Girl’s Explain 2
加速度的に難しくなっていく話を私は半分も理解できていない。
しかし彼女は話を続ける。
「最初のうちは、順調だったわ。けど何十年と経つうちに、外国諸国も気付き出したの。
自分たちの国でも真似すれば良いって。」
確かに、外国諸国の判断は正しいと私にも薄ら理解できていた。
なぜならそんな特殊な環境下で育った子供を運用するには相当な苦労を強いられるからた。
「でも外国諸国は、真似できなかった。その理由は二つあるの。
一つ目は、《カインド》の潤沢な資金源となっている特殊な金属が世界のどこにも存在しなかったこと。
二つ目は、行政や環境情報などを全て一括して管理し調整できる人工知能を作れなかったこと。」
ただ呆然と話を聞いていた私に、少女は問を投げてきた。
「もしあなたが外国諸国の立場だったらどうする?」
私が外国の立場だったらどうだろうか?
数秒間考えた後、たどり着いた答えを口にする。
「その金属を盗んじゃうよ。私だったら」
「そう。外国は、《カインド》から金属を奪取して、数年後に衰退した後、援助を目的に技術公開をせまるという指針を立てたの。
そして複数の国家が協力して作った武装組織でテロ攻撃を仕掛けてきたのよ」
彼女は少し俯きながら話を続けた。
「もともと《カインド》の前にあった国が永久武力放棄を宣言してたこともあり、武装の類はほとんどなかったの。
理論上の兵器を開発しても実験できる土地がない。
それにカインド内では、内乱を避けるため居住区エリアには、刃物類すら置いてない。
だから私たち管理する側の人間も持っている武装は、せいぜい内乱を鎮圧できる程度、最初のうちは抵抗できていても徐々に追い詰められたの。
だからトップの私は、秘密裏に開発していた転移装置に金属を持って乗り込んだ。
私たちの国を救えるほどの力を持った存在…つまり英雄に助けを求めるためにね」
なるほどクオンを連れ帰れば、どうにかできるかもしれない。
いやそれ以前に、この世界の兵器の技術を持ち帰るだけでもどうにかなるかもしれない。
話し終えた彼女は少し悲しそうな顔で、床を見つめている。
—–——–——–——–——–——–——–——–
—–——–——–——–カチッ
私たちの3人の静寂を破ったのは、電子ケトルの音だった。
私は3人分の紅茶を入れる。
彼女は初めて紅茶を見るようで、なかなか口にしようとしない。
私やクオンが紅茶を飲むのを確認してから、彼女は恐る恐るティーカップに口を近づける。
紅茶を一口嚥下すると、彼女は頬に涙を伝わせながら、
「外国の飲み物悪くないなぁ…」
と消え入りそうな声で呟いた。




