24:国境の町 中編
私は迷っている。
町を彷徨っていたのだが、サザンカ達の姿を見つけることはできないでいた。
周りは人だらけで、自分がどこにいるのか全く分からない。
今は大通りから外れた路地にいる。喧騒もここなら多少は静かになった。
壁に寄りかかると、今までの疲れが出たのか座り込んでしまった。
このまま誰にも見つけてもらえないのではないか、と一瞬不安がよぎる。
そもそも、何で私はこんな旅に出てしまったのだろう。
要因は分かっている。学校の五年生、つまり今から三年ほど前のあの事件だ。多分、季節は秋だっただろう。
ランやサクラ達と下校をしていると、正面で誰かが襲われているのが見えた。
襲われているのは同じ学校の生徒。物取りに必死に抵抗をしている。
見て見ぬ振りはサザンカが許さないだろうから、私は近くに寄っていった。
生徒は私に気付き、その様子に不審なものを感じた物取りも私を見た。
その一瞬の隙を付いて、私は術を使って物取りを地面に押さえつけた。生徒に逃げるよう促すと、彼女は走り去っていった。
「こっの、魔法使いめが」
私の視線が物取りに据えられる。
「お前、怪物、異形だ。有り得ない。嘘だ。お前なんか、いる筈が」
私は知らず知らずのうちに術に力を込めていた。後で聞いた話だが、私は五月蝿いとずっと叫んでいたようだった。
「うぐっ。魔法、使い、なんか、いては、いけない、だ。災い、元凶」
物取りの体の半分以上が土に埋もれていたらしい。この時にサザンカは止めに入ったようだが、私は覚えていない。
「裁き、が、下る、ぞ。いつか、ま、じょ、は、死、を、見、よ」
そこで物取りは事切れた。しかし、私は術を使い続けていた。
それから気付いた時には、学校の中にいた。私の周りには、サザンカとサクラ達、それに校長先生や五学年の先生、警察の制服を着た人も何人かいた。
「あの、私、何を」
したのですか、と聞こうとしたのだと思う。今となっては曖昧なのだが。
そこで、私は泣き出した。泣いて、泣いて、泣いたそうだ。
後でサザンカから聞いた話によると、私は正当防衛という事で刑罰を免れたようだった。それと、私の術に関しては、警察には知られていない。
当事者である私がこの事を余り覚えていない。サザンカに言わせれば、よくある事、なのだそうだが、私はそれでは納得が出来なかった。
何か大切な事を忘れてしまったような。何か大切な物を失ってしまったような。そんな空虚感がずっと残っていた。
それを埋めようとした事もあった。サザンカから、サクラから、話を聞いた。だけど途中で拒絶した。否、否定した。そんな事は起こっていない、と。
もちろん、それは無駄な苦労だ。実際に起こってしまっていたのだから。
でも、どこかで否定をしたがっている自分がいた。




