154.イェガーVS…
オリジンタイガもといドゥンの眷属、ディーン・ティグム氏の話によると。
ハルには、ティムの印…所有印のようなものが付けられているらしい。
は?って思ったよね。
「その、マーキングと言えばいいのか…察知出来るのは虎の獣族だけですが」
「げ。それでシェリルとかもわかんなかったのか」
「そうですね、この子は自分が予約してる子だぞ、と同族に知らしめるもの、と言いますか」
「今すぐ消してください」
『我が主人に、斯様な…ッ!何たる屈辱…!』
「サン、落ち着いて」
「…では、オレのマナをぶつけて相殺しますので」
「はい」
ああ、マナによるものなのか。
状態異常でも物理的な匂いでもなかったんだな。
それなら鑑定で出なかったことも、毎日の風呂で落ちなかったことも納得がいく。
ラムはマナ関連のことに気づけなかった事実に打ちのめされてたけど。
でも『虎の獣族にしかわからない』ものなら、スライムのラムが気づけなくても仕方ないんじゃないか…?
なお、こういう能力があることは獣族にとって結構な秘密でもあるらしい。なので口外しないで欲しいと言われた。
ああ、それで僕たちに一旦部屋の外に出てほしいって言ったのか。
ここまで、真偽スキルにも引っかかってないので嘘じゃないんだろう。
ハルの前に開いた手のひらを向けて…少しして手を下ろした。これで終わりか?
「…何か一瞬、パンって音が…」
「相殺した音ですね。今のでティムが付けた印は砕けて消えました。もう察知されません」
「ありがとうございます。…察知される系だったんですか」
「ある程度近づけば、ですけどね。あいつは今ビスムズにいますので、わかりはしませんよ。印が消されたことも知りません」
「そうですか。安心しました」
「一方的に『この子は自分の』って知らしめるだけのものなので。虎の獣族にしかわからないし、主張としては弱いものなんです。オリジンスライム様に察知されない程に」
マナが微弱なこと、あとはマナと匂いの掛け合わせのようなものなんだとか。
同族の匂いには敏感なのが獣族という種族特性らしい。
それで、かろうじて同種にだけわかる程度の、微々たるもの。
マナに敏感なラムや匂いに敏感な狼種であるシェリルといえど、気づかなかったのも仕方ないというのがディーンさんの主張だ。
そういえばガレメナには虎種いなかったかもな。いや、いたとしてもスルーしてたんだろう。あ、唾付きだから近寄らんとこ、という感じで。教えてくれよ。怒。
「…それで虎種であるディーンさんは私がわかったと」
「ええ、誰かに印をつけられたんだな、と。で、話してるうちに、あれ、これティムが言ってた子では?と気づいたというか」
「はー、なるほどやで。ていうかさ、あいつ今ビスムズにいんの?」
「げっ、俺らの目的地じゃん」
「ええ、獣族領に帰る途中なので。あと、ハルさんが獣族領に向かってるというのを知ってたので、ここで待てばそのうち来るのでは、と」
「うわ待ち構えてんのかよ!」
「帰らせますよ。さすがに相手が召喚者様じゃ、ティムの味方は出来ません」
オリジンのスタンスとして、召喚者の進退に口出しすることは厳禁、というのがあるらしい。
あくまでやるのは手伝いのみ。元の世界に帰るか、この世界で過ごすか、どちらにするかはあくまで召喚者自身の希望に沿うこと。
…そうだな、ラムもスーも『どちらを選んでもいい』と明言していた。
この世界に残るなら嬉しいけど、帰ることを選ぶなら手伝うと、最初からそう言っていた。
僕たちはこのクラーフの人間じゃないから。
創造神でさえ僕たちの意思を止めることはない。手伝いはするけど。
それは同時に、召喚者へ進退を強制することを禁止しているという意味でもある。
自分たちが強制することはもちろん、誰かが強制することも。
「つまり、ティムって奴の要望は…」
「ハルさんを自分の妻とすること、ですね」
「絶っっっっっ対嫌です」
「もちろん、召喚者様とわかった以上これは絶対通りませんし通させません。この世界に強制的に残らせる、なんて絶対させませんよ」
『まあタイガならそう言うです』
「ええ、この世界の人であったなら同族のよしみでティムの味方をしてましたが…オレもドゥン様もティムを何としても諦めさせるということで意見一致しました」
「ドゥンさんが味方してくれるなら、もう大丈夫でしょうか?」
「…ティム個人は納得するかわかりませんが、イェガー家には話しますよ。聞き入れなければ…まあ、虎種として対応します」
まあ、イェガー家に話すのは当然か。
もしかしたら家族が止めてくれる可能性もあるし、こっちの主張も通しておくべきだろう。
ティム個人の問題に収まらなくなってしまってるから。
でも虎種としての対応って何だろう?無理に聞くのもアレかなあ…
『ハルくんが召喚者って伝えます?』
「…伝えたい、ですが、隠しておきたいなら無理は言えません。その場合は適当な理由を…」
「伝えてくれていいですよ。それで諦めてくれるなら」
「…わかりました。伝えます。ありがとうございます。それでわからないようなら、………」
「滅ぼすしかないのだよ」
「…っ!?」
口ごもったディーンさんの言葉をベルさんが繋いだ。
彼自身はオリジンの眷属ではないけど、それに近い存在でもある。
オリジン、そして召喚者。それがどういう存在であるかを知っているからこそ。
イェガー家はオリジンに近しい存在じゃない。だからこそ軽く見てしまう可能性もある。
フェンリルに怯えてはいたから畏怖する存在とは知ってるだろうけど、どの程度なのか。
ディーンさん曰く、ティムの母は息子にゲロ甘らしい。欲しいものは何でも与えてきたのだとか。
だからこそ、今回の「嫁にしたい」という要望も張り切って叶えるつもりで、関係ないティグム家にまで話を持ち込んだそうだ。
別の集落とはいえ、長の一族の要望だから同じ長として協力しろと。
もしかしたらウルム家が絡むかもしれないから、同格であるティグム家を味方につけたのだろう。
…それも、ハルが召喚者であるという一点で破綻したわけだが。
「…いち集落より、召喚者様の方が重要なのですよ。その優先順位を守れないなら…不要です」
「肉食獣の獣族の慣習なのだよ。意見が対立したら、武力をもって意見を通す」
「ええ、ですので、ここからは我々獣族で対処します。召喚者様はお気になさらず、道を進んでください」
「………はい」
「郷に入っては郷に従え、だ。任せよう、ハル。むしろ僕たちが介入しちゃ駄目なやつだ。ややこしくなるから」
「種族のルールってなら…そうかもな」
「は、話し合いで何とかなる可能性もあるし!」
「ええ、もちろんまずは話し合いです。召喚者様がどういう存在か、しっかり理解していれば引き下がりますよ」
ハルは自分が原因で争いが起こるかもしれない、という事実に狼狽えている。無理もないけど。
下手をすれば死傷者が出かねないからな…
でもこればかりは宗教とかと一緒で、わからない奴が下手に口出しするのは良くないはずだ。
そもそも、僕たちは別世界の人間なわけだし。無理やり連れて来られた被害者でもある。
これ以上この世界の都合に振り回されてやる義理もない。
それでなくても、こっちにその気がないのに未だに粘着してくるのは単純に気持ち悪い。
まあ、真正面から口説こうとしてたから粘着ってのも違うか?いやでもマーキングしてたから粘着か?前にも似たようなこと考えた気もするな。
何であれ、これ以上ハルが付き合ってやる義理はない。ハルの意見は既に伝えてるんだから。
ただ、話聞かない子供と、子供にゲロ甘な母親ってあたりがちょっと嫌な予感するなあ…
「いいからアテクシの坊ちゃんの言う事聞くザマス!」みたいなこと言いそう。
「…皆さん、いつまでゼイレムに滞在されます?」
「決めてませんね。少なくとも冒険者ギルドで一度は依頼を受けるつもりではありましたが」
「そうですか。出来れば数日は滞在して…いや、今すぐ発ったとしても貴方がたがビスムズに着くまでには解決しますね」
ああ、ビスムズにいるティムを獣族領に連れて行くからか。
連れ出す前に僕たちがビスムズに到着してしまうことを懸念したのかもしれない。
でもカーくんといえど、そんなにすぐビスムズには着かない。
転移陣で移動するであろうディーンさんの方が早くティムと接触出来るだろう。
「オレは二日後にこの町を発ってビスムズに向かう予定でしたので、予定通り行きます」
『何で二日後です?』
「転移陣の準備の関係です。マナの補充などですね。…一応これ機密なので漏らさないでいただけると」
『ああ、そういうことです?わかったです』
「あー、そりゃ転移陣なんてすぐホイホイ使えるようなもんじゃなさげだもんな。これは仕方ないか」
「そうですね、文句は言えません。味方してくれただけでありがたいですし」
「ぶっちゃけると獣族はマナ保有量が少ないから転移陣は気軽に使えないのだよ」
「あー」
「え、ええ、まあ、人間族の方がすぐ準備できますね。獣族は十日かかっても人間族だと五日から七日で準備できますし」
「魔族や精霊族なら一日で準備出来るのだよ。マナが豊富な種族だからな」
「ベルさんが手伝いに行けばディーンさん今日中に発てるってことですか?」
「えっ」
「僕一人じゃせいぜい明日とかなのだよ」
「…あの、まさか」
「あ、僕は魔族なのだよ。ベルギアレイズ・ディアロスだ。魔王の100番目の子だから別に大した立場でもないぞ」
「なるほどディアロス家!!!それならオリジン様について色々知ってても不思議じゃありませんね!」
あ、そっか。ディーンさんには、ベルさんが召喚者じゃないとは説明したけど、魔族とは言ってない。
ベルさんのことは人間族と思ってたんだな。
魔族というだけならまだしも魔王の子なんて思いもしなかっただろう。ごめんな。
ベルさん、マントのフードを取っ払って角を見せてた。ディーンさんはそれ見て納得したらしい。
人間族領で、魔族の特徴を晒したまま歩くのはよろしくないという事情も察してくれたんだろう。
「ということは、現在イェガー家はオリジンのドゥン様のみならず、スライム様、バード様、デーモン様、シャドー様の敵に回ったも同然だと…?」
「羅列するとやばいな」
『マーフォーク様も事情を知れば敵に回ろうぞ』
「…そういえばサンはマーフォーク様の眷属でしたね」
『やったですね、フィッシュも敵に回ったです。集落の近くに大きな水源があれば怒りに震えたフィッシュが転移してくる可能性あるです』
「絶望ですね!というかオリジンフィッシュ様の眷属までいましたか!」
「そっか、ディーンさんとサンて同格か。ウルム一家もだけど」
『うむ』
「ハルの従魔がマーフォーク様の眷属ってのもぶっちゃけちゃえば?」
「そうですね…ここまでヤバイ条件揃ってたらさすがに諦めると思います…」
「他の召喚者に同行してるオリジンも入れればヤバい数になりそう」
「あっ聞きたくないです」
そう考えれば、ドラゴンとアナンシとリッチロード、ユグドラシルにペガサスやホムンクルスもか。
何ならフェンリルもこっちの味方みたいなもんだ。
眷属のオルトロスとケルベロスもいるから、アヌビスも味方かな?ウロボロスは…どうだろう?
何より創造神が味方につくだろこれ。
指折り数を数えてたら、ディーンさんが僕の指が折られるごとに震えていた。
あ、うん、ごめんな?口に出さなくても数を知ってしまったようで、ディーンさんは真っ青になっていた。
…改めて考えると、知り合いのオリジン増えたな。最初はラムだけだったのに。
「あの、絶対、確実に、諦めさせますので。ドゥン様も全面的に協力すると言ってくださいましたし」
「あ、はい、よろしくお願いします。私、二度と会いたくないので…」
「お任せください」
しかし、使うつもりはなかったのに、こんなとこでウルム家の名前使っちゃったなあ…
ラムとスーから『気にするな』って言われたけど。どうやら創造神経由でフェンリルに話したらしい。
で、フェンリルとウルム一家から「存分に使え」とゴーサインが出たと。特にティムと直接話したシェリルが憤慨してたらしい。
事後承諾とはいえ、ちゃんと許可取ったし、いっか…?
それを伝えると、ディーンさん遠い目してた。
「…まあ、これで、ティグム家とウルム家が敵対したと堂々と言えますけど」
「名前だけでビビってくれるならそれでいいだろ。滅ぼされるよりマシだろうし」
「そうですね。何だか虎の威を借る狐みたいですけど…」
「…虎はオレたちですけど…?」
「あ、私たちの世界の言い回しです。他人の権力で威張り散らす、みたいな意味で。本人に大した力もないのに他人の力で大きな顔をする、という」
「あー、自分の後ろにはオリジンっていうとんでもない力があるんだぞって言い張ってるみたいなもんだしな」
「…召喚者様という時点で、ハルさんにも巨大な力があるようなものでは?」
「ええ…?でも私自身そこまで強くないですし」
『ラムたちの力、存分に使えばいいです』
『そうなのだ。ハルちゃんを守るためなら全力出すのだ』
「ラムたちがこれだし、威張り散らしちゃっていいんじゃないか?」
『当然我も全力を出そうぞ。主人のためであるからな』
「…サンだけで全部蹴散らせそう。怒れるシーサーペントとか怖すぎるだろ」
「あ、サーペントだったんですね…スネイクじゃなかったのか」
「ひとつの集落程度、一時間もかからず沈められるのだよ。サンは水魔術も達者だったしな」
「ひえ…」
そうなんだよな。サンもクソ強い魔物なんだよな。何か可愛いってイメージが強いけど。
レスネイク状態や小型化状態が可愛すぎるのが悪い。
ともあれ、ここで話し合いという名の脅しは終了した。うん、ラムの言う通り結界張っててよかった。結構やばい単語のオンパレードだった気もするし。
ちょっと顔色の悪いディーンさんと別れ、本日の宿もといカーくんを出せそうな場所を探す。
獣族が更に多いからなあ…でもハルの隠密スキルもレベル上がってるから、何とか良さそうな場所を見つけられた。
「はぁ、毎回こうしてカーくんを出していたのか。便利すぎるのだよ」
「隠密スキル様様だよなあ…認識阻害が強すぎる」
「経験値稼ぎにもいいですから気にしないでください」
何だかんだで話し合いがあったためかもう夕方近い。
元より冒険者ギルドに行っても今日は依頼を受けられなかっただろうから、行くのは明日でいいだろう。
とりあえず、ディーンさんのことはアイさんたちにも伝えておくか?目撃者だもんな。
ナズと手分けして七人用の掲示板の方に投稿しておいた。
鈴城姉弟ガチギレしてた…やり方が粘着質というかしつこい感じなので、向原を連想してしまったのかもしれない。
自然、この掲示板は閲覧できるので坂下さんたちも見たわけだけど。
その流れでみんなと一緒にいるオリジンにも話が伝わってしまった。全員憤慨してたらしい。
オリジンタイガが抑えられないようなら自分たちも行くか、なんて言ってたそうだ。怖い。
もちろん直接は向かえないので、眷属を動員してという形…ある意味そっちの方が怖くないか!?
まあ、現時点でハルが元の世界へ戻る方向に足を進めている以上、それを邪魔するのは許さないと、そういう意味だろう。
仮にハルがこっちの世界に残ったとしても、ティムと結婚する道は絶対選ばないだろうけど。
そうなると、獣族領の方へ行くのは悪手か?あ、いざとなればウルム一家の方に行く?それなら大丈夫か。
そんなことをしてたら、晩ご飯の時間になっていた。
「ご飯できたぞー!あれ、ベルさんは?」
「部屋に籠ってるよ。医務室もとい客室。オリジンシャドーのための装飾作ってるんだってさ。集中したいからって個室入った」
「ああ、あれか」
『ラムが呼んでくるです。ご飯は抜いちゃ駄目です』
「よろしくー」
どうやら装飾は簡単に出来るものじゃないらしい。
というか、魔晶石は癖のあるものなので加工に時間がかかるそうだ。
なまじどんな形にでも出来てしまうから、自由度高すぎて上級者向けの鉱石なのだという。
タークくんも永塚さんも今の自分じゃ扱えそうにないと、スキルレベル上げる方を優先しているそうだ。
というか一回使って見事に失敗したのだとか。ゴミになったのでスライムの餌になったらしい。スライム大喜び。
残りの魔晶石はレベル上がるまでしまいこまれることが決定したんだな…
まあベルさん、細工スキルのレベル27だったもんな。一桁や10程度のレベルじゃ難しいんだろう。
「一度そのシルバーという異世界人に会ってみたいのだよ。闇属性に適性があればいいけど…なければ加工を考えないと」
「あいつの使える魔法は火魔法と空間魔法だったからなあ…」
「空間魔法はいいな!オリジンシャドー様と類似点あるのだよ。あの方、高レベルの空間魔法を持ってるから」
『シルバーくん、魔法の適正高かったです。多分闇魔法も適正あるです』
「おお、そうか!であれば問題ないのだよ!」
装飾の進捗を聞いたらこう返ってきた。
うーん、シルバーがいつこっちに来られるかは、まだわからないんだよな。
多分、日数の意味ではもう問題ない。ただ、あっちの目的はヒャッハー組を連れ帰ることだ。
こっちでヒャッハー組の所在をまだ掴めてないから、呼んだとしても無駄足になってしまう。
来るのに準備が必要になるからこそ、来る時はきちんと目的を達成させてやりたい。
こういう時に限ってヒャッハー組とエンカウントしないという。いや、する方がおかしいんだけどさ。
一旦、ご飯はいつも通りに戻って今日は丼だった。美味しい。
でもたまにケーキとか手間のかかるものも作るそうだ。
似たようなものばかり作るより、色々作る方が経験値多く得られる気がするそうなので。
こっちとしては美味しいのはわかりきってるので何でも大歓迎である。
「いつも通り、美味しかったね…」
「…これが、当たり前なのか…とんでもないのだよ…」
「慣れてくださいね。私はこの後、温室で栽培と付与魔法の経験値稼ぎします。ベルさんのおかげで作業小屋が快適になったので嬉しいですね」
「あたしはドレス作るから被服スキルの経験値稼ぎかなー」
「俺も栽培して、その後料理するよ。作り置きはいくらあってもいいからな」
「僕、MP余ってるから空間転移の練習するよ。目の前に転移する簡易版。邪魔になんないように自室でやる」
「ああ、そういやそれあんまり練習出来てなかったんだっけ。じゃあ『交換』用の薬箱だけアイテムボックスから出しといて。交換の受け渡しは俺がやっとくよ」
「わかった。ありがとー」
「僕は引き続き、部屋で魔晶石の加工をしているのだよ。出来るだけ早くオリジンシャドー様と連携したいからな」
「そればかりはお任せですからね。お願いします」
「ああ!」
「じゃあ明日は冒険者ギルドで依頼を受けましょうね。ギルドカード失効しないように期限稼いでおきましょう」
「採取だろう?僕も一緒に行くのだよ」
「せやな!オッケー、じゃあ解散!」
それぞれ自室が出来たので、就寝時間は個人の自由になった。
いつもなら寝る場所はここにしようって話し合いがあるから、それが無くなった形だ。
夜更かし問題が起きるんじゃないかと思ったけど、ここはそれぞれの従魔が管理している。
もう寝る時間だからと、主を自室に引っ張っていくのである。半ば実力行使で。
うん、首元の布掴まれて引きずって行かれたからな、僕。
あとラテの糸でぐるぐる巻きにされて連行されてるナズも見たことがある。
同じように鞭術で伸ばしたっぽい触手みたいなのに引きずられるアキ兄さんも見た。
従魔が優秀すぎて…
なおハルは夜更かししたら身長が伸びないかもしれないと思ってるらしく、自主的に寝る。偉いね。
向こうの世界にいた時は度々勉強で夜更かししていたので、必要ない今はきっちり規則正しい生活をしているようだ。
そんな感じで、ゼイレム一日目は終了した。
虎の件については、進捗連絡をドゥンと創造神が知らせてくれるらしい。
…いいのか、それ?オリジンと創造神パシらせてるんだけど。
ディーンさんは20代半ばくらいで、5歳の子と生まれて間もない子がいる。
赤ん坊の方はまだみゃーみゃー鳴いてるほぼ猫。
愛でたい時期にイェガーの無茶振りが来て若干キレ気味だった。
ので、さっさと終わらせて帰ろうと思ってたけど複数のオリジンと召喚者が出てくる案件だったのでそれどころじゃなくなった。可哀想。
鬱憤は多分イェガー家に向けられる。合掌。




