一発
「安心しろ、今回は抜き身でやるのではない」
『全然安心できない』
確かに光華に習えば多くの事を学べれるが死の意味を自身をもって知らされることもありうる。しかしまぁ既に心のどっかでは【習う】ということは決定されているわけでそれに反する気はない。
「よろしく頼むよ」
「あぁ」
俺は木製の鞘に収まっている長剣を手に取り、部屋から出た光華に次いで深呼吸をしながら自室から出た。
「よ〜渉〜見学させてもらうで〜」
丹澤がいた。ソファーにドスンと座っている。その隣には紫苑それでその紫苑の隣には理雨流がいる。
「見学、見学! 」
「けーんーがーーくぅ」
お気楽なその声達から馬鹿にされている気がしてならない。どうしてだろう?どうして……
「さっ……まずはそっちから来い。本気でな……」
「まって! 」
こんな微妙な感情のまま光華と訓練したくはない。俺は左手で左頬を気合いを入れるためパシンと叩いた。気持は切り換えることができたと思う。階段の真正面に、本来丸い目を鋭く細めて立っている光華にゆっくりと足元の感覚を確かめるように近づき距離五mにして立ち止まる。
「ふぅー……」
深呼吸をし、集中力を高めながら右手に持った剣の柄を強く握る。柄の冷たさに緊張感を覚える。この冷たさが闘争心を燃やさせてくれるが同時に恐怖心をも煽ってくる。
『素早く動くこと』
……とは思うものの鞘つきの剣の重さには堪える。光華の得物、隼と鼬も俺のと同じく鞘に入ったままだ。おそらく左手に持っているものが鼬右手に持っているものが隼だろう。思っていたより鼬は大きかった。ダガーと聞いていたので小さいのを予想していたのだが、三十cm以上はあるだろう。それでも……
『あの得物の大きさ……光華の方がスピードが速いのは確実だな』
俺の得物の方が重量があるのは一目瞭然…なら俺にも考えがある。光華も言っていたこと…
「行ぃくぅぜぇ! 」
開始の合図を宣言したあと俺は体の右側下段に地面に引きずるようにして剣を構え前のめりになり光華めがけ駈け出した
風の音が爽やかだ
俺は二歩目にもう剣の下から上への切り上げを始めていた
「変わら、イッ! 」
光華は予想通り鼬を盾にするように両手で持ちながら一歩後ろへステップする
『ここだ! 』
「ウオラァ! 」
光華がまだ後方への回避をしている時に俺は突き出された彼女の鼬めがけ脚を横に回した押し蹴りを放つ
「チッ!? 」
鼬を通して衝撃を受けた光華はそのまま地面から足が離れ空を舞った




