Girl’s Awaken
クオンは、ドアを開けるやいなや全てを悟ったような表情で、私に手を差し出す。
私は、その手を取り立ち上がるとクオンに説明を求めた。
「一体あの男は、誰なの?」
私の率直な質問に、クオンは靴を脱ぎながら答える。
「ショッピングモールであった白騎士、倉庫に住う白龍、そして流麗なる細剣使い。
彼は、それらの王…いや創造主といった方が正確かな?」
「つまり、白騎士たちを作ったのは、彼ってこと?」
対してクオンは、
「そう。この世界の言葉でゆうならラスボスってやつだ」
と、やたらにしたり顔だ。
「ならなんで、すでに私たちの住居がバレてるの?」
普通に考えれば、敵に住居がバレているのは既に詰んでいるように思える。
そもそも原因はなんなのか…
………私達がカフェに行ったから?
でもそれならなぜ彼がカフェで店員なんてやっていたのか、という疑問にぶつかる。
いやでもひとまず…
「この話は、陵魔が帰ってきてからにしようよ。
私が聞いたって何ができるわけでもないし」
自分で言っててなんとも情けない言葉だと思うが、事実だ。私が無力なことは。
「いやその必要はない。陵魔が向かったのはすでに俺が救った世界。
ならもちろんその異世界の住民も、敵がなんであるか、について知っている。
彼が強くなろうともがくなら、必ずその疑問に行き着き、真実を知るだろう」
私が何かを答える前にクオンはさらに言葉を重ねる。
「なぁ… 君はどうする?
君が陵魔を愛してるなら、君はそれをどう表現する?
陵魔が帰ってくるまでに君はその答えを出さないといけないんじゃないか?
誰かに恋焦がれても、憧れても、それが執着として終着する前に、選ばなきゃいけない」
「——っ」
私は強く下唇を噛み締め、目を瞑る。
何も知らないくせに!と叫んでもなんの意味もないだろう。
何千年と過ごしてきたクオンは、容易に私の悩みなど理解できているということだろう。
クオンは、最後に一言
「夜には、何も起きない。安心していい。
逆に言えば、起きてくれない。自分で選ぶしかないよ」
彼の声が遠かった後目を開けると、そこには血が黒くこびりついた《Noah》が置かれていた。
私はどうありたいのか…
一緒にいたいのか、支えてあげたいのか、愛されたいのか、愛して欲しいのか、尽くしたいのか、尽くされたいのか………
それとも自分が何かしてるって見せつけて《許されたい》だけ?
遠い昔の愛の目覚め。
決まった形、決めた形、固定した《愛》で彼を、私を、満たせる?
あぁ…今ならわかる。過去の陵魔に惹かれた意味が。
私も欲しかったんだ。未来を選べる強さ、《個》としてあり続ける強さ、
私にはないから、その強さを彼に求め続けた。異世界の英雄と契約してまで…
私は、無言で《Noah》を掴むと彼女がいる陵魔の部屋へ向かった。
私は、私で。
強くなるしかない…




