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覚醒  作者: 火水 風地
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隣の人

俺達3人はイスの群れの前まで来ると、それぞれのイスに座るため解散した。


 『どこだ〜A……A―8は……』


 俺は1番前のイスの横列まで来てどれが自分の物かを探していた。


 「あったッ」


 自分の座るべき所を見つけ、俺は本当にそこでいいのか確かめるため、そのイスの背もたれに彫られている番号を確かめた。


 『うんっ、あってる』


 もうイスに腰を落ち着かせている者もいたので、俺も座ることにした。


 まだ事は進まないように思われたので、俺は手持ち無沙汰な時間をどうしようかと考えた。


 見ると俺の両脇のイスにも人が腰掛けており、俺からみて右手側の人は華奢だがかっこいい感じの女性、左手側は眼鏡をかけた眼鏡君だった。


 『話しかけようか? ……どっちにしよう? 』


 元々他人に話し掛けるのは大丈夫なほうだったし、暇ということもあって、俺はどちらかの人に話し掛けようとした。


 『眼鏡君にしよう、男の方が話しやすいし』


 そう決めた俺は人の形をした眼鏡(眼鏡があまりにも似合っていたから)に話し掛けようと会話のきっかけを口にした。


 「あのー………」

 「君は何処からきたの? 」


 突然右側からハキハキした声が聞こえ、驚いた俺は言葉を口から出すのを急停止させ、首を45度右に回した……少し首が軋む。


 「え? 俺? 」


 右側の女性はいつのまにか、こちらに体ごと顔を向けている。


「そう、君だよ! 」


 彼女は俺の目を直視している。


 『恥ずかしい』


 真ん丸の瞳で直視された俺の思考はパニックに陥りゆっくりと働かなくなった。


 「あれっ? 大丈夫? 」


 俺の異変に気付いたのだろう。彼女は心配そうに端整な顔を少しばかり歪ませた。


 「……んっ! あ……あぁ大丈夫、うん! 大丈夫! 」


 「それで君は何処からきたの? …あっ私はラーウのところから、コルトラの近くにある国ね」


 この世界にはあまり国がなく全部で20ほど、コルトラというのはその20の国の中で1番大きく、1番発展しているといわれている国だ。尚全ての国の言葉は統一されている。


 「俺はセルダムからきたんだ」


 「へぇー……ってここじゃない!! 」


 「そうだね、それよりも名前聞いていい? 俺は水無月 渉 今年で17……うん」


 「へぇー渉かぁー……私は水無瀬 理雨流りうる 渉と同い年だよ! 」


 「へぇー同い年かー」


 理雨流は可愛いというよりは美しい顔立ちをしている、と俺は思う。

 後ろ髪は肩にかかるぐらいまであり、前髪は目下5cmぐらいまであるが目が隠れないように気を使っているようで目に髪は掛かっていない。

 髪の色は赤にみえるような黒にみえるようなそんな風だ。座っているので身長は正確には判りかねるが、165cmくらいではないかと思われる。


「ありゃっ! もうすぐ始まるんじゃないかな? 」


「ん! 」


 理雨流に言われ俺は反射的に姿勢を正した。


 『1番前の列って……貧乏くじひいたか? 』


 とは言っても……いや思っても予め座る所は決められてあるようだったのだが……今になって前列にいることが少し嫌になってきた。

 俺の座るイスと壇上までは、3m程しか離れていない。

 その壇上へと俺から見て左側から一人、人が上がって行くのがみえる。


 『軍服か? 』


 ある程度は予測していたのだが、まさかホントに入学式に軍服でくるとは思ってはいなかった。

 どうして俺が予測出来たのか…それはここがそういうとこだということを、高校から引き抜かれるときに聞かされたからだ。

 強制ではなかったものの、勉強しながら給料を貰えるということだったので、家族から自立したかった俺はこれは好都合ということで、この学校にきたのだ。

お読み下さり有難うございました。

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