159.ダンジョンシステム
「…ここが、問題の『中級者ダンジョン14』だ」
「騙されたーッ!!!」
「は?」
「中級者!?中級者ダンジョンって言いました!?私たち銅級ですけど!?」
「僕ら、初心者用ダンジョンしか入ったことないぞ!?」
「うわー!そういえばゼイレム付近ってほぼ中級者か上級者ダンジョンしかなかったんだったー!忘れてたー!」
「…言い忘れてたかもしれねえが、そこまで怯えなくていいだろ。オレは金級だし多少何とでもなる」
「バッカスさんのバーーーーカ!!!」
「バカス!バカス!!!バッカスさんはバカっすー!」
「うるせえ!42年言われまくったわそれ!ひでえやつはバカのカスとか言いやがるからな!」
「それはさすがに怒っていいのだよ。あとアキもナズもその辺にしとくのだよ。雄叫びで体力消費しない方がいい」
おやつ返上で強制連行されたのは、中級者ダンジョンでした。地獄か?
絶対レベル17とかの僕らが来ていい場所じゃねえよここ。
ギルドの目安として、初心者用ダンジョンはレベル5~30が適正。中級者はレベル25~50が適正。上級者は45以上のレベルが適正となっている。
なお、ソロ活動の場合はプラス5~10のレベルが必要とされる。
もう一度言います。中級者用ダンジョンの適正レベルは25~50です。僕たちは17です。クソゲーかよ。
あ、レベル72のベルさんを入れれば平均レベルが28だから適正?そっかー…んなわけねえだろ。そんなガバ計算通じてたまるか。
まあ従魔含めれば平均レベルとか爆上がりするけどな!
それはともかくとして、何が起きてるかのあらましは聞いた。
急ぐと言っていただけあり、このダンジョンへは転移で来た。
どうやらダンジョンのいくつかは、該当ダンジョンへ転移する魔道具が排出されるらしい。
今回の『中級者14』も、『中級者14』へ転移できる転移玉が極稀に宝箱から出るという。
バッカスさんはそれを使って、僕たちも含めて転移した。…僕だけ置いてかれたらどうしようと思ったけど、何とか着いて行けた。
向原や芝が持ってた転移玉と、今回使った転移玉は似て非なるものらしい。色や大きさも違うし。
ダンジョン用の転移玉は、該当ダンジョンにしか転移できないが、消耗品ではなく何度でも使えるもの。
そして事故を避けるためか、転移対象者を登録することでやっと使えるものだという。
なので、僕も始め、従魔含めて全員一時的に登録してもらった。これが転移成功した理由かもしれない。
一応僕の方でも『透過』の効果は抑えたつもりだけど…ラージフールの転移玉とは別物って思ったのもいい方向に働いたかなあ。
ラージフールの方の転移玉は使い捨ての上に転移出来る場所はある程度選べる。固定されていない。が、距離に限界がある。
ダンジョン用の転移玉は、そのダンジョンがある領内にいれば、どれだけ離れていても転移出来る。そのダンジョンにしか転移できないが。
つまり、今回の『中級者14』は人間族領のダンジョン。そのため人間族領内であれば辺鄙な場所でも転移出来る。さすがに魔族領や獣族領などは対象外だ。
うん、密入国とかになるもんな…
ダンジョン周回したい時とかには便利だろう。でもほぼ中級者以上のダンジョンでしか確認されてないそうだ。
食材ダンジョンに通い詰めたいと思っていたらしいアキ兄さんとラムが揃ってしょんぼりしていた。
そして、変動に巻き込まれた、ということについて。
これはそのままの意味で、周期ダンジョンの中の道筋が変わって、諸々がリセットされる時にダンジョン内にいたため巻き込まれたという。
つまり、入ってすぐ右にあるフロアは、変動によって次回は入ってすぐ左側のフロアに変わる。
その際、そこにいた人ごとフロアが変わる。なので潰されてトマトになる(オブラートな表現)ことはないが、強制的に今までいた場所から移動させられるも同然。
そして、困ることにセーフティエリアも変動の対象だ。セーフティエリアだった場所が、変動後にモンスターハウスになる可能性も十分にある。
…いや、それ確かにまずいな。負傷して安全圏で休んでたはずの人が魔物の巣に放り込まれるかもしれないのか。
そりゃ緊急依頼にもなるか。
こういった事故を避けるために、周期ダンジョンは変動の周期が記録されている。
そして変動が起きそうな日はダンジョンから全員撤収するのだそうだ。多少のズレがあるので、変動前後の数日は立ち入り禁止措置がとられる。
これは前にギルドで聞いたことがある内容だ。食材ダンジョンもそうだったし。
まあ、食材ダンジョンは大きな道は変更されず、横道だけが変わるので、変動時は大きな道にいれば問題ない。
ついでに大きな道はセーフティエリア同士(階層すぐのフロアとボス部屋前)を繋ぐ道なので、このダンジョンに関してはセーフティエリアも移動しない。
なので、変動時にダンジョン内にいるなら、大きな道かセーフティエリアにいろと周知されていた。幸い、僕たちがいた時は変動は起きなかった。
「今回、予定していた日より10日も早く変動が起きやがったんだ。極稀にあることなんだが、ぶち当たっちまったようでな」
「うわ、それは予想できないやつ」
「ってことは、巻き込まれた人かなり多いんじゃ?」
「…変動を経験したことねえか?前兆があるんだ。ダンジョン全体が揺れて波打ち、景色が重なって見える。今のフロアと変更予定のフロアの景色にな」
「見たことはありませんね」
「そうなって一日後に変動が起きる。だから、それまでにダンジョンを出ればいいんだ」
「避難の余裕は多少あるってことか」
「そうだ。…が、まあ今回、予定が狂ってたこともあって、避難が完全に完了しなかった。残されたやつがいる…怪我で負傷したやつもいる」
「その人たちを探すのが、今回の私たちの役割ってことですか」
「そういうことだ。負傷者含めた逃げ遅れた奴らの捜索と回収だ。人数は判明してる。頼むぞ」
「バッカスさんと僕たちだけでやるのか?」
「避難できた奴らも捜索に当たってくれてるはずだ。が、人手が足りねえ。難しい場所は残った奴らが今探してくれてる。オレらは一階層の捜索だ」
「一階層か…そのくらいなら大丈夫だな」
…なーんて、余裕ぶっこいてたら中級者ダンジョンだったというオチですよ。
そこで転移玉は中級者以上のダンジョンでしか発見されてないってのも聞きましたけどね。
クソが!詐欺にあった気分!
ダンジョンの入り口前には多くの冒険者がいた。
そのほとんどが負傷者だ。寝かされている人も多い。
変動に巻き込まれて、強行軍でダンジョンの外まで走り抜けたのだろう。魔物の相手より一歩でも外に近づくために。
簡易的なテントや寝床の設置、運ばれてきた人たちの手当てや運搬、みんなが慌ただしく動き回っていた。
こういう場面を見ると、やっぱり緊急事態なんだと実感するな。
バッカスさんに連れられた僕たちを見て、一人の冒険者が近づいてきた。
「バッカスさん…この子たちが、助っ人ですか?」
「ああ、この時間じゃほぼ出払ってて負傷者や酔っ払いしか残ってなくてな」
「ほぼ子供と下位魔物…いや、熱感知持ちがいますか」
期待したほどの戦力じゃなさそうで、がっかりしてるんだろうな…
でも僕らも無理やり連れて来られたようなもんだから。立候補とかしたわけじゃないから。期待はしないでほしい。
それはそれとして、やることが捜索なので『熱感知』を持ってるであろうレスパイダーとレスネイクは彼らにとってもプラス材料と判断したらしい。
ダンジョン前で指揮を執ってるであろうこの人はバッカスさんの後輩らしい。
腕と足に包帯が巻かれているので負傷者なのだろう。直接ダンジョンへは乗り込めないが、作戦立案や救出者の治療などには参加できる。
中にはそういう冒険者が多数いるようだ。怪我がそのままなのは、ポーションなどが尽きているんだろう。
バッカスさんはギルドでポーションをもらってきたらしく、マジックバッグからポーションを出して配っていた。
「すぐ動けそうなやつは苦戦してる階層に向かえ!体力が落ちてるやつはしっかり休憩を優先しろよ!」
「20階層以降クリアした奴いたら向かってくれ!23階に救助対象者がいるんだ!」
「俺のパーティ、21階層に飛べるから治療と補給が完了したら行ってくるわ!」
ああ、ポーションは基本的に怪我を治せても落ちた体力までは戻らない。
それに精神的なものは薬品などではどうにもならない。焦りで周りが見えて無さそうな人も休めと言われていた。
…ポーションさえあれば僕たちはいらないのでは?なんて思ってたけど、現場は色々考えなきゃいけないことがあるんだな。
長時間予断を許さない状況に身を置いてれば、削られるものも多いだろう。
そういう意味では僕たちの精神状態はほぼ問題ない。ナズがやや現場に慄いてるくらいか。
「…銅級の自分たちは役に立たない、邪魔でしかないと判断出来たあたり、お前らは周りが見えてる。悪いが頼らせてもらうぞ」
「え、…あ、ああ」
そういえばアキ兄さんがそう言ってギルドから出ようとしたもんな。
立派な理由だと思ってたのに、逆にその判断が出来てしまったという点で戦力扱いされてしまったのか。嘘だろ…
まあ、今回必要とされてるのは捜索だから戦闘力はあまり求められてないっていうのも理由だろう。
自分たちの戦力分析が出来てるなら無茶はしないはず、ってバッカスさんは思ってるのかな。大正解だけどさ。
「一階層にいる奴はもしかしたら自力脱出を目指してるかもしれねえ。部屋じゃなくて道中も確認してくれ。…行くぞ」
「わ、わかった」
「戦闘は極力避けるつもりだが、出たらオレが前に出る。遠距離中距離攻撃があるなら戦闘参加してくれ」
「ナズが一番輝きそう。牽制役」
「嬢ちゃん、牽制役か。そりゃ助かる」
「うぇ!?あ、うん、頑張る!」
…スキルあること隠さなきゃいけないってなったら、衝撃波も物理壁も魔法も糸紡ぎも無しだ。
かろうじて投擲は有りか…結構制限あるな。マジで役に立たん予感。
ベルさんも、やれることは杖で殴ることくらいか。…種族特性か、かなり攻撃力高いみたいで、一撃で屠るから一番の戦力か…?
「…兄ちゃんは戦えんのか?その杖は…」
「ぶん殴るのだよ!撲殺なら任せろ!」
「お、おう…魔法系じゃなくて物理か。まあいいが」
あ、そっか、杖持ってたら魔法使いかもって思うのか。
一応ベルさん、魔法系スキル持ってるけど、使う気はないらしい。
あと、ダークは感知の手伝いだけしてくれるそうだ。もしかしたらダークは転移から弾かれるんじゃないかと思ったが、道具扱いで一緒に転移出来たようで安心した。
ペンダントの中に入ってるのが幸いした…のかな?
周りにいる冒険者からはやや不安そうに見られてるが(わかる…)、突入は決定事項で覆せない。
こうなったら救出対象をさっさと見つけて終わらせてやる。
そう思って、いざ中級者ダンジョンへ足を踏み入れた。最初に出るのはセーフティエリアなのでまだ安全地帯だが。
《推奨レベル帯を大きく下回っています》
《取得経験値が大幅に加算されます》
「「「「は?」」」」
「どうした!?」
「ん?…ああ、レベル足りねえか」
「は?え?なんぞ!?」
「このダンジョン、推奨レベルが35~40くらいでな。10以上下回ってたら経験値が多くもらえる。多少だがな」
「下回ってますねー余裕で下回ってますねー」
「25以下かー。20にすらなってねえわ」
「…想定しちゃあいたが、そうか、20以下か…銅級だもんな」
「だから邪魔になるって思ったのにさー。大正解じゃん」
「あー、悪かった悪かった。極力戦闘は避けるから頑張ってくれ」
えええ、知らんかった…ダンジョンってそんな措置があるんだ…?
てことは、パワーレベリングが出来るってこと?まあ普通なら死ぬからやらないんだろうな。
こういうのが聞こえたらさっさと撤退しろってのが暗黙の了解らしい。でしょうねとしか思わんわ。
スーの住処があった山はどうなんだろう。あそこもかなり経験値が多くもらえた。
けど、ダンジョンじゃないからアナウンスはなかったんだろう。
むしろそんなのがわかるダンジョン意味わからん。今更だけど魔物が倒された後ドロップになるのも意味わからん。
ベルさんはレベル72だから聞こえなかったみたいだな。当然、従魔のみんなも。
僕たちは…17だからな…召喚者だから多少は強いだろうけど。
「この一階層にゃ、逃げ遅れたヤツがあと10人いるんだ」
「多いのか少ないのか…」
「最初は22人だったが、12人はオレがゼイレムに救出要請行ってる間に自力で出てきたらしい。つまり、残りは自力脱出が難しいんだろ」
「おお、脱出出来てる人もいたんだ。凄い」
そのあたりはさっき声をかけてきた冒険者から聞き取った情報らしい。
そうだな、情報更新しとかないと、下手したら22人探そうとしちゃうもんな。
ついでに残りの救助対象者のことも聞いたそうだ。
「残った奴らの中にゃ弓使いもいるから、遠距離攻撃で魔物を撃退って手も使えるだろうな。まあ、負傷者だろうから無理させられねえが」
「それでもあたしらよりは戦力になりそう」
変動直後のため、当然ながらマッピングなどされてない。つまり完全に手探り状態で進むことになる。
最初のセーフティエリアを出れば、もういつ魔物が出て来てもおかしくない。
一階層というだけあり、罠などはないそうだ。ただしモンスターハウスはある。何でだ。
「罠がねえってだけで生存率は上がる。残りの10人、モンスターハウスに入ってねえ限りは高確率で生きてるはずだ」
「モンスターハウスは部屋だろう?どこかの部屋に入ろうとしない限り無事では?」
「セーフティエリアを探してるでしょうから、部屋に入ろうとする可能性はあると思いますね…」
「それに、通路にいたんじゃ隠れる場所もないもんな。魔物に挟み撃ちされたりすると危ないし…」
「あ、ああ、なるほど、その可能性はあるか。ダンジョンなどあまり入らないから思いつかなかったのだよ…」
「そういうことだ。どこかの部屋に10人まとめて籠城してるって可能性が高い。悪いが、片っ端から開けてくぞ。モンスターハウスじゃねえことを祈れ」
「うぁあああ~…!フラグ、これ絶対フラグぅう…!」
「…ふらぐ?」
「何でもないです気にしないでください。ところで、地図は作りますか?」
「出来りゃ作りたいが…」
「簡易的なものでいいなら私が作りますよ。出来はあまり期待しないで欲しいですが」
「…いや、助かる。頼めるか」
バッカスさんがマッピング用の紙やペンを貸してくれた。
鉛筆やチョークに近い、かな?危ねえ、僕らが普段使ってる紙やペン出してたらいらん疑念持たせるとこだった。
ハルは早速受け取って、セーフティエリアから描いていた。
今までのダンジョンでもハルはこうしてマッピングしてたので、一番慣れている。絵も上手いし。
「念のため、このセーフティエリアにある程度の荷物は置いてく。つっても、置いてくのはほぼ寝床台だが」
「ああ、安全圏だもんな」
「応急処置する可能性もあるから、ポーション系は持ってく。戦闘と救助に必要ねえもんはここに置いてけ。荷物は少ない方が素早く動けるし体力消耗も抑えられる」
「…ほぼないな。俺ら、元々任務に使いそうなもんくらいしか持ってなかったし」
「寝床やご飯作るやつなんかは宿(という名のカーくん)に置いてきてるもんね」
「…それもそうだな」
若干、荷物を軽くしたところで、セーフティエリアからバトルフィールドへ移動した。
出来る限り戦闘は避けて部屋を見つけ次第入って行く、そんな作戦ともいえない作戦で進むことになった。
そしてバトルフィールドから出て一歩。
「もう魔物出ましたけど」
「真正面だな」
「避けられないやつ~」
「…くそ!お前ら下がれ!絶対攻撃くらうなよ、あいつらは一撃が重…」
「晩飯じゃーーーっ!!!」
『殲滅です!!!』
「はあ!?」
「あ、アキ兄ーッ!!!ラムーッ!!!」
「知ってた、正直こうなると思った!アキ兄さんにとってオークはご飯だから!奴らが見えた瞬間この展開になると思った!」
「ざ、ざけんなこらガキィイイイ!」
「陣形も何もないのだよ。もうその場の判断でやるしかない」
正直アキ兄さんがすまんかった。
てかここオークソルジャーとか出るのかよ。あ、奥にアーチャーもいる。
余さず頂きます、成仏してください。いや、ダンジョンの魔物は死んでもまた別の個体としてダンジョンが生み出すんだろうけど。
しかしこの数はまずい。とりあえず無機物干渉スキルで奴らの持ってる武器を脆くしておけば、攻撃力も減るだろ。
ちょっと尖りを丸くするとかその程度しか出来ないけど、やらんよりはマシと信じて。
さすがと言うべきか、バッカスさんの会心撃は凄まじかった。自分が前に出ると豪語するだけはある。
斧使いだったようで、一振りごとに一匹倒す勢いで薙ぎ払っていった。
アキ兄さんの分と合わせて、ガンガンドロップに変わっていくオークたち。わあ、肉が大量。
…ていうか。
《リオがレベルアップしました》
《無機物干渉スキルがレベル13になりました》
《結界スキルがレベル7になりました》
いや、ヤバすぎんかこれ。
思わずみんなと目を合わせちゃったよ。漏れなく死んだ目して…アキ兄さんだけは生き生きしてたけど。
たった一戦でみんな何がどんだけ上がったんだ…怖…確認するのこわ…
アキ兄さんとラム、そしてバッカスさんの活躍で20匹以上いたオークは10分かからず殲滅された。早すぎ。
「おい…お前…っ!こういう時に、無謀に突っ込まねえ奴と思って選んだってのに…」
「ごめんなさい、肉…オークを見たら、その…」
「オークを肉とか言うな。いや、まあ、想定以上の戦力で助かったが…それはそれとしてオレの指示には従えよ、お前ら…!」
「ごめんなさい」
「すいません」
「悪かったのだよ。ところでドロップした肉はどうするのだ?」
「多すぎるから、もったいねえが捨てて…」
「これを捨てるなんてとんでもない!!!」
「ぷぶぎゅーーーーーーーーーーっ!!!」
「アキ兄とラムがキレたから手早く回収しよ!肉以外は放置でいいよね!」
「肉以外はどうでもいい」
「オイ、むしろドロップした武器とかの方が価値あんだろうがよ…!」
「食えないならいらん」
「ハイハイ、拾う時間は今から一分な。それ以降はもったいないけど放置して先進むぞ」
あくまでメインは救助だ。
いかに美味しい肉といえど、回収に時間はかけられない。
バッカスさんも反対しかけたが、まあ一分なら…と妥協してくれた。
正直、一分程度じゃ半分も回収出来なかった、が、さすがにアキ兄さんもラムも食い下がらなかった。
「くっそぅ、今後ここに来れるか怪しいのに…!」
「アキ兄さん、人命救助、人命救助ですよ」
「そうだな…さすがに人の命が優先だよな、うん」
そうして名残惜しそうにしつつも進むことにした。
ちなみに今までのオーク肉とは若干違うそうで、アイテムボックスには収納できなかった。
出来たところで、バッカスさんの前で収納するわけにもいかんが。
そんなわけで、現状はナズの鞄の時間遅延とベルさんの時間停止マジックバッグに頼るしかない。
しかしこの階層を僕らが回るの、大丈夫か?魔物の種類的な意味で。
二階層とかに変更してもらった方がよくないか…?
バッカスさんも若干失敗したな、と言いたげな顔してるし。
けど戦力面での不安が軽減されたみたいで、やや早足で見て回ることにしたと言われた。
それでもレベル帯を大きく下回る戦力なのには変わりないけどな…?




