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170.シルバーの冒険者登録


「ああ、そういやユズルがエルフと行動するとか言ってたな」

「こっちでは森族っていうらしいよ。姉のリーゼロッテ、妹のシャルロッテ」

「で、この男二人は?」

「魔族のベルさんと、冒険者のバッカスさん」

「僕が魔族なのだよ。ベルギアレイズだ。帽子取るか?僕も黒髪だから隠してるのだよ」

「オレは、金級冒険者のバッカスだ。ちっと縁があってな…」

「………」

「バッカスさんを睨まない!ナズを助けてくれたいい人だぞ!」

「ああ、そうなのか」

「えっ」

「は?それで納得すんのか?」



テソの群れと戦ってる時、ナズを身を挺して庇ってくれたからな。嘘じゃない。

そしてシルバーは今のところナズへの好感度がかなり高い。ので、そのナズを庇ったと言えば警戒心を解いた。



「一旦、カーくんに入って話し合いする?シルバーさん、しばらくこっちにいるんだよな?」

「ああ、もう道は閉じた。あとは道を開けるようにならねえと帰れねえな」

「こっちも、ある程度ヒャッハー組と接触出来る目途立ってますからね。これで色々詰めて回収してもらいましょう」



時間にして15時半か。ゼイレムは閉門が20時ごろとガレメナに比べて遅いので、多少森で話し合いしてても問題ないだろう。

第一、シルバーの今の服は地球じゃ普通でもこっちの世界じゃ見ないものだ。着替えさせないとまずい。

全員で再度カーくんに乗り込んで、話し合いを…



「まず何をします?シルバーさん、着替えないとまずいですよね」

「は?」

「ああ、んな服こっちじゃ見ねえからな。怪しまれるぞ」

「ナズ、服を作っていただろう?渡した方がいいのだよ」

「せやな、先に着替えます?」

「…なるほど、服装か。言われてみりゃ、違うな」



僕たち全員の服を見渡して納得したらしい。

そういえば前は僕たち全員薄着も同然の服だったからな。あまり差異を感じなかったのかもしれない。

でも今はフル装備だ。いかにもRPGとかの服みたいだけど仕様と思って我慢してもらうしかない。

あっちでは温かくなり始めたのか、家にいたのか、薄手のカーディガンとシャツにスラックスというマジで普通の服だ。けどこっちでは見ない服。

ナズが即座にクロちゃんを出して、着替えを渡していた。



「あ、ちなみにトランクス派ですかブリーフ派ですか?リオ兄に聞いてもわからないって言われて」

「は?」

「ナズ、それ今聞く???」

「僕はブリーフ派なのだよ!」

「ベルさん、言わんでよろしい」

「その二択ならトランクス派」

「答えんでよろし…いや、言わないとまずい、か?」

「迷わないでください、リオ兄さん…」



とりあえずクロちゃんに押し込んで着替えさせた。

じき出てくるだろうけど…



「なあオイ、今日来る異世界人は男って話じゃなかったのか?」

「男なんだよ、あれでも」

「嘘だろオイ…」

「あれで男なの?女としての自信失くすわね!」

「異世界恐るべしですねぇ」

「変なイメージ持たれてる…!?いや俺たちを見て!ほら平々凡々!シルバーさんは特殊!」

「あと、あいつ女に間違われるとめっちゃキレるから…」

「おっと、それはまずいわね。言わないようにしないと」



一応あいつに聞かれない場所で注意は出来たので安心だ。あとは…



「ダークのテイムか」

「そうですね、それ済ませないと」



これをやっておかないと、スキル取得とか権能取得に障りが出る。

早々に済ませておきたい。みんなでダークを見ると、アナゴ(仮)状態でびくっと震えていた。



『だ、大丈夫、かな…?嫌がらないかな…?』

「一旦了承とってるから大丈夫だよ。一応ネコマタ状態で出てきてくれるか?」

『わかった』

「これも渡さないとな。魔晶石」

「そうだな、これシルバーさんに持っててもらうか」



方針が決まったところで、シルバーが出てきた。

ちょっと遠い目をしてたので、もしかしたらパーティドレスコーナーにビビったのかもしれない。

ナズとラテがはっちゃけた一角があるからな…



「おお、こっちの人っぽい」

「服装で変わりますね。これなら混じっても問題は…」

「どうにか顔隠した方がよくねえか…?いらねえ騒ぎが起きそうだぞ」

「見た目絶世の美女…美人やもんな。フード被る?」

「僕、一応ゴーグル用意したんだけど。鑑定機能つき。目元隠れるかなって」

「あ、いいじゃん、そうしよ」



黒髪じゃないので、髪は隠さなくていい。とはいえ、さらさらヘアーなので冒険者というより貴族に間違われかねない。

結果、シルバーもカツラ帽子着用になった。髪型や髪色はほぼ変わらないので印象は変わらない。ちょっと髪の質が悪く見えるだけだ。

あとゴーグルは仮面にも近いというか、目元を覆う形状のものだ。視界は確保出来ているが、マジックミラーのように人からは目元が見えなくなる。

本当は顔を隠すのは犯罪者かと疑われてあまり良くないようだけど、この顔を大っぴらに晒す方がよろしくない。

目が不自由だとか傷を隠すためだとか適当な理由をでっちあげるか。



「ギルドの受付嬢あたりにゃ言っとけ。それなら察してくれる」

「そうね、それでギルドの受付嬢が不審な目で見てなければ、周りの冒険者たちも訳ありだなって察してくれるわよ」

「全員が、とは言いませんけど、その割合は大きくなるはずですぅ。いらない因縁もつけられずに済みますよ~」

「へー、そうなんや。受付嬢さん、すご」

「美人すぎるので顔隠してますって?…でも確かに重要か」

「…は…?必要か、それ?」

「おい本人が無自覚だぞ大丈夫か!」

「嘘だろお前、あっちでどんだけ言い寄られたか忘れたとは言わせんぞ!」

「それは俺の能力目当てだろ。こっちじゃ能力を知られてねえんだから、そこまで…」

「あかん!『ぼく何かやっちゃいましたか?』系主人公の片鱗が見えるで!守らんとヤバイ!」

「そういえば見た目も舐められてるだけとか思ってたなーこいつ!」

「弱そうに見えるんだろ、知ってる」

「違わないけど違う!」



『女に見える=侮られてる』って法則があるらしいからな。

それが性欲の対象に見られてるとか、そういう方向の自覚はないんだこいつ。何故って、自分がそういう感覚わからないから!

あと周りに美形が多いせいか若干埋もれてるのも理由か。でもこっちでは違うんだ。

美形なんてハルと森族姉妹とベルさんくらいしか…結構いたわ。

でも『鑑定機能つきゴーグル』は役に立つと思ったのか、大人しく装備することを了承してくれた。

これでいらないトラブルは減った…と、思いたい。



「じゃあシルバー、前に言ってたオリジンシャドーのテイムの件、いいか?」

「ああ、言ってたな。こいつか?」

「そう、影の魔物のダーク。今はネコマタの姿に『変身』してくれてる。脅威度の低い魔物だから町で連れ歩いても問題ない」

「なるほどな。テイムは構わねえが、…ん?何だこれ」



若干戸惑ったような声。

そして僕がスーをテイムした時のことを思い出して…心当たりあるなこれ。

ウィンドウ表示出たか。



「『個体ダークをテイムしますか』って出た?それ、『はい』を選んで」

「ああ、わかった。…これでいいのか?」

『…テイム、された…!』

『よかったですね、シャドー』

『同行者の設定はしたのだ?』

『今したよ。ここにいる五人の召喚者全員』

「あれ、俺たちも含んだの?」

『うん、だって主さんがいない時は君たちと一緒にいるから』

「それもそっか」



よし、これでシルバーもスキル覚えやすくなったし権能も覚えるようになったはずだ。

あとステータスも基礎レベル10まで右肩上がりのHPとMP…とんでもねえことになりそう。

それから恒例の。



『あの、主さん。名前、欲しいな…』

「は?」

「テイムした魔物に名前つけるんだよ。僕はフェリックスにスーって名前つけたよ」

「俺、エレメンタルスライムだからラム」

「あたし、ヴェノムタランチュラにラテってつけたよ!」

「私はシーサーペントにサンってつけました」

「オレは何も聞いてないオレは何も聞いてないとんでもねえ魔物従魔にしてやがったよこいつら…!」

「ラテってタランチュラだったの!?こんな可愛いのに…!」



あ、言ってなかったっけ?そういえばオリジン以外は種族言ってなかった気もするな?

シャルはタランチュラ…毒蜘蛛ということにビビったらしくラテを凝視し…まあラテなら危険はないかと呟いてラテを撫でていた。

怖がられなかったことが嬉しかったのか、ラテも『きゃー』と言いつつ大人しく撫でられていた。

バッカスさんは「もっと怖がれ…危機管理どうした…!」と零してたけど、あんたもラテを怖がってないじゃないか。人のこと言えないぞ。

まあ森族姉妹(リーゼも参加してた)のようにラテを撫でくり回してはいないけども。



「…リオ、こいつ、ダークっつったか?」

「ん?そうだよ。今はみんなで種族名のダークって呼んでるけど、名前つけたらそっちで呼ぶよ」

「呼び慣れてんならそのままでいい気もするんだが」

「こら、ダークがしょんぼりしただろ!怠けてないでちゃんと考えろ!」

「リオくんが言うと説得力ないなー」

「ネーミングセンス、死んでますからね…シルバーさんはどうでしょう。生きてて欲しい」

「ひどい。…参考になるかわからんけど、ステータス見る?」

「ステータス…、って、あれか。名前とか能力の一覧」

『ぼくの?いいよ、見ても』

「お、じゃあ見せてもらうかー」



種族:ダーク

年齢:1508歳

性別:なし

LV:159(あと284311487)

状態:弱体化中

HP:72402485/74122584

MP:91584433/102318781


スキル:爪術LV35 鞭術LV43 水魔術LV23 土魔術LV41 風魔術LV23 闇魔術LV50 回復魔法LV28 空間魔法LV48 闇属性吸収 物理無効 魔法耐性・大LV50 状態異常無効 体力自動回復LV32 魔力自動回復LV40 変身LV40 分裂LV48 眷属支配LV42 魔力感知LV50 地獄耳LV41 隠形LV50 咆哮LV50 強化LV42 念話LV41 同化・影 神託



「情報量が多い」

「オリジンみんなこんな感じだよ。っつか強いな、闇属性吸収と物理無効?攻撃通らないじゃん」

「魔法耐性もとんでもないです。本当に大量の光くらいしか弱点ないのでは?」

「弱体化中ってなってるんやけど何で?」

「あれじゃないか?分裂体が何体もいるから本体の能力が下がってるんだと思う。ラムもそうだったし」

『です。HPもMPもスキルも分裂体に譲渡した分は減るです』

「あー、なるほどやで!そういやラージフールとかに仕込んでくれてるんやもんな!」

「うん、実はスキルも『地獄耳LV28(41)』みたいな表記なんだよな。面倒と思って最大分しか書かなかったけど」



だから、ここに書かれてるよりスキルレベルは低い。が、元のスペックがクソ程高いので誤差みたいなもんになってる。

なお、闇属性吸収や物理無効は種族特性らしく、譲渡しても減らないようだ。影ってより「ダーク」という魔物の種族特性か。闇だもんな。

というか、分裂体そのものがデフォルトで所持してるのかもしれない。

分裂スキルもレベルクソ高いしな…



「そうか、じゃあ問題ねえとして…名前は闇で黒いしクロとかでいい気もするな」

「マジで猫につけるネーミングじゃん。僕が言うのも何だけど」

「でも色っていいんじゃないか?シルバーさんだって銀だし、黒で…ブラックとか?」

「なるほど。他の外国語だとノワールとかシュヴァルツとかネロとか?」

「リオ兄、よくそんな出てくるな?あたしノワールしか知らんかったで」

「そっか、ステラも外国語だったし、外国語いいかもな。シルバーさん外国人だしおかしくない」

「ステラ…って、イタリア語か。そうだな…じゃあネロでいいか。イタリア語で黒。シンプルだし呼びやすい」

『ネロ…ぼくの、名前…』

「あ、ダークくん、ネロって気に入りました?」

『えっと…うん…』

「気に入ったんならそれでいいか。じゃあお前、ネロな」

『ネロ…うん、ぼく、ネロ!』

『おめでとうです、ネロ』



しっぽがふたつともハリケーンみたいにぶんぶんしてる。相当嬉しかったらしい。

よかった、名づけで変なことにはならなかった…人の心配してる場合かって言われそうだけど。

あっさりイタリア語にしてたけどいいのか。シルバーお前、イタリア人じゃないのに…



「じゃあ、シルバー、これを渡しておくのだよ。ダーク様…ネロ様の家だ」

「家?」

「ダークは影の魔物だから、影の出来る場所にいるんだって。いざって時はそのペンダントの中に入るんだ」

「…そうなのか、じゃあ持っとくか」

「これで、ダークくんもといネロくんの件は終わりだな。後はシルバーさんに俺たちの状況説明か」

「時間の関係で、ゆずにもザックリしか話してへんしなあ…」

「そうだな、それは聞いておきたい。数日とはいえこっちにいるわけだし」



ということで、ドリくんから出した飲み物を飲みつつ説明になった。

席が足りなかったのでバッカスさんはお誕生日席に座ることになった。僕が椅子出したら遠い目してたよ…

バッカスさんに召喚者の件は話してること、今は一時的に一緒にいるだけということ。

同行者は、ベルさんと森族姉妹ということ。細かい説明は後でもいいけど、必要なことは話した、はず。



「…じゃあ今から、ゼイレムに戻ってそいつの冒険者登録するか?その…ネロの従魔登録も一緒にやっちまえ」

「そうですね、早くやってしまった方がいいでしょう」

「今から駆けこめば混んでる時間帯は外れるかなあ?」

「まあ、確かに身分証は必要か…」

「こいつの分の入場税はかかるが、オレが出すか?」

「ううん、俺たちが出す。報酬めっちゃ出たし金に余裕あるから」

「私たちと一緒に行動しますしね」

「そういえば、カーくんに滞在よね?どこで寝るの?シルバーって」

「作るか、部屋」

「リオ兄ストップ、それは後で考えよ。まず町に入ろ」



それもそうか。さっさと町に入らないと、遅くなると冒険者が増えて面倒だ。夕方は帰宅ラッシュという名の依頼報告ラッシュらしいからな。

全員で早足でゼイレムまで戻る。シルバーは当然シルバーという名前で町に入った。

門番さんは顔隠してるシルバーに不審そうな顔向けたけど、冒険者である僕やナズが手を引いて町に入ったことで、問題ないと認識したらしい。

僕たちの身分はギルドカードで保証されてるからな。あと側にバッカスさんという金級冒険者がいたのも良かったのかもしれない。

子供に手を引かれる大人だけど、門できょろきょろしてたことと、僕とナズの手を振り払わないことで『冒険者に案内されて初めて町に来た田舎者』と思ったのだろうか。

怪しまれてないならそれでいい。

肩に乗せたネロについて、冒険者ギルドで登録するようにとは言われたけど。

うん、冒険者になるつもりって言ったらそう助言されてしまったんだ。



「よし、じゃあ冒険者ギルドに行くか。オレはそこまで付き合ったら別行動する。それとなく、さっき話した噂も広めてえしな」

「…噂?」

「あとで教えてあげるよ」



ラージフールにロリショタ疑惑を発生させるという噂だ。シルバーにとっては全然重要じゃないから説明は後でいい。

それにしてもバッカスさん、冒険者ギルドまで付き合ってくれるのか。ありがたい。

ギルド登録されてない魔物を連れてると警戒されることもあるらしいけど、バッカスさんがいることでその警戒が消えている。

金級冒険者というのは、それだけ信用が高いのだろう。ゼイレムにもよく顔を出してるので、顔が知られているそうだ。

拠点らしい拠点はなく、いくつかの町を回っていて、ゼイレムはそのうちのひとつだという。

冒険者ギルドに到着し、さあ入るかというところでベルさんが声を上げた。



「この人数でギルドに入るのも狭いだろうし、僕は外で待ってるのだよ」

「そうね、混み始める時間だし、私も外にいるわ」

「では私も~。登録だけならみんなとバッカスさんで問題ないでしょうし~」

「そっか、わかった。じゃあ待ってて、すぐ終わらせるから」



ベルさんと森族姉妹はギルドに入らずに近くの屋台に突撃することにしたそうだ。

まあ、バッカスさんがいるなら大丈夫だろう。

ギルドに入って受付嬢のいるカウンターへ。バッカスさんが冒険者登録だと言ってシルバーを紹介していた。

ちょっと不審そうにしてたけど、バッカスさんがいたためか受付嬢もすんなり登録用紙を出してくれた。



「オレが代筆してやる。字、書けねえだろ。名前はシルバーだったな?」

「ああ」



登録する際、字は書けないことにしておけと注意したので、シルバーもそれに従ってくれた。

うん、銀級に昇級する条件のひとつが『字が書けること』だからな。少しでも昇級の要素を無くしたいという悪あがきだ。

実際は僕たちと一緒で字は読めるようだった。多分これはディオさんの『翻訳』の力だとは思うけど定かじゃない。

受付嬢もバッカスさんが言うなら、と従ってくれた。が、やっぱりシルバーは怪しく見えたらしい。

まあ、怪しいと思ったらスルーするわけにもいかないんだろう。窓口だもんな。

そのためか、バッカスさんにシルバーのことを尋ねていた。



「バッカスさんのお知り合いですか?」

「いや、こいつはアキたちの知り合いらしい。しばらく奴らと行動するそうだ」

「…では、先輩冒険者の手ほどきなどは無くていいのですね」

「ああ、問題ねえ。採取依頼から一緒にやるっつってたから危険もねえだろ」

「わかりました」

「あとこのゴーグルだが、事情があってな…見た方が早い」

「はい?」

「シルバー、この嬢ちゃんに見えるよう取ってやってくれ」

「…わかった。が、こんなんでいいのか…?」

「………なるほど、理解しました。これは晒してはいけないやつですね」

「は?」

「常につけていてくださいね。ギルド職員内で事情は周知しておきますので」

「あ、ああ…」

「アキさんたちも子供ですし…あなたも含め、夜のギルドには来ない方がよろしいかと。酔っ払いが発生しますから」

「まあ、来る気はねえが…」

「はい、結構です。では登録は終了となります。ギルド規約などはアキさんたちから教わるということで?」

「既にある程度教えてるみてえだ。分別ついてるようだし問題ねえだろ」

「わかりました。ご登録ありがとうございました。こちらのカードがギルドカードになります」

「ああ」



すげえ、あっさり済んだ。バッカスさんすげえ。信用度が高い。

結局僕たち一言も発さずに登録完了しちゃったよ。



「では続いて従魔登録ですね。ネコマタ…ですね、可愛らしい」

「にゃう」

「印はどうしましょうか…首輪などはないので、首輪型にされます?」

「あのー、あたしスカーフ作ったからそれ巻こうと思ってたけど…これ」

「あら素敵。では、スカーフにつけるピンでよろしいですかね」

「ラテちゃんとお揃いですね」

「…なら、それでいいか」

「お名前はありますか?」

「ネロ」

「かしこまりました。それで登録致します」



従魔登録もあっさり済んだ。終わったと察したネロがさっとシルバーの肩に飛び乗っていた。

それを見て受付嬢の顔が若干とろけていたので、猫が好きなのかもしれない。



「よし、お前らもう帰っていいぞ。明日あたりから依頼こなすか?」

「そうですね、そうしましょうか」

「バッカスさんは?」

「これから依頼こなした奴らが帰ってくるだろうからな。そいつらと飲むわ。パーティメンバーからの連絡が入るかもしれねえし」

「そっか…あんま飲みすぎんなよ、バッカスさん。昨日も飲んだんだろ?」

「わかったわかった」



聞かんやつだなこれ。いいけど…

ギルド施設には連絡用の魔道具があり、例の変動があったダンジョンとは現在進行形で優先的に情報のやりとりをしてるらしい。

恐らくバッカスさんの目当てはそれだろう。どこかの階層の救助者がダンジョンから脱出出来たという連絡があれば、パーティメンバーの無事もわかると。



「オレはここまでだ。あとはベルやリーゼたちと一緒に頑張れ」

「はい、わかりました」

「暗くなる前に引っ込めよ。じゃあな」

「うん、ありがとうバッカスさん!」

「世話になったな」

「おお、お前も一応大人なんだからこいつらのこと気ぃつけてやれ。まあ、この町はこいつらの方が慣れてるだろうが」

「ああ」



それだけ言って、僕たちは冒険者ギルドを後にすることにした。

バッカスさんがいたおかげか、ギルド内にちらほらいた冒険者も絡んでくることはなかったし、ついてきてもらってよかった。

多分バッカスさんがいなかったら声かけてきた人いたかもな…チラチラ見てたし。

あと中には見覚えある人がいた。変動の件でバッカスさんが駆け込んできた時、怪我をしていて参加できなかった冒険者だ。

ダンジョンはどうだったか、というのを聞きたかったのかもしれない。そういう理由で声をかけられるならまだいいけど…

今だとシルバーのことも聞かれそうだからなあ…



「ベルさんと森族姉妹回収して戻るか」

「そうですね。まだ話すことはありますし」

「あ、いた。ベルさんまた串肉食べてる!」

「森族姉妹、呆れてるなー。まあいいか、俺回収してくるから待ってて」

「行ってらっしゃーい」



珍しいのか、さっきからシルバーはキョロキョロしてるな。

そういやこいつはあんまりゲームもしないしラノベも知らないはずだ。物珍しいと思うのも無理はない。

けどまだ話すことはあるから、今日はさっさとカーくんに引っ込んでしまいたい。

町を歩き回るのは明日以降でお願いします。


バッカス「年…とりあえず25歳くらいにしとくか」

シルバー「…そうだな(年齢忘れた)」

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