Girl’s Equipment
一度プロトタイプの機械をリコに返した後、私は自宅に戻り就寝した。
正直隣である陵魔の家から響く工事のような音と、謎の発光に何度目を覚ましたかはわからない。
朝がきた…ということは学校に行かなければならない。
正直睡眠不足で体も重いし、このままベッドに戻りたいが、2日連続でズル休みできるほど私の肝は座ってない。
いつもの制服に着替えると、やはり自らの本分は学生だということを改めて認識させられる。
気持ちを引き締め、自らの所属を理解させるためのシステムとして制服は非常に良い。
そのまま鞄を持ち学校へ出かけようと思うが、その前に一応リコたちの様子を見ておこう。
私が合鍵を使って、陵魔の家のドアを開けようとした時、同時にドアが開く。
そして出てきたのは当然クオンだ。
見たところ彼も制服を着ているのでちょうど登校するところだったのだろう。
「これから学校行くんでしょ。一緒に行こうよ」
んー別に構わないけど…
「その前にリコの様子確認してきていい?」
彼は無言でうなずき、それを確認した私はリコがいる龍馬の部屋まで向かう。
部屋のドアを開けようとしたが、中から異様な焦げたような匂いが漂ってくるので少し躊躇する。
意を決してドアを開けると、すでに元の部屋の面影は少しも残っていなかった。
デスクは、パソコンに無理やり接続された大量コードが載っており、それは床置きしたあるHDDなどにつないである。
そのほかにも機械のパーツのようなものが床に散乱している。
しかし何より気になるのは部屋の真ん中だけ、何も置いてないスペースがあることだ。
そしてそのエリアは、座布団を置いたように正方形のスペースで、その20センチ上くらいに何やら浮遊しているものがある。
私が気になっているのを察したのかリコは、作業の手を止め、説明を始めた。
「あの装置で必要な装備を作るの。
8個の端末で立方体に区切られた範囲は、特殊な磁場が発生するようになっているわ」
そうゆわれよく見てみると、正方形のスペースの各頂点とその真上には、何やらテトラポッド状の機械が置かれている。
「そしてあの立方体の範囲の中心に浮いてる装置。
あれから金属や合成樹脂などを出して立体成形していくの」
なるほど…あれは大型の3dプリンターみたいなものなのか。
普通の3Dプリンターなら装置内に収まるサイズのものしか作れない。
しかし立方体の範囲を自由に調節できるなら、大きなものを作ったりすることも可能だ。
「でも金属とか樹脂とかの素材はどうしたの?」
彼女は呆れたように、
「前にも説明したでしょ、例の金属を使ったの。
つまるところ、素材はこの家にあるものだわ」
なるほど………
するとリコは、スーツケースのようなものを取り出し開けて、中身を見せてきた。
ケースの中には、前回つけたコルセットの形をした機械に似た物の他に、手袋のようなもの、チェストプレートのようなもの、円筒状のもの、そしてブローチのようなものが入っていた。
「これが昨日あなたが持ち帰ってきた情報で作った、装備。
ちょっと来てみて欲しいわ」
リコの要望に答えて一つずつ装着していく。
コルセットを腰につけ、手袋をはめる。
ブローチは、裏側に湿布のような粘着質の物質がついているので、両側の鎖骨の間に直接つける。
円筒状のものをどう使うのか困惑していると、りこが太腿を挟むように使うことをジェスチャーで教えてくれた。
なかなかチェストプレートをつけようとしない私にリコは
「どうしたの早く装備してよ」
………
「いや…これは設計ミスじゃない?」
作られたチェストプレートは、私の体に沿って作られていない。
正確に言えば反りがないので、装備しようと思っても間違いなく胸が邪魔して装備できない。
リコも、私の胸を数秒間凝視した後、
「確かに…まぁこれは作り直しておくわ」
と言い放った。
「これ説明書だから読んどいて」
渡された冊子は分厚くさらにめくってみると、立ちくらみがするほどぎっしり文字が詰まっている。
私は、その説明書をバックに入れて部屋を出ると、玄関でクオンと合流し、学校へ向かった。




