Girls’ Plan
「強くなりたい…」
私は陵魔の部屋の扉を開けながらそうリコに訴えた。
デスクチェアに座ったまま、彼女は椅子の回転を利用してこちらに向いた。
その表情は至って冷く、彼女が何を考えているのかは全くわからない。
彼女は私の目を見つめ
「強くなりたい…か……
わざわざクオンじゃなくて私に言ってくるって事は、なんらかの事情があるって推測できる。
私は、あなたをそのくらいの思慮分別がある人間だと認識してるもの。
でもね。私じゃあ期待に添えないと思うわ」
と答えた。
予想外の答えに私は動揺する。
「どうして?
《カインド》で国を管理していたってことは、軍隊を退けるほどの兵器はなくとも、何か暴徒鎮圧用の装備があったんじゃいの?」
リコは呆れた顔で、
「そこまで言って気づかないの?
暴徒鎮圧程度の武器でどうやって、異世界を渡るほどの敵を倒すのよ」
するとリコは自らの首に付いている赤いチョーカーを指差す。
「これは私の心拍数や呼吸、血中の成分を調べてる」
そして次は耳に付いたイヤホンのような装置を触り
「これは、外界との通信手段や情報を調べるための使う。
貴方達の言葉で言えば、インターネットに繋いで、使う装置」
「そして私の背中のついてるこの穴は、特殊な装置をつけて脊椎に流れる電気信号を捉えるためのもの」
今のところリコの話の中で戦闘に使えそうな、装置は一個も出てきていない。
すると彼女は、見たこともない配線が沢山接続されたパソコンの画面を私の方に向ける。
そこには、3Dの人体の模型が映っており、その腕や胸、腰、太腿に機械っぽい装置がついてるように見つけられる。
「私の体に付いている装置は、これらの装備を装着した時に、連動性を高めるために造られた物。
そしてこれらの装備は、人間の運動性能を飛躍的に上昇させるだけのもの。
武器ではないの」
なるほどつまり彼女達の装備は、私たちの世界でいうパワードスーツみたいな物で、重いものを持てたり、転倒の衝撃から身を守ってくれたりする、老人用の介護道具に近いと…
そこまで聞いて更なる疑問を持った私はさらに、質問を投げかける。
「でもそれだけじゃないでしょ?」
そう、それだけじゃないはずだ。いくらリコでもそれだけで犯罪者などを捕まえていたとは考えにくい。
考え込む私に、リコは親指と人差し指を立てこちらに向けてくる。
この指の形が意味するのは色々あるだろうが、真っ先に私の頭によぎったのは……
「銃。 私たちは殺傷能力の低い銃を使っていた。
それで敵は殺せないでしょ?」
確かに……スタンバレットじゃ敵は…
私は俯き下を見る。
すると、私の手の中には《Noah》が握られていた。
私はそれを持ち上げ、リコに見せる。
「これだよ。この銃を分析して作り直して欲しい」
リコはそのまま私から、《Noah》を受け取ると光に透かしたりしていろいろな方向から見たりしている。
しばらくしたのち、リコは《Noah》を机に置く。
「いいよ。これを元に新しい銃を作ろう。
私も強くなりたいから…」
そんな彼女の顔には、私より強い覚悟が滲んでいた。




