表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
177/218

157.影、合流


ベルさんが作った装飾は、ペンダントトップのようなものだった。

楕円形の土台に、被せられるようについている蓋のようなもの。

これはパカっと開くタイプじゃなくて、スライドして開くものらしい。

僕たちの世界にはこういうスライド式の蓋なんかもあると聞いて、作ってみたくなったそうだ。ちなみに情報源はナズとのこと。

蓋を開け放つものじゃなくてスライド式にしたのは理由があって、これなら『影』が出来るから。

ああ、これなら八割くらいしか蓋が開かずに中身が完全に露出しない。そこまでしか移動しないようにしたそうだ。



「こうすれば、僅かとはいえ底に蓋で影が出来る。開け放ってもオリジンシャドー様の全てが光にさらされることはないのだよ」

「あたしとの雑談から、よくぞそこまで考えついたな…?」

「聞いた瞬間、これだーと思ったのだよ。図解もありがたかった。イメージしやすかったのだよ」

「うちの妹が最高ってことでよろしい?」

「リオ兄?」

「よろしいと思うのだよ」

「よろしいかな???」

「でも実際、いいものが出来てるわけなので、ナズ姉グッジョブ案件では?」

「ベルさんもありがとな!綺麗なのが出来たなあ」



指の関節二つ分くらいの大きさだろうか。

濃い銀色の土台に、同色の蓋。蓋の中央にはカットされた宝石のようなものがはめられている。

これは黒で、魔晶石そのものの色だな。というか、魔晶石そのものの形を残したのかもしれない。ちょっと歪だけど、不思議と綺麗に見える。

他に飾りらしいものもないので、全体的にシンプルだ。一番分厚い部分でも2cmくらいしかないんじゃないか?

持たせてもらったけど特に重いわけでもない。首から下げても邪魔にならないだろう。多分。

スライドの方向は上下で、それ以外の方向には開かないし、蓋もズレない。

うっかり事故で蓋が開いた、なんてことも起きそうにない。



「…でもこんな小さいのでいいのか?」

『充分です。どんな小さな影でも入り込めるですから、シャドーにとっては良い家です』

『あいつ、その気になったら針の影でも潜めるのだ』

「ほっっっそ」

「まあ、それを考えればしっかりした家…なんでしょうか。家って言ってしまっていいんですかね?」

「じゃあこれ、シャドーハウスか」

「リオくん、そこまで」

「あい」



ひとまずオリジンシャドーを呼ぶ準備は出来た。

ラムやスーに神託を通じて伝えてもらうことにした。

合流は、明日の昼だ。



「今すぐじゃないのか?」

「隠密中カーくんの中はさすがに来れないだろ」

「あ、確かに」

「それに、一応魔物ですからね。町の外で会った方がいいでしょう。明日、冒険者活動しますからどの道町から出ますし」

「なるほど、そういうことか!」



肝心のシルバーがいないので、同行者の設定もテイムも一旦保留だ。

本当にただの顔合わせみたいなものになる。オリジンシャドーも、それでいいという返答だったし。

…久々に会えると思ったベルさんがそわそわしてるけど。遠足が楽しみで眠れない小学生みたいなことにならんか?


そうして翌日、約一名の遠足前小学生(180cm超え)も引きつれ、ゼイレム近くの森にやってきた。

ベルさんウッキウキしすぎだろ落ち着いて。

周りに人もいないし、今なら出て来ても大丈夫だろう。



「って、オリジンシャドーさん、ここわかるかな?」

『世界中、どこにでも影はあるですし、空間魔法で飛んでこれるはずです。召喚者もオリジンも知り合いのベルくんもいるですし』

『これだけの目印があれば大丈夫なのだ。人間族領のゼイレム付近にいることも伝わってるし』

「そっか」



まあ、時間は昼頃と伝えたわけだし、いつ来るかはわからない。

依頼の薬草採取をしながら待つか、と思ったら。



「ギャオッ!?」

『来たよ』



ベルさんの影からにゅっと何か出てきた。

足元にいきなり出たからびっくりするのはわかるけど、怪獣みたいな悲鳴出すじゃんベルさん…

もしかして、これがオリジンシャドー、なのか?



「黒いチンアナゴを連想したの僕だけかな…」

「me too」

「いえ、チンアナゴより顔と思われる部分が大きいです。膨らんでます。顔がウーパールーパーに似てて可愛いです」

「ほー、すべっとしてそうな見た目。影だから靄っぽいかと思ってた」

『え…ええと…?』

「オリジンシャドー様に似てる生物がいるのか?後で教えてほしいのだよ」

「いいよ。ハルかナズに絵描いてもらって」

「リオくんが描くんじゃないんだ…」

「僕に絵心はない」

『みんな、この謎の生物を受け入れるの早すぎです』



ちょっと蛇にも似てるかな?フォルムが。いやでも蛇枠はサンがいるからな。

まあ『変身』スキルで姿は変えてもらう予定だけど。

元は影というだけあって、不定形なんだろう。今の影からチンアナゴ状になって伸びてるのも、本来の形というわけじゃなさそうだ。

なお、昼とはいえ森の中なので、ここは木陰である。加えてまだベルさんの影から完全に出てないので、光にやられるという心配はない。

そもそも強い光を一斉に浴びでもしない限りダメージにもならないらしい。なので僅かでも影に触れていれば普通に陽の光の下を歩けるそうだ。

そしてその『影』は自分から生まれたものでもいい。人型に擬態するとして、上から光が当たっている場合、顎の影が首元に生まれる。

こんな、僅かな陰りだけでもいいらしい。

…余程じゃないと消えるどころかダメージも受けないやつじゃないか。最強か?



『え、ええと、初めまして召喚者たち。ぼくはオリジンシャドー。今の種族はダーク。影の魔物だよ』

「初めまして」



軽い挨拶から始まった。ベルさんについては『久しぶり』と挨拶してたけど。

ベルさんニッコニコである。会えて嬉しいらしい。



『久しぶりです、シャドー。誘拐作戦お疲れ様です』

『久しぶりなのだ。現在進行形で監視役もやってるって聞いたのだ。忙しくないのか?』

『久しぶり、スライムにバード。監視の方は、動きがないからそこまで忙しくはないよ。あいつら、変化のない毎日を送ってる』

「変化のない…?本当に何も動きはないのか?」

『えっと、うん、王子は愚痴言ってるだけだし、召喚者も監禁状態で生かされてるだけ。イライラしてるだけの毎日』

「えええ…スキル経験値稼ぎとかもしてない感じ?じゃあマジであっちに動きはないの…?」

『ぼくが把握してる限りはね』



城の技術者とか魔術師とか、そういう奴らが何かしてる可能性はあるけど、さすがに調べようがないらしい。

王子とかがそいつらの所に行けば盗み聞くことは出来るそうだけど、王子は今、謹慎に近い形になり、部屋からもあまり出してもらえないのだとか。

ああ、まあ、召喚者12人を逃がしたようなもんだしな。こっちとしてはいい気味だけど。

影だからといって、王城の影に潜んで王城全体の監視…なんてことはさすがに出来ない。

あくまで分裂体を仕込んだ人間の影にしかいられない。

何せ分裂体には自分のスキルを譲渡する必要がある。本体のスキルレベル依存ではあるけど、分裂体それぞれにスキルを付与となると、出来ることが減るわけで。

監視目的の分裂体には闇魔法や地獄耳スキルを譲渡してるだけなので、それ以上のことは出来ないらしい。

闇魔法?って思ったら、闇魔法レベル10で覚える『影潜』だそうだ。ああ、それで潜んでるのか。

つまり闇魔法レベル10を複数体に譲渡してるのか…出来るだけのレベルなのか。ヤバイな。

まあ、分裂スキルと眷属系スキルが高レベルなので、闇魔法レベル10を譲渡しても本体の負担はレベル1相当のものを譲渡しただけ、くらいになるそうだが。

眷属系スキル強いな。ラムが負けたと打ちひしがれてた。お前は最近覚えたばかりなんだからしょうがないだろ。



「えーっと、とりあえずおうちがあるので、そこ入る?」

『おうち?』

「ああ、僕が作った装飾なのだよ。魔晶石で作った…」

『あ、聞いてる。作ってくれたんだね、ベルギアレイズ。ありがと…え、すごいね?』

「頑張ったのだよ!これは召喚者の意見も取り入れて作ったもので自信作なのだよ」

『え、すごい…え、ほんとにいいの?ここ住んでいいの?』



オリジンシャドー、感動してるのか影から伸びてる頭部分がびちびち左右に揺れてる。

影の魔物的にはすごくいい住処のようだ。そうなんだ…

大喜びでスライドして出来た隙間ににゅるんと入って行った。質量はあってないようなものなので、これでいいらしい。

入ったのを確認したベルさんが、蓋を閉じた。これで中は真っ暗のはずだ。オリジンシャドーにとっては快適だろう。



「さて、誰が持つ?」

「ベルさんでいいんじゃないの?」

「今後はシルバーさんに渡すことを考えたら、リオ兄さんがいいのでは?」

「ベルさん以外なら、闇魔法持ちのハルがいいんじゃないかって思ったんだけど」

「でも私、光魔法もありますからね」

「あ、苦手属性か」



決まらなかったので、現時点で従魔とかいないベルさんが持つことになった。

何かね、特にラムがね、嫌がったんですよね…自分の主人が自分以外の魔物を連れてるっていう状況を。

ベルさんも嬉しそうだし、オリジンシャドーも知り合いだから、ベルさんに所持されるのは嫌じゃないらしい。



「でも呼び名どうする?種族名のダークでいい?」

「名前はシルバーさんにつけてもらえばいいでしょうから、ダークさんでいい気もしますね。珍しくリオ兄さんがまともな案出しましたし」

「珍しく…」

「まあ、せやな。従魔になる時に名づけもあるし、今はあだ名としてもつけん方がええやろな。ダークでいいと思う」

「口調男の子っぽいからダークくんて呼ぶかな。むしろダーくん?」

「アキ兄さん」

「ごめんなさい。今の無しで」

『な、何でもいいよ…?』

『ダークにしとくです、シャドー。ご主人様たちはネーミングセンスがヤバイですから』

「ラムにまで言われたー!」

『懸念があるとすれば…シルバーちゃんのネーミングセンスなのだ…」

「どうなんですか、リオ兄さん?」

「知らん…」



だって、何かに名付けるようなシチュエーション見たことないし。

みんな、それもそうかと納得してくれた。

たまに家に遊びにくるらしい猫だって、猫としか呼んでないみたいだしな。

あと、名付けるとか、名前に関すること、あいつにとってどう感じるのか。こればかりはわからない。

自分の名前とユリちゃんの名前については敏感だけど、それ以外の人の名前とかあだ名は特に気にしてないし。そういやエリさんのことは花女とか呼ぶし。

なら、ダークの名づけだって案外あっさり名付けるかもしれない。

…チンアナゴとかウーパールーパーってつけようとしたら止めよう。僕に出来るのはそれくらいだ…!


採取依頼はあっさり終わり、町に戻ることになった。

ダークはペンダントに入ってるので人数換算されない。

ペンダントにラテの糸を通して、今はベルさんが首から下げている。

姿は見えなくても、念話で会話してるので、普通にコミュニケーションはとれた。



『人間族の町かあ…』

「そういえば、オリジンが町の中に入るって大丈夫なん?」

『本体じゃなくて分裂体だから大丈夫です。意識自体はこっちを優先してるかもですが』

「あ、なるほど」

「そういやラージフールにだって入ってるようなもんだしな」

『異世界人にテイムされる時と、同行者の設定する時はさすがに本体でやるよ。分裂体を本体に変換すればいいだけだから』

「ほえー、そんなこと出来るんや。すご」

『ラムは出来ないです…』

「スキルレベルが低いからじゃないか?」

『ぼく、『眷属支配』と『同化・影』のスキルがあるから、それの合わせ技だよ』

「何かやばそう。とりあえず、ダークならではの技ってことだな」



眷属支配って初めて聞いたな?

どうやら眷属系スキルにも種類があり、眷属強化、眷属操作、眷属支配の順に出来ることが増えるらしい。

眷属を強化するだけ、多少の操作が可能、完全に支配することが可能、と言った風に。

ラムとスーは『眷属操作』持ちだ。これはオリジンであるために『眷属強化』すっ飛ばして習得出来たんだろう。

ということは、ダークが持ってる眷属支配は眷属系の最上位スキルなのか。すごいな。



「とりあえず…僕たちと行動してもらうってことで。基本はベルさんと一緒でいい?部屋とか」

「僕はこのカーくんの客室に寝泊まりしてるのだよ」

『少しは聞いてたけど…凄いね、これ何のスキル…?』

「無機物干渉スキルの召喚物です。私たちの世界にある車の一種ですよ」

『そうなんだ…車なんだ…ぼくは暗い場所ならどこでも…いや、この装飾の中にいられるだけでいいから、ベルと一緒でいいよ』

「そうか!なら一緒にいるのだよ、ダーク様!」

「とりあえず車内の案内しますか」

「ダークくんてご飯何食べるの?」

『何でも食べるよ。雑食。スライムほどじゃないけど』

『食べるというより飲むに近いです。影に取り込む感じで』

「ああ、倒した魔物を丸飲みにしてたのだよ。以前見たのは闇魔法の練習とかで的になった魔物だった」

『魔法くらいまくってグチャグチャになったやつは、普通に片付けるの面倒かなと思って』

「突然のグロ!まあそれならみんなと一緒のもん食べれるってことだな」

『そもそもわたしと同じで、しばらく絶食しても問題ない種族なのだ』

「ああ、スーも太陽の光浴びてればそれを栄養に出来るもんな。ダークも影の中にいたらそれが栄養になるタイプか」

『うん、あと闇属性の何かも栄養になるよ。魔法とかでも』



聞けば『闇属性吸収』を持ってるそうだ。マジか。

ハルが闇魔法の練習に良さそうとか若干人の心がない発言してた。

…でも既にアキ兄さんがスーやサンに魔法ぶつけて経験値稼ぎしてるし、今更か。

ダーク本人も的になるのはオッケーだそうだ。心広い…


あと、考えることは…



「ダークが何の姿になるか、か…」

「さっきのアナゴルーパーでいいんじゃないの?あれ可愛いよ?触り心地も良さそうだし」

「合体させるんじゃありません。念のために既存の魔物のフリさせといた方がいいだろって思って」

「あー、まあ確かに?掲示板でも案募っとったよな?」



ダークはハルとベルさんと一緒にまず温室へ向かったようだ。アキ兄さんは既にご飯の準備に入っている。

ナズもクロちゃんに行こうとしてたみたいだけど、僕の独り言に反応した。

同じオリジンのことで気になったのか、ラムもこっちに来た。



『ある程度、複雑な形したやつの方がいい気がするです。出来るだけ多くの影が出来るような』

「ってなると、スライムは駄目だな。丸くて影なんてほぼないし」

『あとは小さすぎても駄目なのだ。地面に写る影とかもあった方がいいのだ』

「あー、蜂とかみたいに小さくて飛んでるやつやと地面に影出来んもんな」

「なるほどな。そういや、スーも近くにいない方がいいのか?」

『多少の光なら大丈夫なのだ。伸びる影を作るのに役立つとか言ってたし、むしろ陰りは歓迎みたいなのだ。光りすぎると嫌みたいだけど』

「ああ、じゃあスーくらいの光源なら問題ないのか」

「うーん、多少の大きさと凹凸…やっぱ猫?」

「アリ寄りのアリだけど…うーん、やっぱネコマタって意見多いな、みんな」

「マジだ。みんな調べてくれたんやな。…なるほど、四足歩行やと影いっぱいあるからか、腹とか」

「うーん、言われてみると人形系も有りか。あと兎系って意見もあるか。ライビは当初お世話になったな、肉の意味で」

「アキ兄の視線に食欲混じりそうだから、ライビはやめとこ…?」



…そうだな。

ならやっぱり第一案はネコマタかな。首輪みたいにして魔晶石ハウス下げれば単独で行動もできるだろうし。

本来のネコマタはあまり可愛くない。ヂュンとかと一緒で、目がイってる上に泣き声もしゃがれてるそうだ。

が、テイムして人と接してると精神的に大人しくなるのか、可愛い見た目になるそうだ。

気持ちが見た目に表れる典型的な例だろうか。

そこまで強くはないが、猫だけあって夜目は利くし感知能力もそれなりなので、従魔としては捕獲難易度が高くないのも相まって人気だとか。

って考えると、ネコマタは従魔としてありふれてるのか。

もっとも、テイマーみたいな人たちはさほど多くないらしいけど。

従魔に任せるより自分でボコった方が楽と考える人が多いらしい。脳筋ってことかな?あとは餌問題か。

そんなこんなで、従魔連れのテイマーは上級者向けの職という位置づけになっている。

もしくは、幼少時から一緒にいて、ずっとパートナーである場合もあるとか。

なお、一番人気というかありふれてる従魔はスライムである。理由は推して知るべし。



「他種族の『変身』が嫌じゃないなら、ネコマタ提案してみようか」

「せやな。猫のオリジンもおるやろしな。領分を侵すってのも違うかもだけど、嫌がったら別の案にしよ」

『ラムは他のオリジンがスライムのフリしても全然気にしないです』

「…そういえば、ドラゴンがレドスライムのフリしたことあったな」

『わたしも別に気にしないのだ。自分が変身するなら鳥系がいいとは思うけど、別にスライムになってもいいのだ』

「オリジン的には気にならん感じかー。ま、ダークくん次第やな」



案内が終わった後に提案してみたところ、快諾された。

そんなことでいいなら、とのことだった。

早速、物は試しとネコマタの姿に『変身』してもらった。



「黒猫!」

「しっぽがふたつ!可愛い!」

「抱っこしていいですか!!!」

「首輪に魔晶石ハウスつけようと思ったけど、ちょっと猫にはデカいか?」

「魔晶石ハウスって何ですか!?いえ、言わんとすることはわかりますけど!リオ兄さん、めっ!」

「ハイ」

『え、あ、あの、ええ…?』

「…みんな、ダーク様が戸惑ってるのだよ。ちょっと落ち着け」

『猫…そんなに猫がいいです…!?』

『にゃーって鳴けばいいですの?』

『毛か…毛が必要か。尾だけでは足らぬか…』

「お前が一番だよラム!」

「ラテの毛に勝るものなし!」

「サン、誤解です、浮気なんてしてません…!」

「何で全員浮気がバレた彼氏みたいな言い訳してんの…」



一斉に従魔を抱きしめてた。

僕?猫にはたまくんやカーくんで耐性があったから…嘘です。首輪に関することが気になってただけで後でモフろうとしてました。

それを察してたのか、スーはジト目で僕を見てますけどね。



「とりあえず、暫定だけど魔晶石から出る時はその姿でいてくれるかな?普段は魔晶石の中で」

「そっか、町の中とか外に出る時にネコマタ姿見られたら面倒だもんな」

「ああ、誰の従魔だとか、ギルド登録してないならテイムされてないだろとか文句言われそうだよね」

「つまり、シルバーさんの従魔になる前は不自由させてしまうと…」

『ずっと引っ込んでるの、苦じゃないけど?』

『こいつ引きこもりです。気にしなくていいです』

「お、おう…」



思えば、ラージフールの分裂体とも意識共有してるなら、こっちばかりに集中してるわけにもいかないか。

なら魔晶石の中で寝てるようなものと思えば…うん、用のある時だけ呼びかけてこっちに集中してもらえばいいか。



「そっか、ラージフールに何かあったら報告とかもあるよな。じゃあ普段は声とかかけない方がいいか」

『え、あ…そこまで、気にしなくても…』

「じゃあ俺は三食おやつの時以外は声かけないようにするな」

「毎日声かけるようなもんじゃんそれ。しかも一日四回」

『えっと、その、人間族の王城の方は動きがあった時だけ集中すればいいから…普段はこっちに意識割くよ?召喚者の手伝いは優先順位高いし』

「他の分裂体に集中しなければならない時は、今から寝る、とでも声かけてくれればいいと思うのだよ」

「あー、それいいかも!そしたらあたしらもその時は声かけずにいるし!」

『…そうだね、そうしようかな』

「よし、じゃあ今後の方針が決まったところで、晩飯じゃー!」

「いっぱい食べるのだよ!」

「やったー!ご飯だー!」



晩ご飯は揚げ物だった。今日動いたからな。美味しい。

ダークがご飯は飲むというなら、と思って掬いやすいように固形のものにしたらしい。

別に汁物でも問題なく食べれると知って、明日以降は特に気にしないことにしたそうだ。

ダークのことを考えた献立だったのか。アキ兄さん優しいな。ウチの兄最高か。


ドヤ顔してたら気持ち悪いって言われたけど。泣いてない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ