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Girl’s Explain

 扉を開けたのは案の定クオンだった。


「お前も英雄を求めてるのか?」


 というクオンの発言に銀髪の少女は、少し驚きながらも冷静に状況を整理するため話し合いをしたいと申し出た。


 ————————————————————

 リビングで3人、コの字ソファーに座って話し合いをするこの状況は、先日クオンがこの家にきた時と同じ。


 前回は愛しい人が座っていた席に銀髪の少女が座っていること少しばかりの寂しさをおぼえる。


 まず口を開いたのは銀髪の少女だ。


「まず聞きたいんだけど。2人とも異世界転移を認識しているってことでいいんだよね?」


 クオンと私は同時に返事をする。


「うん」 「あぁ」


 その言葉を確認した後、少女は話を続けた。


「さっきも話した通り、私は……いや私たちの世界は助けを求めてるの。まずはその理由から話したい」


 彼女の深刻な面持ちと雰囲気は、誰かが口を挟めないほどだった。


「私がいた世界……いや私がいたカインドは、子供しかいない国。正確には、二十二歳までの人間しか定住が認められていない国なの」


 子供しかいない?一体どういこと?


「《カインド》の危機を説明するためには、私が転移した時代よりも少し遡る必要があるわ。私達の国ができる前その土地は別の国家のものだったの。

 その国は四方を海に囲まれた島国でね、国土もそれほど広くないから資源には乏しかったんだけど、独自に発達した文化や風習と世界を牽引するほどの最先端技術を持っていたの」


 何処かで聞いたことがある、その理由はすぐ分かった。


 あまりにも酷似している。私達が住む日本に…


「しかし時が経ち、経済成長も止まり、福利厚生が充実すると、その国はある問題に直面することになったわ。」


 先ほど出てきた[子ども]というワードと、この地球の先進国が直面している問題…

 つまるところ…


「…少子高齢化…」


 私は意図せずその言葉を口にしていた。


 その様子を見ながら銀髪の少女は少し微笑見ながら話を続けた。


「そう少子高齢化。その国では出生率が年々低下の一途を辿り、後一歩でもう後戻りできない数値になるところだったわ。」


 まるで日本の未来を聞かされているような切迫感に、思わず息を飲む。


「しかしその国で未知の物質が見つかった。その物質は、特定の条件下で電流を流すと特殊な放射線を出し周りの分子構造を組み替えるというものだったの。

 勿論その性質だけで資源に乏しいその国は歓喜したけど、詳しく調べるとそれはとんでもないものであることがわかったわ」


「その物質で一次エネルギーの材料となる化石燃料を生み出そうとした時、その生成にかかるエネルギーは、化石燃料を燃やして得られるエネルギーより遥かに少ないものだったの。

 それは今までの物理法則を覆す発見だった」


 その物質がエネルギー保存の法則を無視していることは、物理学に詳しくない私でも分かった。


 エネルギーを違う形に変換する時必ずロスは出る。だからこそ熱効率という言葉がある。


 なのに僅かばかりの電力でどんな物質でも化石燃料に変えてしまう物質という存在。


 そんな金属が異世界に存在するのか…


 金属…


 金属…


 あれか!彼女が握ってた金属って多分それだ……


 まぁ後で返そう。


「その物質により、経済を立て直したその国は、出産や子育てのために費用を使い出したの。給付金や手当金として配りまくってね。


 それの政策より出生率は爆増し数年後人口は全盛期の頃に戻りつつあったの。


 しかし愚かな政治家が、そこでもう一度高齢者向けの手当てを重視してしまったのよ。


 まぁ人口が増えたと言っても選挙権を持つそうで一番多かったのは、四十歳以上の人たちだったからね…」


 まぁ確かに、票を多く得るには、選挙権を多く持つ層を狙うのは鉄則とも言えるもんなぁ。


 どの世界でも歴史は繰り返すのか…


「しかし当時学生達だった者たちが決起し、運動を起こしたの。


 その金属を奪取し国の中のある一部のエリアを自分たちの国にすると言って旗揚げした。

 そこには子供という子供が集まったわ。更に


 この将来を案じてその学生たちの国に亡命させた親もいた。


 そうその国が《カインド》私たちの国」


 なるほどだからこそ子供だけの国か…


 子供だけの国?でもこれは少し前の話だと、彼女は言っていたはず。


 ならば学生の中でも大人になった人はいるんじゃないのか?


「外国諸国の援助もあってどうにか国として認められたの。まぁ恐らく有利な貿易などが目的なのでしょうけどその時はあまり問題にならなかったわ。


 そして《カインド》は、子供の子供による子供のための政治を掲げた。


 貿易などで得た収益は全て教育機関やインフラ整備などに使って、世界で最も高い水準を目指した。


 そして二十三歳以上の人には決して国土を踏ませなかった」


 なっ…そんなことが可能なの?知識や記録などは媒体で残せても、全員子供で自治を保てるのか?


「そして行政は、遺伝子情報で優れているとされたものと、技術の粋を集めて作った人口知能で行った。」


 ——????????


 既にこの辺りで彼女の話は私の理解の限界を超えはじめていた。


「五十年後その国の最大輸出品は、人間になっていた。高水準で各分野毎に特化した子供は世界中の企業が欲しがったの。」


 人間を輸出?????????


 完全に私の頭はショートした。




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