Girl’s Return
学校に到着し、授業が始まるや否や私は説明書を読み始めた。
白い紙は黒い文字でびっしりと埋まっており、イラストなども少ないことから不親切とも言っていい。
読むだけで眠くなってくるような、もはや苦行と言える説明書。
実際何度かウトウトしてしまい、ウトウトするたびに数ページ戻るを繰り返す。
最期の授業である6限が終わるまでに何とか読み終わった。
しかし正直難しい言葉が多すぎて何が書いてあったのか半分くらいしか分からなかったので、ひとまずノートの端っこに今の情報をまとめてみる。
・この装備は、身体能力の上昇を目的としたものである。
・後のアップデート時に、環境データや身体データを本体にフィードバックするので、日常的に装備してデータの収集に当たること。
だいたいこの二つを順守していればいいということか…
授業終了の鐘が鳴ると同時に筆記用具をしまい、教室を後にする。
手袋やブローチをつけて学校内をうろうろするのはなかなかにしんどい。
まぁ遅くまで居残って駄弁る友達がいないというのもあるが…
校門を出た後、手袋をはめブローチをつける。
いつもなら陵魔をまったりするのだが、今はいないし、このまま家に直行してもいいが、どうせならデータ集めがてらどこか寄り道しよう。
そうだ!
スーパーでいろいろ食材買って、りこに披露しよう。
などと考え一歩踏み出そうとした、その時。
「ちょっといいかな?」
突然後ろから話しかけられて振り向くとそこには、金髪シニヨンの高身長な……
彼の顔を凝視して気付く。
髪型が変わり、服装もジーパンに白シャツという服装。
完璧に世界に溶け込んで気づかなかったが、彼は倉庫にいた金髪騎士服の男だ。
「歩きながら話そうよ」
あまりにも有り得ない提案に私が、怒号で返答しようとすると彼は、
「騒がないほうがいいよ…周辺の通行人の首が端から落ちるところ見たくないでしょ?」
口調は冗談に聞こえなくもないが、彼の目は紛れもない殺意がこもっていた。
仕方がなく二人で並んで歩き出す。
「今日は、陵魔はいないの?」
そんな彼の質問に対し私は一部を強調して答える。
「"今日は"いないよ」
なぜこんな喋り方をしたのか?これは彼が異世界へ修行しに行ったことを匂わせないため
、そのつもりだったのだが…
「ふーん。どこかで修行でもしてるのかな?」
あまりに的確な指摘に思わず足を止めてしまう。
「何で、陵魔を狙うの?
あなたが倉庫で言ってた《必ず手に入れる》の対象は陵魔でしょ?」
すると彼も足を止めて空を見上げる。
「理由か…
君が一番よくわかってると思うけど?」
私が…?
私と同じ理由で陵魔と固執しているということ?
つまり有りし日の陵魔の強さを求めている…
過去?
そこで私は一つの可能性に気づきそれを口にする。
「あなた…は創られた存在ではない。
異世界からではなく、もともとこの世界の人間でしょ」
恐らく秘密を当てられたであろう彼は、別段焦る様子もなく
「ふーん意外と頭が切れるんだね。
まぁどーでもいいことだけどね」
チャリッ
謎の金属音がしたので彼の方に向くと、どこからともなく現れた剣を握っている。
気づくと周りにほとんど通行人はいなくなっていた。
「君はここで殺す。彼の歩む道に、お前の存在はいらない」
すると彼は剣を勢いよく振り抜いた。




