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閑話19.獣族領にて(ディーン視点)

ディーン・ティグム。虎の獣族。オリジンタイガの眷属。ティグム領の長。

ティム・イェガー。虎の獣族。イェガー領の長の息子。10歳。ハルに求婚したクソガキくん(byラム)。


―――ああ、頭が痛い。

話し合いは長引くとは想定していた。けれど、ここまで話にならないとは想像していなかった。



「いいから早くティムの望む子を連れて来なさい!」

「それが出来ないって話をさっきからしてるんだろうが!」

「ティムが望んでいるのに!?」

「そうだ、何でそんな意地悪言うんだよ!」

「だから、相手が召喚者様だからだって言ってんだろうが!」



何度このやりとりをしたか。

召喚者様がどういう存在か。オリジン様や創造神様が手出し無用と断言する存在。

これを繰り返し言葉を変えて説明しても、結局は「ティムの望みが優先」という主張。

…駄目だ、話にならない。



『…ディーン、これは言葉での説得は無理だ。吾輩の言葉でさえ彼奴等には届いておらぬ』

「…そうですね、ドゥン様。ここまで拗れるとは思いませんでした」



ドゥン様直々の命令でさえ聞こうとしない。

何故ここまで話を聞かない奴らに育ってしまったのか。

ティムは完全にこの母親の影響だろうが、この母親は何なのか。

やりたくはなかったが、本当に滅ぼすという手段をとるしかないだろうか。


念のためと思って、ビスムズから魔の森へ入ってひとつめの休憩所で話をすることにした。

ビスムズからかじりついて離れないと主張していたが、ドゥン様の分身体から話があると言ったため、無理やり連れ出した。

例え分身体と言えども町の中に姿を現すわけにはいかない。ドゥン様は魔物だからだ。この最低限の知識くらいはあったらしい。

休憩所と言っても、木が少なく、焚火を出来るだけの広さがあるだけの場所だ。人も建物も存在しない。

が、獣族であればこのくらいあれば充分休憩が出来る。そんな場所。



「本人の意思さえ無視してよくもまあぬけぬけと」

「ティムに望まれてるんだから喜んで身を差し出すくらいしたらどうなの!強く逞しく育つに決まっているのに!」

「人間族がそんなこと重要視するわけないだろ。二度と会いたくもないって主張してたよ」

「照れてるだけだ!やっぱりオレが迎えに行かなきゃ!」

「よくもまあ、ここまでオリジン様の言葉を蔑ろに出来たな。少なくとも三体のオリジン様を敵に回してるも同然なのに」

「偉大なオリジン様がどうしてティムの味方をしないのよ!きっと偽物よ!召喚者だって話も嘘に決まってるわ!」

「少なくともオレがドゥン様の眷属って知ってるだろうがお前ら。ドゥン様が創造神様に確認までして本物の召喚者だと断言したのに、それさえ嘘だと?」

「だったら何故ティムの味方をしないのよ!」

「拒否されて当然の態度だからだって何度言わせるんだ!」



本当に話にならない。

何を言っても結局「ティムの望みが叶わないのはおかしい」って所に戻ってくる。

一体ティムがどれだけの存在だって言うんだ。オレから見ればただのうるさいガキだよ。

オリジンスライム様でさえクソガキ呼ばわりしてたし、召喚者様も全員嫌っているようだった。

欠片も望みがないと、何故わからないのか。



『…もうよい』

「ドゥン様…」

『吾輩の『毛』、全て放て』

「…はい」



ドゥン様の分身体の材料はドゥン様自身の毛だ。

魔物の中にはそうした自分の一部を切り離し、自分の分身を生み出す者がいる。

多いのは体毛、羽、鱗などだ。

ドゥン様自身は住処から離れていない。オレたちの集落の近くの天気が怪しく、そのマナの調整のために離れられないのである。

それでも召喚者様が絡む出来事を無視は出来ないということで、分身の材料になる毛をオレに託してくれたわけだ。

毛は10本。10体のドゥン様の分身体が作れる。ドゥン様の力の何分の一かの力だが、意識は共有しているし、ひとつの集落を滅ぼすのには充分すぎる力だ。

巨大な10体の虎がオレの周りに顕現した。それを目の当たりにしても、ティムは若干驚くだけ。母親も動じない。


どうせ、虎種である自分たちは同族意識があるのでドゥン様も滅多なことはしない、脅しているだけ、と高を括っているらしい。

とことん、自分たちの立場を理解出来ていない母子だ。

先ほどまでは確かにそうだった。そもそも話し合いを行った時点で、同族意識で甘い対応をしていた自覚はある。

が、ここからは本気だ。もう容赦はしない。



『…む?』

「ドゥン様?」



耳をすませると、悲鳴のようなものが聞こえてきた。あと魔物と思しき声も。

ここまでイェガー母子を連れ出すにあたり、当然イェガー家の守りである護衛もいる。ここにいるのは、母と幼い子供だから。

ただ、長同士の話し合いということもあり、魔物の警戒がてら離れた場所にいた。悲鳴は彼らのものだろう。

…魔物が襲ってきた?まだ町が近いのでそこまで強い魔物はいないはず。

そうでなくても虎種は攻撃に優れた種族だ。その彼らが、悲鳴…?

疑問に思ったのは数秒、すぐ理由を察した。原因と思われる者たちが姿を見せたからだ。



『フン、間に合わなかったか。これでも急いだんだがな』

『いや、一番おいしいとこには間に合ったんじゃないか?』

『加勢シマショウ、オリジンタイガ様』

『あ、護衛は安心してね、弦で縛って転がしてるだけだからー』

「は?…は…?」



いくら虎種とはいえ、上位種の魔物数体は荷が重い。

そう察しはしたが、その魔物たちが念話を使ったことで更に驚きが増した。

念話の使える魔物など、そう多くはない。そしてドゥン様を知っている様子。もしや彼らは…



『ふん、ホースとドッグとバードとトレンツの眷属か。そちらも相当腹に据えかねているらしいな』

『…少シ前、召喚者ト接シマシタノデ、尚更』

『えー、フレムバード、召喚者に会ったの?ずっるーい』

「お、おおおオリジン様の、眷属の魔物…ッ!?」

『連絡を取る手段があるようだからな。それでイェガーの所業を知ったのだろう。他の召喚者に同行しているようだし』

『その通り!ペガサス様よりクソガキを許すなと仰せつかりましてな!』

『アヌビス様も怒ってた。一緒にいるケルベロスもオルトロスもキャンキャン吠えてた。僕が一番近い場所にいたから来た』

『ぼくらは森のどこにでもいるからねー。ユグドラシル様から容赦すんなって言われたー』



うわあ、なかなかに殺意が高い。

まさか、こんな所で他のオリジン様の眷属に会うとは…!い、一応同格、なのかオレ?

というか色んなオリジン様が同行してたんだな…

召喚者がいるとは知ってたし、今回は人数が多いから同行するオリジン様も多いとは聞いてたけど…

あ、バード様はオレも会ったな。スライム様と一緒にいたから。

多分、他にも派遣してくれようとしてたけど、この場所に着ける面子がここにいる魔物たちなんだろう。ほぼ動物系だし近所にいたんだろうな。


…そしてこれを見て、初めてイェガー母子が怯えていた。遅いわ。

そうだな、ドゥン様は虎。つまり同胞と見做してくれるという甘い考えが捨てられなかった。

だが、今合流したのは全員が別種。馬と犬と鳥と樹だ。容赦などするはずがない。台詞も割と物騒だし。

というか、オリジン様たちガチギレしてないかこれ…

念話の使える魔物という点、オリジン様から力を受け取ってる眷属という点。半端な実力ではないはずだ。

虎種とはいえ、甘えきった母親と子供がどうあがいても勝てるような相手じゃない。護衛は既に蹴散らされているし。

実力もそうだが、やっとオリジン様を心底怒らせていたという事実を理解したんだろう。



「う、うぅ、これが、愛の試練…!?」



理解してなかった。

今駆け付けた眷属の魔物たちもしらーっとしてる。

と同時に、これはもうどうしようもないな、と納得してくれたらしい。

説得出来なかったのは、ドゥン様やオレのせいじゃないと理解を示してくれた。ありがたい。



『ひとまず、この二人を殺しておくか』

『集落の方も念のため…』

「―――お待ちください!」



眷属たちの相談に焦ったように割って入ってきたのは、聞き覚えのある声だった。

…イェガー家の長。ティムの父であり、集落をまとめる長、オレの同格の男だ。違いはオリジン様の眷属でないという点だけ。

全力で走ってきたのだろう、肩で息をして、汗も拭わずにこちらに歩いてきた。



「…ガート」

「あなた!」

「父ちゃん!」



このタイミングで入ってきたのは恐らく―――…



「大変申し訳ございませんでした!」

「あなた…痛っ!」

「いだっ、父ちゃん!?」

「やかましい、喋るな二人とも…ッ!」



妻と息子の頭を地面に叩きつけ、伏せさせた。

いつかの召喚者が言っていたらしい、ドゲザとかいう最上級の謝罪だとかいう姿勢だった。

…そうだな、ガート・イェガーはちゃんとオリジン様を崇拝しているまともな男だ。

なのに何故その妻と息子がこうなったのか。よもやガートまでこいつらと同じ考え方になってしまったのではと心配してたが、それはなさそうだ。

ガートの後ろから、一人の虎種の男が疲労困憊で出てきた。服装からイェガー家の護衛の一人のようだが…眷属の魔物たちに倒されずに残っていた?



「こいつに聞きました。妻と息子が馬鹿なことを言っていると!大変申し訳ございません!申し開きのしようも…っ!」

「あ、あなた…」

「口を開くな!」

「…っ!」



ドゥン様へ向かっての謝罪に、ようやく納得した。

数人いた護衛はこの母子に感化されてドゥン様への敬意が薄かったようだが、全員がそうというわけではなかったらしい。

恐らくこの男は話を聞いていてこのままではまずいと判断。長であるガートの元へ走り、母子の所業を知らせたのだろう。

そしてそれを聞いてガートが慌てて駆けつけてきた、と。

この休憩所はイェガーの領とビスムズの中間にある。全力で駆けてもそれなりの距離があるが…

タイミングを考えると、話し合いが始まって割とすぐにまずいと判断したようだ。序盤でもう母子に見切りをつけたのか。優秀な護衛いるじゃないか…

つまり、眷属の魔物がここに着いた時には、彼はここにいなかったから無事だった。…疲労困憊なので無事とは言い難いか。

話が延々と繰り返されて無駄な時間を過ごしたと思ってたが、時間をかけていて良かったのかもしれない。

やっとまともに話が出来る相手が現れたのだから。そうだとは思っていたが、やっぱりこのことは母子の独断か。



「この二人は、二度と領から出しません。召喚者様は我らの領になど来たくないでしょうから…これなら二度と会うことはありません」

『ふむ…しかし、抜け出すくらいはするのではないか?』

「仮にも家族です。使いたくはありませんでしたが、こうなっては致し方ありません。…この二人には隷属を使います」

「………っ!?」

「効果は、イェガー領から出ないこと。破れば死に至る。さすがにひとつのことくらいなら守れるでしょう。これで死んだなら、もうどうしようもない」



違反の効果が死か。そこまで踏み切るとは。情に厚いこの男としては思い切ったな。

それだけのことをした、と理解しているからだろうが。

母子は信じられない、というような目でガートを見ていた。こちらとしては至極当然という対応なわけだが。

そしてそれをガートも察したらしい。



「オレは、お前たちの家族である前に、イェガー領の長だ。領を守る義務がある。お前たちの勝手な行動で領を滅ぼさせてなるものか…っ」

「な、領を、なんて…」

「喋るなと言っただろう。…ここまで理解力が低かったとはな。どれだけのことをしたか、本当に分かっていないのか…!」

『二人の命より領の存続。まあ長としてなら当然であろうな。…いいだろう、それであれば引き下がってやる』

「ありがとうございます、ドゥン様…!」

『よいのですか、タイガ様。本気でイェガー領とやらを滅ぼすつもりだったのでは?』

『ああ。だがイェガーの長は本気でやるだろうよ。それに、召喚者は子供で優しい子のようだ。自分のせいで命が失われることを危惧していた』

「…そうですね、あの子は心底嫌っているであろうティムでさえ、死んで欲しくはないようでした」

『召喚者の第一の望みは、二度と自分たちの前にこやつが現れないこと。それが叶うなら命はあってもよかろう。…ただし』

「承知しております。すぐ領へ戻り、即隷属を施します。もしよろしければ、ドゥン様の分身体、それか、ディーンに立ち会ってもらえれば」

「ドゥン様、オレが見ています」

『そうか、それならば良い』



ここまでの事態になっても母子は納得できない顔をしていた。

が、周りにいるオリジン様の眷属の殺気が怖くて何も言えないのだろう。



『タイガ様がそう決めたのなら、従うが…』

『ざんねーん、召喚者の役に立てるかと思ったのにー』

『きゅーん…何も出来なかった…』

『ソウダナ…』

『ここへ駆けつけてくれただけで役立ってはおろう。すまぬな、助かった。吾輩だけではこやつらは何も響いていなかったようだからな』

「…それはそれで問題ですね。オリジンタイガ様を侮っているようであれば」

『腕ノ一本クライナラ、死ナズニ済ムノデハ?』

『あー、いいんじゃない?タイガ様、腕とか耳とか削いじゃえばよくないですか?タイガ様の眷属じゃないとはいえ、オリジン様を侮る奴はぼくらも気分が悪いしー』

『ふむ…なるほど、命があれば確かに良いか…』

「ひっ…!?」

「お好きなように、ドゥン様」

「あなた…!?」

「と、父ちゃ…」

「お前たちの軽率な行動が何を引き起こしたか、身をもって知れ、馬鹿者が」



ガートの目に、もう家族の情は見えない。

完全に二人のことを領を危険にさらした罪人として見ているようだ。

…ここで、ようやく取り返しのつかないことを仕出かしたと気づいたのか。

夫が、父親が、自分を切り捨てたと、やっと理解した。遅すぎる。


相手が召喚者様でさえなければ、こんなことにはならなかった。

召喚者様であったから、こうなった。

言葉を尽くして、召喚者はどういう存在かを伝えたのに、それを理解しなかったのはこの二人だ。

ここで…召喚者であれば仕方ないと諦めていれば、こんなことにはならなかった。

もし、自分の気持ちを優先ではなく召喚者様の好みに沿う態度を取っていれば、ここまで召喚者様に拒否はされなかった。

自業自得、というやつだ。異世界の先人の言う通りである。



「あ、あああぁああ…ッ!」

「い、嫌だ、やだぁああ!」



休憩所に悲痛な声が響き渡り、二人の意識は落ちた。

うわ、漏らしてる…



『…本気にとったか』

「いい薬です」

『臭いッッッ!!!』

『大丈夫か、ドッグ様の眷属』



ひとまず、これでドゥン様を侮ってた認識は改められただろう。

いざとなれば、自分たちなどどうとでも出来る存在として。



「…本当に削いでもらっても良かったのですが」

『こんな奴らの血で濡れたくはない』

「なるほど、ご尤もでした。このまま連れ帰って隷属を施します。意識が無いなら楽ですし」

『一応、弦とかで縛っておくー?』

「お願いしてもよいですか。引きずって行くのも楽じゃありませんから固定出来るとありがたいです」

「…完全に荷物扱いだな」

「これをのさばらせたのは俺の罪だ。正直、ここまでとは思ってなかった…」



多分、オリジン様や創造神様の話をしても聞き流していたんだろう。

それか、ガートの前ではそれらしく聞いて、大事なことだと口先だけで言っていたか。

内心はどうでもいいと思ってたのだろうが。



「…正直、領内に似た考えを持つ奴が多そうでうんざりしている」

「ああ、護衛の何人かはそうだろうな。お前を呼びに行ったそこの彼は違ったようだが」

「そうだな、本当にありがとう、知らせてくれて。…領が滅ぶところだった」

「いえ、いえ…正直、奥方の考え方にはついて行けない所がありましたので…」

「ああ。普段から片鱗はあったんだな。疑問を持ってたからこそ今回すぐ動けたのか」

「…教育、考えないとなあ…」

『イェガーよ。分身体、一体貸すか?』

「…お願いしてよろしいですか。これを機に、一度最初から教育します」



オリジン様を身近に感じていないと、侮る奴が出るのはどうしようもない。

どうしようもない、が…そもそも創造神様がこちらにほぼ接触しないので致し方ない部分もある。

威厳というか、そういうものが薄れているのだ。

それも世界の在り方として仕方ない部分もあるそうだが。神石を通してでしか、力を行使できないそうだからな。



「…オレも一度領に戻ったら、教育を見直すか」

「ディーンの所は大丈夫だろう。オリジン様の庇護下にあるんだから」

「それはそうなんだが…」

『良い良い、好きにするといい。吾輩に手伝えることがあれば言うといい』

「ありがとうございます」

「というか、現在進行形で災害を食い止めてくださってるなら侮る馬鹿はいないと思うぞ…」



それもそうか。近くの山に落ちるところだった雷を咆哮でかき消してくださったからな。直後に出た巨大な雨雲だか雷雲も散らしてくださったし。

あれ見て領内の子供たちはドゥン様かっこいいー!と大はしゃぎだったし大人たちはドゥン様の住処の方角に向かって拝んでいた。

翌日にはお礼の供物として野菜や果物などの食料が有志(集落のほぼ全家庭)から集められたが、荷車から溢れんばかりになっており、運ぶのに苦労していたくらいだ。

結果、三日くらいに分けて献上しようということで話はまとまった。

何も準備出来なかった家が今から獲物を狩りに行ってくると森に突っ込んで行って、三日目に用意が間に合ったとホクホクしてたし。

…うちは大丈夫か。



『ともあれ、これでクソガキの件は解決か。ペガサス様に伝えておかねば』

『あーアヌビス様にも伝えなきゃー』

「そちらはお願いしてよろしいですか?スライム様とバード様の方は…」

『フェリックス様ヘノ伝言ハオ任セヲ』

『うむ、ではスライムだけか。吾輩が創造神様に伝えて、創造神様に神託をしてもらおう。スライムとバードも、召喚者も安心するはずだ』

「お願いします、ドゥン様。これで召喚者様がビスムズへ向かっても問題ないですね」



ゼイレムで会った、四人の召喚者を思い浮かべる。

長く接したわけではないようだが、ティムに対する嫌悪感は凄かった。

今日ティムに会って、あれだけ嫌ってた理由を嫌でも理解した。ここまで話が通じないと嫌うしかないだろうな…と。

幸いスライム様は眷属を送り込んでくることは無かったが、バード様は送り込んで来た。

下手したらオリジンデーモン様やオリジンシャドー様の眷属が出てくる可能性もあったな…

何せあそこにはディアロス家の者がいたので。特にオリジンデーモン様は召喚者様との縁が深い。

魔族は悪と教えられた召喚者様がそれなりに魔族領へ向かったこと、それが誤解だと理解した召喚者様がそのまま魔族領に居ついたこともあるという。

そんなこんなで、オリジンデーモン様はオリジンの中でも召喚者様を好んでいらっしゃるとドゥン様が言っていた。

そういえばオリジンドラゴン様も結構………これだけで済んで良かったと思うべきか。



「はぁ、ようやく領へ戻れる…子供に癒されよう」

「そういえば最近子供が生まれたのだったか。俺が言うのもなんだが、おめでとう」

「ありがとうガート」



さあ、イェガー領で隷属を見届けたら自領に戻ろう。

任されたことは何とか果たせた。肩の荷がおりた気分だ。

それぞれのオリジン様の眷属と別れ、馬鹿を引きずってイェガー領へ向かうことにした。

気絶した護衛も弦で一まとめにしてくれたので連れて行きやすいな!オリジントレンツ様の眷属ありがとう!


子供の腹に顔を埋めて吸うんだ。いつか『これは猫吸いとかいうらしい。召喚者が言ってた』とドゥン様から聞いたけど、多分異世界でも同じことをしてるんだろう。

まあこれやると妻が怒るんだが。でも今回は許してくれ。本当につらかったから、精神的に。



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