合縁奇縁
俺は暫くの間、言葉を失っていた。出す言葉が見つからなかった……いや、それさえ探すことができなかったんだ。自分に対する嫌気が壁となり俺の思考回路への干渉を阻んだ故に……。
「……どうした? ……」
光華の落ち着きのある声に俺は我に返った
「……ん……いや、なんでもない」
もう一度しっかりと謝ったほうがいい、そうは思うし俺もそうしたかったのだが……光華の優しさにのまれてしまいそうはできなかった。
「そうか、ならそんな顔をするな士気が下がる」
それが光華なりの励ましだとは分かったのだが、未だに俺の心中に広がる、黒くはびこるような霧はそこに纏わりついて離れることはなかった。
「うん? どないした? むち打ちかなんかにでもなったんか?」
一瞬、明の声のような気がした。真っ暗闇の中を歩いていたような俺にはその滑稽にも感じるおどけた声が唯一、自分を照らす月光のように感じられた。
「せやからどないしたんか聞いとるんやろ……無視せんといてぇーな」
「なーに、渉が精神を少し負傷しただけだ……外道……」
「……んやとぉー……」
なんだか、少し良い方に気分が動いてくれた気がする。……が少々旧友に会いたくなってきた。いくらこいつらと気が合うにしても未だ出会ったばかりだからな。
『しかし……うーんやっぱり丹澤と明は似ているな。……認めたくはないが安心してしまう。明とは物心ついた時からの付き合いだからな……』
俺が旧友との古き良き想い出を走馬灯のようにハイスピードで思い出していると、なにやらひそひそとした蚊の鳴くような声が聞こえてきた。
「紫苑ちゃん……あれ喧嘩になる前に……早く止めた方がいい気がしない?」
「いいえーああやってーひとはーせいちょーするのでーす」
「そ、そうかなー……」
いや、俺は止めた方がいいと思う。よからぬ火種はさっさと吹き消すべきだし……吹いてさらに激しくなったら元も子もないが。
『しかし……こっちには、火種を口から吐き出すモノの双半を確実に、かつ速攻でダウンさせることのできる人材がいるのだ』
自分でも知らぬ間にメランコリー状態から脱せていた俺は、未だ紫苑と声を潜ませながら話し続けている理雨流に近づいて行った。
ツーハンデッドソードのような長剣でのアタックは主に突きでのアァタァーークゥ! が主流だったそうです




