寝所
「そこっ! 着いてこないと、迷いますよ……」
甲高い声が耳をつく、見ると背の高い女性……先生だろう、その先生がこちらを鋭い目に多少の怒りを込めて睨みつけていた。
『うわ〜恐いなー』
「すいませんでした」
理雨流が感情のこもっていない声で独り言のようにそう言う。
俺も理雨流についで
「すいません」
と言ったが、紫苑は何もいわずただニコニコと笑っていた。
俺達はこれ以上は何も言わずに、重い空気の中を案内人……つまり先生についていった。
『うーん、やはり豪華だな! 』
この無駄に広い通路を通っているのはA、Bの所に座っていた者だけだ。あの大部屋からそれぞれの塔に行く道が別々にあるらしい。(理雨流と紫苑が握手している時に明は何処にいるのかと見回した時に知った)
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―――
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しばらく歩いた。どれぐらいだろう。足はまだまだ大丈夫だが……暇だ。
俺は腕時計を見る。
『9時3分か、入学式が終わったのが8時45分くらいだったな』
「今、何時だった? 」
隣を歩く理雨流が声をひそめて聞いてきた。
「9時3分……」
「ありがと。……しかし長くない? 」
「確かにね」
さっきから廊下を歩いたり階段を上ったりの連続だ。
俺はふと、紫苑が心配になり理雨流と同じく俺の隣にいる紫苑に声をかけようと思う。
「紫苑、大丈夫? 足とか……」
左隣りにいる紫苑の顔からは辛さは感じられない。
「ぜんーぜん、へいきですよ〜」
「そう……ならいいんだ」
俺は笑顔をつくり紫苑に笑いかける。すると紫苑も対抗するように俺に微笑みをくれた。
「ここです」
急に高く冷たい声が廊下に響く。視線を紫苑から外し案内人に注意を向ける。
『ドアがひとつ……まさか全員が相部屋とかじゃないよな』
案内人の前には大きな両開きのドアがあった。シンプルなデザインだ。
「この戸の先に40部屋ありますから好きな部屋を使って下さいそれと今日は授業はありませんからこの学校に慣れることに努めてください」
先生は感情のこもっていない言葉で区切ることなくそう言った。
『40部屋かぁー多いなぁ』
「それでは明日は7時00分に入学式を行った部屋に集合となります。遅刻はしないように」
それだけぶっきらぼうに言うと先生は俺達に背を向け、元来た道を戻っていった。
『七時ぜろぜろ分って』
俺は少し微笑した。
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