキル覚えたんだが…」
「アキ兄さん…?」
「洗浄使いまくるなら、と思って冗談半分で言ってみたら覚えちゃったんだよな…」
「まあ、取得チャレンジする予定のものではありましたけど」
まさか皿洗い(?)してる間にスキル一個取得して戻ってくるとは思わんて。
こいつ一日でどんだけ新規スキル取得するんだ。マジで才能の塊か。
その後、掲示板の説明をして『真偽』スキルの取得チャレンジをしたけど、これは駄目だった。
他にも色々試してみたけど、状態異常耐性は予定通り、魔法耐性はいきなり『魔法耐性・大』の取得だった。
本当に魔法関連すごいなこいつ。
どうでもいいが、ラテのことも気に入ったらしい。撫でくり回していた。ラテが喜んでるからまあいいか。
ほら、状態異常耐性はラテが主導でやるからね…やる気満々で『スキル取得のお手伝いするですの!』と気合入れてたの見て、可愛いと思ったらしい。
なお、魔法耐性はアキ兄さんの生活魔法『灯火』でテストした。これでまさかの『大』の取得ですよ。
「魔術無効覚えた子がいるからなあ…驚きはしたけど、そこまでじゃなかった」
「お前も大概おかしいだろ」
「お前に言われたくないなー!?」
「まあ、リオ兄さんに魔法効きませんからスキル経験値稼ぎやり放題ですよ」
「あとスーが火属性吸収でサンが水属性吸収持ってるから、俺もよく二匹に協力してもらってる」
「無効じゃなくて吸収か。周りに被害が及ばねえっつーなら確かにいいな、それ」
「ネロくんも闇属性吸収ですから、闇魔法レベル上がったら協力をお願いできますよ」
「ああ、レベル1じゃ薄暗くするだけの魔法だから吸収も何もねえのか」
魔法使いたちがキャッキャしてる。どうせ僕は魔法関係壊滅ですよ…
それぞれ、スキル経験値稼ぎはこうしてるという助言をしていた。
今回の滞在でどこまでスキルレベルが上がるかわかんないけど、上げられるだけ上げた方がいいだろう。
戦いになる可能性だってあるだろうし。魔物との戦いも考えれば戦力を向上させる方がいい。
それから思いつく限りで取得チャレンジをしたものの、覚えたのは『空間収納』くらいだった。…とんでもねえもん覚えたよこいつ。
そういや初期スキルに空間魔法あったっけ。なら空間収納覚えるのも当然…かな…?
とりあえず自分が着てた服を入れたようだ。あっちの世界の服だから、特に何の能力もない普通の服。
カーくんのアイテムボックスにしまうかと思ってたけど、スキルがあるならそこに収納でいいだろう。帰る時にまた着るだろうし。
「何か、攻撃に偏ったスキル構成だなあ…生産系悉くダメなのか、お前」
「防御系もあんまねえな。お前が覚えてる結界とか物理耐性みたいなの欲しかったんだが…」
「護身術スキルも駄目だったもんな。体術スキルがあるから身体能力は高いんだろうけど」
「そういやリオ兄、防御系充実してるよねえ」
「ネロくんも防御系優秀ですから、実際に戦闘なんかしてると覚えるものもあるかもしれませんよ」
「それもそうか。明日、ちっと戦ってみてえな」
「山でちょっと戦っただけだもんなあ」
「採取依頼する予定ですし、森をうろついてたら魔物くらい出るでしょう。その時に戦いましょう」
明日の予定が決まったので、一旦解散になった。それぞれこの時間はスキル経験値稼ぎに乗り出すわけだけど。
「そうだ、シルバーの部屋の件だが、僕が使わせてもらってた客室を使うといいのだよ」
「は?」
「え、ベルさんはどうすんの?」
「ふふふ、ハルたちと相談して、温室にある作業部屋に仮眠室を作ったのだよ!僕はそこで寝ようと思う」
「当初は倉庫の予定だったんですけどね。これだけの広さがあれば寝れるのでは?と」
「シルバーがいない時は僕も客室で寝るのだよ」
「…そっか、新しく部屋作ることばっか考えてたけど、そうするとシルバーがいない時空き室になるのか」
「さすがにそれはもったいないのだよ」
「でもその客室も元は医務室で空き室同然だったけど…」
「日替わりで寝てたじゃないですか。個人部屋じゃなかったけど毎日誰かしらが使ってましたよ」
「それもそうか」
そういや温室でゴソゴソトンカンやってたな。
ハルたちと相談してたからてっきり改装だと思ってたけど、半分正解で半分違ったのか。
ベルさんが使ってたベッドは、温室の小屋に移動させて欲しいということだった。僕かナズならアイテムボックスにしまえるから簡単だな。
で、シルバー用のベッドを出せばいいのか。
「ベッド、希望ある?」
「何でもいい」
「じゃあナズとお揃いの天蓋付きベッドにしような。ナズ、あのフリッフリの天幕とかシルバーの分も頼んでいいか?」
「オッケー任せて。やったるで」
「やめてくれ。ちゃんと希望言うから」
「最初からそう言え」
結局面白みもない普通の木製ベッドになった。
ナズがそれに布団や枕を設置すれば、それで完成だ。
「ダークくんの寝床どうしよう。魔晶石の中ってのも味気ないよな?」
『え、そこでいいよ?』
「キャットタワー的なのないの?リオ兄」
「…さすがにない…僕に木工スキルがあれば…!」
「じゃあ籠にクッション詰めて、そこに寝る?ネコマタ状態なら寝やすいと思うけど。ラムとかラテが寝床にしてるやつ」
『あ、あれか。ちょっと気になるかも』
「もしくは猫用ベッドみたいに、潜り込める形状のミニテントみたいなやつはどうです?」
「ああ、それなら影できるからいいかもな。こいつ、影の魔物なんだろ?」
『何それ、どんなやつ?』
「あたし、明日作ってみよっか?リオ兄、型みたいなのある?」
「テント用のを材質とサイズ変えてみれば、何とか…?」
「じゃあそれで。今日のとこはクッションとかでいい?」
『ぼくはいいよ。魔晶石の中で寝るつもりだったし』
シルバーも特に不満はないらしい。というか、猫用ベッド、かなり興味あるみたいだな。
可愛いもの好きだからな、こいつ。
なおスーのぶりっ子ポーズは見た瞬間固まって、何故か僕の頬を引っ張った。仕込んだのが僕だとバレたらしい。
ただ、スーを凝視していたので、気に入ったことは気に入ったのだろう。
だったら何で頬を引っ張るのか。理不尽。
とりあえず、この日は割と平和に終わった。平和…か…?
いや、シルバーがバックレたり不機嫌全開で現れなかったあたり、平和に済んだと言えるか。
一応交流する気はあるようで、全員とちゃんと話してたし。
ベルさんは同性だからか、やたらシルバーに話しかけてた。そうだな、この集団、女か性別無しばっかりだったもんな…
僕とアキ兄さんのことは男扱いしてるとは言ってたけど、女と知ってる以上、完全には無理だろう。
それに引き換え、見た目は微妙でもシルバーはれっきとした男だ。本当の意味で遠慮しなくていい存在なので大喜びだった。
なので全員と関係性は良好…と思ってたら翌朝、不機嫌全開のシルバーが部屋から出てきた。
めちゃくちゃ眉潜めてんじゃん。こわぁ。
アキ兄さんがおそるおそる声かけてた。
「し、シルバーさん…?寝れなかったか?」
「………」
喋るのも億劫、というのがありありとわかった。元より口数は多い方じゃないから、話さずに済むならだんまりを決め込むのがこいつだ。
でもこれはアキ兄さんが不快だとかそういう理由でじゃない。むしろ不快だったらこいつはストレートに言う。
ちゃんと誤解を解いておかないと、後々面倒だ。
「大丈夫だよアキ兄さん、こいつ低血圧なんだって。朝はいつもこんな感じらしい」
「ああ、なるほど」
「だからネロ、怯えなくていいからな。いつも通りだから」
『そ、そうなの?ぼくが起こしたから怒ってるんじゃないの…?』
「むしろ起こしてくれて感謝してるんじゃないかな?今は頭働いてないからアレだけど。シルバー、顔洗ってきてサッパリしてこい。みんな怯えてるだろ」
僕もほぼ伝聞だから曖昧な説明になるけど、否定しないということは正解なんだろう。
こいつ、僕相手だとマジで遠慮しないからな。違ったら否定してくる。時には拳も交えて。
まあ、アルさんほど攻撃的にはならないけど。アルさん相手だと口より先に拳が出るらしい。ひどいね。
そんなこと考えてたら、僕にまで口より先に行動で出やがった。
「………」
「ぎにゃー!何すんじゃい!」
「く、首ー!リオ兄の首、腕で絞めないでー!」
「チョークスリーパー!?やめたげてください!」
「何?洗面台に案内しろってか!?シャワー室のとこにしかないよ、そこ使え!」
「あ゛ー………」
「地獄の帝王みたいな声出すじゃん!」
「…朝のシルバーさんは、そっとしといた方がよさそうですね」
誰も助けてくれなかった。
おかげで半ば引きずるようにして洗面台まで連れてく羽目に…おっも!ちょ、首に体重かけないでくれます!?身長差考えろや!
ああ、ネロ、君は悪くない。だからオロオロしないで、足元うろうろしないで、踏みそう!
…顔洗ったら多少頭がすっきりしたようで、ネロに起こしてくれたこと、お礼言ってた。あと、怯えさせて悪い、とも。
出来れば僕にも謝ってくれんか…?僕はお前の母親とかじゃないんだが…?
「今日は採取依頼ですね。常設依頼のものを採取しましょう。鑑定ゴーグルも使い慣れるでしょうし」
「そういやシルバーさんだと鑑定結果どうなるんやろな?」
「どう、って何がだ?」
「ああ、鑑定する人によって違うものが見えるらしいんだよ」
ここで鑑定スキルの仕様なんかを話した。
厳密にはスキルじゃないけど、仕組みは同じだろう。
それぞれの知識や得意分野によって表示される内容が違う、という。
「俺、食べられるかどうかが出る。あと食えるやつだと調理法とかも」
「あたしも被服スキルに使えそうなのとかだと注釈が出たりするなあ」
「私、何故か弱点が出るんですよ。魔物とか鑑定すると。大体目とかが弱点って出ますね」
「なるほどな。…そういうのは出ねえな。あー…属性って出るか?」
「属性…?」
「ネロだと闇って出るんだが。リオは無、スーは火とか」
「え、属性ってそういう意味ですか!?それは初の項目ですね」
「そうか…無か…」
「元気出してリオ兄!」
薬草とかは土らしい。植物だからか?人でも魔物でも物でも属性が出るそうだ。
多分、一番強い属性が出てるのだと思われる。
アキ兄さんは火だし、ナズは土、ハルは闇だった。スキルレベルが高いのが選ばれてるのかな?
ナズに関しては、今土魔法と風魔法が同じ12だけど、従魔のラテが土属性なので、土が強くなってるのかもしれない。
なお、ラムは脅威の「全」だった。決まった属性が無いという点は僕と同じだけど、絶対意味違うよね…無と全…
その後はギルドに向かって、常設の採取依頼を受けようとしたわけだけど…
「討伐依頼も一緒にどうですか?」
「今日は昨日登録したばっかのシルバーさんの研修みたいなもんだから嫌だ!」
「くっ…それは、無理に言えないやつ…ッ!」
「てことで薬草と魔力草と可燃草の採取行ってきます!」
「三種類!あなたが神の遣いか!行ってらっしゃいませ!」
何コントしてんのアキ兄さんと受付嬢さん?
ていうか討伐依頼ねじ込もうとしないで受付嬢さん…さっさと銀級になって欲しいんだろうなあ。嫌ですけど。
とはいえ、採取依頼を受ける冒険者は少ないのか、三種類の採取はありがたいらしい。
火山が近いこともあり、ゼイレムの周りには火属性のものが多い。可燃草もそのひとつだ。
これ、『乾燥』で粉末にすると火薬みたいなのになるらしい。タークくん情報。
タークくんはそれに色々混ぜて攻撃力を高めた爆弾みたいなのを作っていた。ハル大喜びだった。燃焼玉といい、燃えるのが好きなんだろうか…?
てことで、タークくんに渡す分も含めて多めに採取しようと思う。
森族姉妹もベルさんもこういう採取は得意だし、シルバーが初経験と言っても、それなりに採れるだろう。
…いや、僕が知らないだけで経験あるかもしれないな?妖精界は植物が多いとか言ってたし意外に詳しいのかもしれない。
そう思って、依頼受注してるアキ兄さんを眺めつつもシルバーに質問した。
「シルバー、採取とか経験あるか?」
「昔は食える草とか採ってたが、この辺りに同じモンはねえだろうな」
「え、お前まさか草食ってたの?」
「パン買う金すらなかった頃の話だけどな。育てたりもしてたが大半枯らしたな…俺に植物育てる才は無かったらしい。そこらの川の水あげてたのも悪かったか…」
「思ったより泥臭い幼少期過ごしてたな、お前…」
「言っておくが弟にゃそんなことさせてねえぞ。ちゃんとした飯調達出来るようになってから呼んだからな」
「それは良かったけど、お前が良くねえよ。もっと美味いもん食ってくれ、頼むから」
「今は割とちゃんと食ってる」
「シルバーさん、それアキ兄さんが聞いたら発狂するやつなので、言わない方がいいですよ」
「………そうだな。気を付ける」
三食おやつ食わせると言い放った子だからな。
シルバーもそれを思い出したのか、口を噤むことにしたようだ。
あと、近くで聞いてたであろう冒険者が涙ぐんでた。
うん、シルバー、目元をゴーグルで隠してるせいで見た目怪しいからな。気になって聞き耳たててたんだろう。
まさかの話題に涙を禁じ得ないようだったけど。何かごめん…こんなこと聞かせるつもりじゃなかったんだ…
そういえば、幼少期とは言ったけど、具体的にいつ頃かは知らない。そもそも年齢も知らんけど。
あと、森族姉妹も顔を覆ってた。
植物育てるのが得意な種族なので、シルバーの暴挙に思う所があるんだろう。
とはいえ、シルバーもわざと枯らしてたわけじゃないので文句も言えない、という状態か。
「…この葬式みたいな雰囲気、何?」
「気にしないでください、アキ兄さん…」
依頼もぎとってきたアキ兄さんが不思議そうな顔をしていた。
うん…正直、気にするだけ無駄だよ…
シルバーの食生活:好き嫌いしないというより、する余地がなかった。食べられるものは何でも食べてた。




