Girls Training
「わかってると思うけど、貴方に外科手術を施せるほど私は医療には精通していないの。
連動性が規定値より落ちる分は、貴方の技術で補うことになるわ」
「それはつまり……どういうこと?」
「あなたが、泥にまみれるしかない…」
そういうと彼女は、銀色に光るコルセットのような形の機械を渡してきた。
その機械の表面には沢山の配線が乱雑に張り巡らされている。
「この機械を腰につければ、少なくとも身体能力が1~2割上昇するわ。
けどこの装置は、この惑星の重力や貴方の筋肉、平衡感覚とか、ほとんど何も考慮してないの。
まぁ貴方の背骨が砕けない程度には調整したあるけど、素材も一からじゃなく在り合わせで作ったからいつ壊れてもおかしくないわ」
そういいリコは、部屋に置かれている残骸を指差す。
それらは、かつて掃除機やゲーム機扇風機諸々、陵魔の部屋にあった家電だ…
正直陵魔が帰ってきたときのリアクションを想像すると頭が痛い。
私は、それをひとまず受け取り尋ねる。
「じゃあ私は、これの練習してくるけど…
リコは?」
すると彼女は《Noah》を指差しながら
「私は、これを少し調べてみるわ」
と言ってパソコンに向き直る。
ひとまず部屋を出た私は、どこでこれの練習をしようか考える。
私の足は自ずとある場所に向かっていた。
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私はある河原に立っていた。
この場所この時間は、かつて……
いやかつて、というには最近すぎるが、先日陵魔が《Noah》の練習をしていた場所だ。
あの時はただ見てるだけだったが、今回は私が戦う番である。
例の機械を試しにつけてみる。
腰を覆うように装着し、前でとめて固定するようだ。
実際に効果を試してみようと、半径七十センチくらいありそうな石を持ち上げよう。
初めは片手で持ち上げられるかもと、思ったが当然無理だったので両手で持ち上げてみる。
すると今度は機械の効果をしっかりと感じられた。
腰の筋肉は体を支えるために重要らしいし、その他にもさまざまな効果があるのだろう。
飛んだり跳ねたりしてみたがそこまで機械の恩恵は感じられなかった。
しばらく動き続けていたせいで喉が渇いたので、近くの自販機で水を買うとしたその時、私は不注意で500円玉硬貨を落としてしまう。
それを拾おうとするがうまく調節できず、拾い上げようとしても何度も上に飛ばしてしまう。
繰り返すこと十数回目やっとうまく拾うことができた。
家に帰り外してみると、腰回りに機械と同じ痕がくっきりついている。
その跡はかなり濃い。
ある種のケガとも取れるこの状況を見つめ私はふとクオンの言葉を思い出していた。
[防御や回復は一定期間出来なくなる]
つまりこれからの戦いは、怪我が死に直結しかねない…
本当の意味での命をかけた戦いとなる、その意味を私はかみしめた。




