156.ギルドに下った一斉連絡
スーに頼んで創造神経由でオリジンシャドーに大事なことを質問してみた。
…可愛いものになれるか?という。
返答は、形状変化の上位スキル『変身』持ちだということだ。やったなこれで勝つる!
小さい方がいいだろうし、ハムスターみたいなのに変身してもらおうかな。
え、ハムスターって何かわからない?ネズミの仲間…あ、違います、マスフじゃないですそれは却下で!見た瞬間バーサクする子がウチにいるんです!
大体それ可愛くないだろ!オッサン顔だろ!あ、可愛いのがどういうのかがわからない?なら仕方ない!
…こっちに来てから指導した方が良さそうかなこれ。
「可愛い見た目の魔物がいないか探した方がいいのでは?魔物の種類がわかれば変身出来るでしょうし」
「…冒険者ギルドで魔物図鑑眺めるか。ついでに情報収集もするかな」
「そっちがついでなんですか?」
『なら主が図鑑眺めてる間、わたしが情報集めとくのだ。ギルドなら情報集まりそうな場所だし』
「明日休日だし、ちょうどいいんじゃないか?俺は食材マーケットと屋台に突撃する予定」
「荷物持ちと味見要員いるやろ。あたし付き合うでアキ兄」
「私も隠密のスキル経験値稼ぎがてら情報収集しますかね。冒険者ギルドをリオ兄さんが担当するなら、私どこにしましょうか」
「…休日が休日になってないのだよ、みんな」
「あー、聞こえない聞こえない!」
一応掲示板でも助けを求めてみたんだけど、岸見さんが猛プッシュで猫の魔物を推してきた。
影の魔物なら黒猫とかいいと思います!とか取り繕ったように言ってきたけど。まあ、一理あるか…?
候補のひとつにはしておいて、他にも探してみようかな。
他の町に滞在してる人たちも魔物図鑑眺めて探してくれるそうだ。ありがたい。
ちなみにベルさんはアキ兄さんに連行された。成人男性の体が目当てで。味見要員兼荷物持ちですね、わかります。まあ、ベルさんが喜んでたからいいだろ。
何でこんな質問をオリジンシャドーにしたかというと、昨日の伝達で返答があったからだ。
シルバーがこっち来た時だけオリジンシャドーに同行してもらう件について、オッケーだった。超安心した。
そこで終わればよかったんだけど、ナズがハルの提案も話しちゃったんだよなあ…
あれだ。シルバーがこっちに一時的に留まる提案だ。
確かに、捕まえたって連絡入れてからこっち来てたんじゃタイムラグがある。
じゃあ先にシルバーを呼んでおいて、シルバーがいる数日の間にとっ捕まえてしまえばいいんじゃないかと。
そんなうまくいくか?と思いつつ、止める暇もなくナズが弟くんに伝えてしまった。
僕?止めようとしたらアキ兄さんに羽交い絞めされて拘束されてました。
絶対嫌がるだろうから廃案にしよって話したはずなのに…廃案になったと思ってたのは僕だけで、他の皆は「アリでは?」という結論に達していたらしい。
聞くだけならいいだろ、と決行されてしまった。
この案に機嫌損ねて、オリジンシャドーの件もやっぱやめたとか言い出したらどうすんだ…
そんな風に考えてしまうのは僕だけなのか、みんなはお気楽だった。ドウシテ…
弟くんがシルバーに伝えてから返答をもらうという流れなので、どう頑張っても一日は返答が来ないだろうけど…
次の伝達が怖い…ブチギレてやしないだろうか。キレたあいつを止められるのはユリちゃんか京さんくらいだぞ。
「あー…」
『主、どうしたのだ?まだ心配してるのだ?今悩んだってどうにもならないのだ』
「いや、それもそうなんだけどさ、ざっと見て…一番可愛いかなって思ったのがコレなんだよな…」
『…ネコマタ?小型の魔物だし、いいと思うのだ』
「そうなんだけど、岸見さんの言う通りになりそうなのが癪というか…!」
『あと、画像強請られそう?』
「それ」
絶対カーくんとツーショット撮ってくれとか言いそう。
てか猫型はカーくんで埋まってんだから別の種類がいいと思うんだよな。
そう思ってネズミ系も見たけど、何と言うかオッサン顔以外はいかつい顔が多かった。勇ましいというか、かっこいい。
というか、普通に脅威度の高い魔物が多いんだよな、ネズミ。テソって鉄鼠だろこれ。
…ハムスター系、いなかった。
「…他にいい魔物いないかなあ」
『可愛いって視点で鳥以外の魔物を見たことがないから、思い浮かばないのだ』
「そっか、それもそうだよな」
スーは鳥の魔物なら贔屓目もあるけど可愛いかどうかの判別が出来る。
あのヂュンさえ狂った顔してなければ可愛いと判断出来てたからな。
でも同じことを、他の種の魔物では出来ないらしい。思い入れが強くないせいか、理由はわからないけど。
魔物なので重視すべき情報は強さとか、自分と相性がいいかとか、肉の美味さとか、そういう部分なんだそうだ。世知辛いね。
ちなみに相性ってのは戦闘の相性だそうですよ。自分にとって有利か不利か。まさに弱肉強食。
うん…そう考えると、可愛い魔物思いつかんかって聞いても答えられないよな…今までそんなとこ見てなかったんだから。
なら鳥で可愛いのはどれかって聞いたら、全部可愛いとか言い出すんだよこのオリジン。
スーが初めてまったく役に立たない。
『あ、主、司書が戻ってくるのだ。小声でももう話さない方がいいのだ』
「わかった、ありがとう」
ちょうど魔物図鑑を本棚に戻したところで、司書さんが戻ってきた。
ちょっとげんなりしてるっぽいな。また本破いたって報告でも聞いたんだろうか。
僕は汚さずちゃんと戻したから大丈夫だと思うけど…
「…ああ、君」
「ん?何?本は綺麗なまま戻したよ」
「あ、ありがとう。そうじゃなくて…あ、そういえば君、最近来たばかりの子か」
「うん、だからこの辺りの魔物のこととか調べてるんだ」
「そうか、感心だね。…一応伝えておこうか。そのうち周知される気はする情報なんだけど」
「…スタンピードの前兆でもあったのか?」
「いや違うよ怖いな!?もっと穏やかな連絡だよ。君くらいの年齢で、黒髪か髪を隠してる子がいたら教えてくれないか?」
「えっ…ハゲを隠してたりしても…?」
「君くらいの年齢でその心配はあまりしなくていいよ」
「…あ、そっか、僕くらいの年齢の子か。そうだよな、うん」
「真っ先に気にするのがハゲなんだね…」
「ふふ…故郷に、ちょっと頭の光沢の話するとうるさくなるジジイがいてな…ジジイを屋外で見る時、頑張って目が眩んでるのを隠すのを繰り返し…」
「ごめん詳しく聞きたいわけじゃないんだ。まあ、もし見かけたら教えてってだけだから。君、パーティ組んでたよね?その子たちにも伝えといて。じゃっ」
「あっ、ジジイの話まだあるのに…」
「もういいよ!ホラ読み終わったなら帰っていいから!」
「はーい」
若干早足で去られてしまった。まああの先は司書室とかなんだろうけど。
…それはそれとして、だ。
『…召喚者を探してるみたいなのだ』
そう、気にすべきはこれだ。
怪しまれるのが一番やばいと思って、無理やり意味がわからない話をして即話を切り上げさせてもらった。
何しろ、黒髪の子供というのは僕たちも該当者だからだ。何が切欠で気づかれるかわかったもんじゃない。
この世界には、魔道具なんてものもあるからな。
意識して早歩きにならないように冒険者ギルドを出る。そして近くにある屋台で串焼きを買い、邪魔にならない場所で立ち食いする。
こうして屋台の食べ物を食べる冒険者は多いから怪しまれないはずだ。ついでにスーの分も買ったので、一緒に食べる。
この距離なら、範囲内だ。
『ギルド職員が、冒険者に似たようなことを伝えて回ってるのだ。何かの話のついで、みたいな感じだけど』
「優先して回してる情報ってわけじゃないのか。そういえば司書さんも一応伝える、みたいな言い方だったな」
『積極性が見えないから、上からうるさく伝えておけって言われて、じゃあ多少やっとくかー、くらいの感じなのだ』
つまり、面倒臭さが垣間見えてるってことか。
ということは、ギルドとしてはどうでもいい。でもこれを周知したがってる奴が再三命令してきた。多分こんなところだ。
十中八九ラージフールだろうな。
そういえば、前にギルドに何かを依頼したとか通達したとか、そんな話があった気がする。
でも何でこのタイミングに…
一番可能性が高いのは、ついさっき突き上げをくらったとか、そういう感じだろうな。
―――ギルドの建物さん、黒髪の子供についての話、どこから出たかわかる?
(さっき、通信の魔道具でギルド長宛てに偉そうな口調で命令してたから、通信機の向こうの奴が急かしたんだと思う)
―――相手が誰かわかる?
(ギルド長は王都からの通信って言ってた。誰かまではわからない。通信の魔道具に聞いて)
―――ギルド長、何て言われたんだ?
(前に命じた黒髪の子供の目撃情報はどうなってる、皆無なわけないだろ、って)
―――ギルド長、隠してるのか?
(ううん、本当に知らない。見たこともないって報告してる、これは本当。何でか向こうがそれを信じてない)
―――王都は、この町に黒髪の子供がいるって確信してるのか?
(ううん、どの町のギルド長にも同じこと言ってるだけみたい。ギルド長が言ってた。色んな町のギルド長とそう話してた)
―――そっか、ありがとう。ギルドとしては、黒髪の子供を見つけたいのか?
(どうでもいいみたい。もし見つけたら、その黒髪の子供に事情を聞いてから王都に伝えるか判断するって)
―――黒髪の子供が、王都で嫌な目に遭ったから逃げ出してるだけ、みたいな事情だったら?
(その時は保護して王都には報告しないんじゃないかな。そんな子見てませんって言い続けるだけだと思う。ギルド長ならそうする)
―――そうか、いいギルド長なんだな。教えてくれてありがとう。
(頭の光沢が気になってるみたいだけど、いいギルド長だよ。眩しくても顔に出さないでね)
―――さっきの話聞いてた?ごめんな。気を付けるよ。
…ゆっくり食べてたのもあるけど、会話が一段落したタイミングで串焼きを食べきった。
これで串を捨てて去ってしまえば、誰にも怪しまれないただの冒険者の子供だ。
「ここの串焼き、やっぱ美味しいよな」
「ヂュッ」
スーとそんなやりとりをして、その場を去った。
てかヂュンってそんな鳴き声なんだ?濁ってて可愛くないな?
まあ、これで怪しまれないだろ。現にこっちを気にしてる奴は皆無だった。
…これは、報告案件だ。アキ兄さんたちだけじゃなくて掲示板でも伝えないとヤバい。
むしろ、僕と同じような情報持ち帰ってくる子がいる可能性もある。
すぐに掲示板に「今から中央広場に集合」と投稿した。予定より少し早いけど、既に夕方近い。
むしろそろそろ集まるかーと考えてた頃かもしれない。
この中央広場はこの町で一番大きな広場でもあり、待ち合わせによく使われる場所だ。目印も多くて待ち合わせしやすい。
人の多い広場に踏み入れれば、既に全員が広場にいた。
バラバラの場所にいたので、空間把握やスーの千里眼で探してもらって合流する。
あ、アキ兄さんたちが目印の近くで止まった。目印である赤い柱を目指して移動する。
「あー来た来た。リオくん、スー、お疲れ」
「お疲れ。…揃ってないのはハルか」
「あっちの人混みにいるな。人の流れに流されてなかなか進めないようなのだよ」
「人多いからな」
「夕方だしね」
「…お待たせしましたー」
「お疲れ、ハル」
アキ兄さんとナズとベルさんは一緒にいたから、単独行動だった僕とハルが合流すれば全員揃う。
全員揃ったところで、カーくんを出す場所を探すために移動を始めた。
人の少ない場所を通り、良さそうな場所を見つけて即カーくんを出す。そして乗り込み、ハルが隠密をかける。これでいい。
何度もやってるから慣れてきた感がある。
「はー、ただいまー」
「ドリくん出したら晩飯作るかー」
「…ごめん、割と急ぎの報告がある」
「マジで?じゃあ先に聞こうか」
「あ、それで戻ってこいって言ってたの?よっしゃ、聞こか」
「…リオの情報って時点でちょっと怖いのだよ」
「失礼な」
でも、ある意味全員関係あるからな。ベルさんも子供じゃないけど黒髪だし。
冒険者ギルドで聞いた情報や司書さんから言われたことを全員に話した。
やっぱり、召喚者全員に共有すべき情報だという結論になった。だよなあ…
「冒険者ギルドのギルド長が最近ヤケ酒が多い、みたいなこと言ってる人多かったんですけど…ラージフールからの突き上げでストレス溜まってたんですかね」
「あー、酒で解消してた可能性あるな」
「酒の席で何か気になることは言ってなかったか?」
「さすがに、機密事項なのか、苛立ちの原因は零さなかったようです。周りもギルド長って立場を知ってるから詳しく聞いてないみたいですし」
「ああ、まあそうだよな…というか、よくそんな話知ってるな?」
「噂話で聞いたんですよ。重要じゃない情報しか集まらなかったと思ってましたが、意外と繋がる情報でしたかね?」
「は、ハルの情報収集能力が怖いのだよー!」
「頼りになるだろウチの妹?…しかし、よくリオくんにその話したよな、司書さん」
「ん?冒険者だから言っといた方がいいって思ったからじゃないの?」
「いや、だって、リオくんがその黒髪の子供だったら、とか思わなかったのかなって。少なくとも同年代とは思ってるっぽいじゃん」
「ああ、髪色で判断したんだろ。この世界、毛染めやカツラの概念ないから、見えてる髪の色が本当は違う、なんて考えがそもそもないんだと思う」
「あー、なるほどなー」
「そういや掲示板でもハゲ誤魔化すのに藁使う、みたいな話あったね。そっか、つまり高品質なウィッグとか無いんだ」
「そう、だから僕は帽子被ってるけど髪は普通に見えてるから、地毛は緑って判断したんだ」
「僕もナズにこの帽子もらうまで、髪色だけを誤魔化すなんて考えもしなかったのだよ」
認識阻害の魔道具はあるから、それで誤魔化すってのはあるみたいだけどな、この世界。
でも子供の冒険者がそんな高価なものを持ってるわけないって思って、司書さんはその可能性を排除したんだろう。
それか、魔道具を使ってたら察知できる何かがあるかもしれない。ギルドに設置されてる可能性だってある。
けど、それが作動してないから魔道具は使ってない、イコール僕の姿は見えてるままと思った、と。
デジタル対策は完璧でもアナログ対策がザル、みたいな感じかなあ。
「下手にフードとか被って隠すよりカツラ帽子の髪色さらしてた方が怪しまれない、ということですね」
「この件に関してはそうだと思う」
「…うぐぅ」
「それなら冷遇組のみんなは大丈夫やな!ちゃーんと髪の毛っぽい部分作ってるからな!」
「ぶかぶか帽子で誤魔化す、なんて方法取らなくて良かったな。今更だけど」
フード被って認識阻害のマントの効力をアテにしていた魔族が崩れ落ちてる。
まあ、ベルさんに限っては年齢って部分で弾かれるから。どう見ても子供には見えないから。
ひとまず、今わかってる情報を掲示板で周知しておこう。こっちには看破スキルを始め、情報収集に長けたスキル持ちがいる。
同じような情報を持ち帰った子がいるかもしれないし…
「…やっぱり、いたな」
「やはり同時に連絡が行ったんでしょうね。いきなり動いたってことは、かなり強い命令だったのかも」
「いや、ギルドへ回してる資金を減らすとかそういう方向に脅した可能性もあるぞ」
「あー、なるほど」
「まあリオの話を聞いてる限り、真剣に探すギルドは無さそうなのだよ。やってみました駄目でした、で通すと思う」
「…そうですね。あと、見た目が11~15歳ってざっくり過ぎませんか」
「でもドンピシャなんだよな。俺ら、この世界基準だと11~12歳とかに見えるらしいし」
「見た目年齢はどうしようもない。どうせカツラ帽子の髪色を見て、知らせのあった子供とは別って判断されるだろうから、意識し過ぎない方が良い」
「そうだな、下手にオドオドする方が怪しまれるか。…素知らぬフリ出来るかなー俺!?」
直接声をかけられたのは僕以外いなかったみたいだけど、ギルド職員が冒険者に話してるのを聞いた子はいた。
『地獄耳』スキル持ちの橋本くんだ。またお前か。便利なスキルだなおい。
この世界、幸いというか日本じゃありえないけど、風呂とか水浴びの習慣は根付いてない。
なので宿屋にそういう場所はない。綺麗にしたければ水を持ち込んで布で体を拭くとか、その程度らしい。
子供とかは池とか湖で水浴びしたりするそうだけど。
…風呂場で黒髪がバレる、という事態は起きそうにないので、その点だけは良かった。衛生概念的には良くないけど。
本当に全陣営に『洗浄』持ちがいて万々歳である。
いや、満足してないのか、追加機能でシャワー狙ってる子もいるようだけど。でも先にトイレが欲しいらしいので、シャワー室はいつになるやら。
「…あんまり長く町に留まらない方がいいかもな」
「元々、お金に余裕が出来たら次の町へ移動するとは言ってましたし…そろそろ移動する頃合いってことでいいんじゃないですか?」
「野宿ならバレる心配はまずないしねえ…てか、野宿の方が安全って危機感覚バグるわー」
他のみんなは僕たちと違って移動手段が限られてる。
なので、一気に長距離の移動は出来ない。とはいえ、完全に徒歩というわけでもないようだ。
特にペガサスのいるオーレン組は、荷台を用意すれば馬車移動が出来る。
木工スキルを取得した時はガッツポーズしたそうだ。そしてちまちまと荷台をこさえていたらしい。
ちなみにペガサスは荷台を牽くことについて、拒否感を持つどころか意外にもワクワクしてるそうだ。やったことがないから、らしい。
そうだな、馬とはいえオリジンにそんなことさせるような奴いないだろうしな。今はいるけど。
それ以外の陣営も、従魔に乗る形で距離を稼ぐ方法が使えるので、そこまで大変な旅にはならないだろうとのこと。
…僕たちみたいに事あるごとに採取とかしないから、余計なトラブル発生しないだろうしと言っていた。
反論できぬ。特にアキ兄さんが目を逸らしてた。
そうだな、最近はベルさんっていう行き倒れを拾ったからな。採取中に。
「…とりあえず、共有はしたし、今日はもう休むか。明日は冒険者活動だな」
「そうだな」
「うし、ご飯作ってくる!」
「お手伝いします」
「僕も皮むきくらいなら手伝えるよ。僕の報告のせいで遅くなったから罪滅ぼししたい」
「気にせんでいいのに。それはそれとして手伝いはありがたいからお願いするな!」
「あたしドレスが完成近いから作ろうと思ってんだけど」
「いいよ、行ってきな。完成したらまた見せてもらうから。楽しみにしてる!」
「僕も客室に籠って装飾を作るのだよ。そろそろ完成しそうだ」
「ベルさんも?いいよ、そっち優先して。でもご飯できたらちゃんと中断しろよー」
「ああ!」
そんな感じで解散になった。
ピーラー便利だな…文明の利器って偉大。
キッチンも広くなってるから三人並べるようになってるんだよな。手伝いしやすくて助かる。
まあ、僕は居住区のテーブルで皮むきしてるんだけどさ。そして剥いた皮はすぐラムが食べてくれるのも便利だ。
包丁ならもっと実がついてるのにピーラーだと薄い皮なので、そこはちょっと不満らしい。
その分、具が大きくなるからいいだろと言ったら一瞬で機嫌直してた。チョロい、このスライム。
そして夕飯も食べてまったりタイムになった時。
ついにと言うべきか。
「待たせて悪かったのだよ。オリジンシャドー様の入る装飾、やっと完成したのだよ!」
「わー!ベルさん凄い!」
「おめでとうございます!これでオリジンシャドーさんが呼べるんですね!」
そう、これでオリジンシャドーもとい、ダークをこちらに招ける。
もっとも分身体になるだろうけど、それでも充分である。




