偽名
「明! 迷ったとはいえここまで分もかかったぞ! これなんか凄くねぇーか!?」
はしゃぎすぎだ、とか思わないでくれよ。楽しい時に、はしゃげる、それってすごく人間らしくないか。いいか、これはいいわけじゃあないぞ。そこはくれぐれも注意してくれ。
はしゃぎすぎな俺は、式会場の入口付近の壁に座りそこにもたれ掛かってぐったりしている友に向け、自らのテンションの高さを言葉に昇華して披露した。
「あぁ……そうだな」
友が疲れているようなので俺はそれ以上何も言わないようにしようと思い、かわりに俺は式会場を見渡しながらそこらを歩くことにした。
『しかし、豪華だなこの学校』
俺がそう思った訳はこの部屋にくる前に通った絨毯の敷き詰められていた廊下のせいだ。(上にはシャンデリアもあったな)まあ、この部屋も十分凄いが。
―――――
―――
―
『いつのまにか人多くなってきたな。そういえば明は一人で何にしてんだろう? ……まぁ俺も一人だけど』
暇つぶしを開始してから数分……俺は周りに人が増えはじめたことに気付いた。そのせいで、
「しかし、人が増えてきたなぁ〜」と、つい癖で孤独の印である独り言を言ってしまった……ことにはならなかった。
「そおですねぇ〜」
「いやぁ、本当にね〜……………って誰ですか?」
「わたしーですかぁー?? わたし〜はラウですよ〜」
「偽名だよね」
俺は【私の名前知らないの?】みたいな言い方をしている【ショートタン少女】に向かいそう言う。
「はぁ〜〜、バレましたかぁ〜……」 と、かなりゆっくりとそう言ってのけた少女は、
「……ほんみょうはラゥですよ〜……」
と呆れ気味に本名を明かしてくれた……のか? さっきとあんまり変わってなくないか? 疑問に思った俺だが、彼女を問い詰めるのはしないことにした。
理由は……………彼女がとても可愛かったからだ、身長は百六十センチぐらいだろう。顔立ちはとても幼くみえる。髪は漆黒で目下三センチぐらいの長さの前髪はピンとはねさせてあって、彼女の背後にちらつく髪(後ろ髪)はとても長く延ばしているようで、彼女の腰まで届くかというほどだ。
後ろの髪のほうを髪とは対称的な白色の大きめのリボンでまとめているところも可愛らしい。
『しかし……可愛い、誘拐しようか?』
と俺が心の中で呟いていると(本気ではない)、俺の被害者になってしまうかもしれない(そんなことはない)人が俺に
「あなたは〜なんという〜の〜ですかぁ」
『舌ったらずだなぁ』
「俺はコステマ‐R‐リラン」
あまりの、そのスローテンポな言葉の数々に少々いらついてきたのでテキトーに返事をする。
「あ〜オレハコステマアールリアンサッさんですかぁ〜」
『信じた……のか?』
―――
―
「嘘だよ、ごめんね。俺は水無月 渉 今年で十七……」
「わたしですねぇ〜ことしでぇ〜〜〜? あれいくつでしたっけぇ〜??」
『俺に聞かれても知らない』
「あぁ〜たぶ〜んじゅうごですよ〜」
『この娘自分のこと他人事みたいに言ってるよ……』
まだまだ序章ですが、お読み下さり有難うございました。




