二十四時間の飢えと、巡り出す血
少し性的描写があります。
苦手な方は読み飛ばして大丈夫です。
「……ん、
若旦那、様……っ、もう、息が……」
重ねられた唇から容赦なく注ぎ込まれる熱に、
唯衣の細い指先がレオの羽織をきつく、
きつく毟るように掴んだ。
十回という約束など、
とうに吹き飛んでいた。
一度触れ合ってしまったら最後、
二十四時間飢え続けていた
衝動は誰にも止められない。
レオは唯衣の顎を長い指先で
強引に上向かせると、
逃げる隙間も与えないほど深く、
何度も、
何度も角度を変えて、
唯衣の甘い呼吸をすべて
貪り尽くすような濃厚な口吸いを重ねていく。
「だめだ、離さない……」
「昨日、どれだけ俺がお前を欲して
狂いそうになっていたか、
その身体にすべて教えてやる」
いつもは冷徹なはずの低い声が、
今は恐ろしいほどに掠れ、
甘い熱を帯びて唯衣の耳元を震わせる。
レオの大きな手が、
唯衣の着物の背中から、
細い腰のラインへと強引に滑り降りた。
肌には、
直接指先ひとつ触れてはいない。
重なり合う上質な絹の着物と、
その下の湯上がり衣。
きっちりと衣服を纏っているはずなのに、
布地越しに伝わる
レオの手の圧倒的な質量と体温が、
唯衣の身体を芯からドロドロに溶かしていく。
「あ、……っ、若旦那、さま……っ」
直接触れられていないからこそ、
かえって衣服の擦れる音が、
部屋の静寂の中に艶っぽく響き渡る。
レオの逞しい膝の上に完全に組み敷かれ、
上から白銀の髪の影に包み込まれる唯衣は、
まるで全身を裸にされて
愛されているような、
凄まじい快感とパニックに涙をこぼした。
衣服を脱ぐことは、
吉原の鉄の掟が許さない。
一線を越えれば、
この愛しい箱庭は一瞬で崩壊する。
頭ではそれを分かっていながら、
レオの「お前を誰にも渡さない」
という狂おしいほどの支配欲に、
唯衣の理性は完全に
ノックアウトされていた。
「唯衣」
「お前の身も心も……
髪一筋にいたるまで……
すべて俺のものだ……」
「黒崎だろうが吉原の法律だろうが、
俺からお前を奪うことは絶対にさせない」
レオは耳の付け根まで真っ赤に染め、
理性を引き裂かれそうな瞳で
唯衣を見つめながら、
衣服の上から彼女の太ももを、
逃がさないようにぎゅっと強く抱きすくめた。
直接肌を重ねることはできなくとも、
重なり合う衣服と、
途切れることのない熱い口吸いの痕が、
二人の境界線を完全に無くしていく。
初夏の明るい太陽の下、
誰の目にも触れない『蒼狼の間』で、
二人の純愛は、
境界線を甘く踏み越えるほどの、
狂おしく濃密な支配の渦へと
溶けていくのだった。
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