特科
「だが、さっきも言ったようにこのスローガンは表向きのものでしかない」
『なんだよさっきから表、表って』
こんなに朝早くに起こされ、退屈であろう演説を聞かされてはいらだってしまうのも無理ないだろう?
「率直に言おう……諸君等にはこれから法の及ばない、世に知られてはならない仕事をしてもうことになる……いや、仕事と言えば語弊が生じかねんな、任務だ! 」
これには周りも反応を示した。一瞬のうちに静寂が失われ室内にいろいろな声がこだまする。が右隣の人は何の反応も出さない……どうやら寝てしまっているようで、ピンクの口を僅かに開け瞼を大きな目に乗せている。
「喋るな! 」
高いキーの怒鳴り声には恐怖は感じないが自然に、反射的に怒鳴る人の方に首を向けた。
『喋るなって、なんだよ。そこは静粛に。とか……なんかだろう』
未だ俺の心の中での悪態は続く。しかし、任務とはなんだろう?そもそも何故俺達しかいないんだ? 明とかはどこだ?
「諸君等第一棟の生徒は皆、能力が戦闘に特化していると認められた人材だ。……ABは戦闘特化、IJは政治特化、おおざっぱにいえばCDEFGHはその中間に位置している。効率を考えての振り分けだ。変更はできん。それぞれのできる事を全力でやってもらいたいからな」
『ここにいる人が戦闘特化だって? 』
どう見ても紫苑や隣で夢の中を彷徨う理雨流が強いとは思えない。いや、光華の事もある、人は見かけで判断しないようにしよう。……とは思うんだけど……
『ありえん』
それに、そうであるならば明はあきらかにABに入るだろうし……
「先ほども言ったが世界の平和と秩序を守るために必要な事を諸君等にはしてもらう……諸国の依頼を通してな。当然だが、能力別に分けたのだから請け負う任務も異なってくる。無論諸君等にはより実戦的な活動が求められる任務をこなしてもらうことになる。……傭兵と同じようにな」
『……』
身体の奥から熱さが込み上げてきて顔までも熱くなってきた気がする。
『……傭兵! 』
夢は知らないうちに叶う、そんな感じか? とにかく俺はこれからどのような事があるのだろうとワクワクし始めていた。




